事業を立ち上げるフェーズが自分に合っている
坂田:Blaboの坂田です。これまで何度かMarkeZineに出させてもらって、今回は僕自身がこの人の記事が読みたい、読者の方もきっと参考になるのではと思ったRIZAPグループの松岡洋平さんを取材したい! と推薦させていただきました。RIZAPに来られて、ちょうど1年くらいですか?
松岡:そうですね、昨年6月からなので。新卒で外資系コンサルティング会社に入って、そのあとに開業前のライフネット生命、アパレルのディッキーズ日本法人立ち上げ、2014年にスマートニュース、そして当社です。今は2016年にRIZAPグループ傘下になった日本文芸社と、今年4月に経営権を取得したサッカーJ1の湘南ベルマーレの取締役も務めています(参考情報)。
坂田:既に3つも顔があるんですね。松岡さんは、これまでそれぞれの場で大きな成果を挙げられているんですが、僕からみるとなんだか「うまくいきそうなところで次へ」と進んでいる印象なんです。ヘンな話、事業が軌道に乗って初めてリターン(報酬)が得られるんじゃないか、と(笑)。まず、キャリアパスの指針を教えてもらえますか?
松岡:ひとことでいうと、事業化のフェーズが好きなんだと思います。今言われたリターンについては僕もうなずけるんです、結婚したとか子どもが生まれたとか、そんなタイミングでゼロからの立ち上げに足を踏み入れて年収を下げるっていう(笑)。
でも根本的に自分自身、わからないものや難しいものが好きなんですよね。立ち上げはそもそも難しいし、特にやったことのない領域だとなおさらうまくいったときの喜びがあります。
いちばん難しい相手から狙っていく
坂田:自分の強みも、事業化フェーズにマッチしていると思いますか?
松岡:そう思いますね。新しい領域に飛び込んで一気に習熟していくことは得意なんです。経験した業界の幅が広がると、複数の領域で得た知見をぶつけられるようになるので、それもまた強みになっていきます。
坂田:なるほど。現在のお仕事の話も後ほど詳しくうかがいますが、直近のスマートニュースで手がけられたことをいくつか聞きたいと思います。印象的だったのは、コンテンツの話ですね。
松岡:広報やテレビCMの担当などもしながら、コンテンツのアライアンスも集中的に進めていました。たとえば野球だと、今年2月に12球団すべてがそろったとリリースされましたが、最初に巨人と阪神に交渉して各専門チャンネルを開設しました。
マンガチャンネルでは、集英社に「『GANTZ』を提供してもらえないか」と話しに行って、毎日2話を無料で読めるキャンペーンをしたりしました。宇多田ヒカルの新曲や村上春樹の新刊なんかもやりましたね。
坂田:まず難しいところから狙っていくんですね。大物がタッグを組んでくれると、周りが参加するハードルがぐっと下がる。
松岡:そう、それはその後の拡大のポイントだと思います。もちろん、『GANTZ』なら映画化を控えるタイミングだとか、そうした情報をしっかり押さえて、相手にとってもメリットがあるように組み立てることも大事ですね。相手側の社内を説得する材料を用意する、ということです。