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行動ターゲティング~広告をコンテンツにする~

2006/06/05 10:44

日本全体の景気回復にも後押しされて、国内のインターネット広告市場は急成長を続けています。その成長の牽引役となっているのはP4P(Pay for Performance)と呼ばれる検索連動型やコンテンツ連動型の広告市場です。今回は、P4Pの次に市場を牽引するであろう、「行動ターゲティング」を紹介します。

P4P市場は鈍化する?

 P4Pの分野は2004年から2005年の一年間で2倍近い成長を遂げています。そのためここ数年で多くの事業者(SEM/SEOをコア事業と謳う会社)が参入してしのぎを削っていますが、一部ではすでに「2008年にはP4P市場の成長は鈍化する」という予測も出ています。ではその次に市場を牽引するのは何になるのか、という議論がエバンジェリストたちの間で起こる中、その最有力とされているのが「行動ターゲティング」の領域です。
 「行動ターゲティング」という言葉が国内で使われるようになったのはまだ最近のことで、語る人によって「行動分析型ターゲティング」と表現されたり、USでの呼称である「Behavioral Targeting(BT)」という語で表されたりもしています。ここでは英語の直訳である「行動ターゲティング」に統一して論考を進めます。

「行動ターゲティング」の定義

 「行動ターゲティング」を簡単に定義すると、「ユーザのオンライン行動を分析し、そのユーザにとって価値の高い情報・広告を提示する手法」となります。ユーザのオンライン行動とは、検索キーワード入力やサイトの訪問、オンラインでの購買といったものです。ユーザが残していくこれらの行動履歴をサイト側で蓄積して解析すると、そのユーザにとって価値の高い情報がどのようなものであるかがある程度把握できます。 例えば、検索サイトで「育児」や「離乳食」といったキーワードで検索をしていたユーザが、オークションサイトでベビー服を落札した後におもちゃの販売サイトを訪問したとすると、そこでそのユーザに提示される情報や広告は、RPGのビデオゲームやパーティーグッズではなく知育玩具や絵本といったものである方が価値が高いだろうということは想像に難くありません。「行動ターゲティング」とはこのように、ユーザの行動履歴を知ることによってユーザが欲している物・情報を推測し、適切な情報を提供するマッチング手法です。

 「行動ターゲティング」は「広告」の視点で議論が進められている部分が大きいため、どうしても「ユーザ行動にマッチした、クリック率やアクション率の高い広告手法」というような提供側論理の定義が表に出がちです。しかし、広告主や広告代理店が儲けるためにユーザの行動を分析することに重心をおくと、ユーザはプライバシーの侵害を恐れて行動履歴の提供を拒絶してしまいます。後で説明する'99年の米DoubleClick社の失敗はこの提供側論理のみで進んでしまったことにも原因があったといえるでしょう。
 「行動ターゲティング」の本質は「ユーザにとって価値の高い情報・広告を提示する」という部分にあり、インターネット業界全体の共通課題である「広告をコンテンツにする」というテーマに対するアプローチであることを忘れてはいけません。

「行動ターゲティング」の歴史

 現在はその市場の拡大が大きく期待されている「行動ターゲティング」ですが、その歴史はあまり明るいものではありませんでした。

 2000年、米DoubleClick社が、買収したカタログデータベース大手のAbacus Direct社の所持する個人情報データベースと自社の所有する匿名のネットサーフィン履歴を結合して広告配信に活用する、という計画を発表したところ、プライバシー擁護団体のEPICがプライバシーの侵害にあたるとして米連邦取引委員会(FTC)に調査を要請した、という事件がありました(注1)。EPICの要請の後すぐにDoubleClick社はその計画の撤回を発表しましたが、米国内での世論に火がつき、DoubleClick社はプライバシー論争の渦中に立たされることになりました。

 その後ドットコムバブルの崩壊と共に、「行動ターゲティング」は長らく表舞台では語られないキーワードとなり、局所的にオンラインショップ向けCRMソリューションとして使用されるなどにとどまっていました。しかし、より効果的なターゲティングを求める大規模な広告主がインターネット広告に多くの予算をつぎ込むようになるに連れて、2004年頃から再び米国の一部で行動ターゲティングの熱が高まり始め、昨年後半から徐々に国内でも「行動ターゲティング」という言葉が聞かれるようになってきたのです。

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