バスケ業界が抱える課題とは
MZ:現状は、チケッティングに注力することで、スポンサー売上とのバランスを取っていかなければならないチームが多いとのことでした。そのチケッティングにおいては、どういった課題があると思いますか。
平地:これもスポーツによって異なります。弊社で特に注力して支援させていただいているバスケ業界では、地元での認知度がまだまだ低い、という課題が一番多いです。
レバンガ北海道は8,000人規模のアリーナを持っているのですが、現在の来場者数は平均で4,000人ほどです。チーム自体の認知度は2017年シーズンでもかなり上がってきましたが、試合がいつあるのか?どんな選手がいるのか?といった情報までは街では認知されていない、ということが未だ課題となっています。

一方、そのフェーズを越えたチームもいます。千葉ジェッツというBリーグのチームとは、約4シーズン一緒にマーケティングを行っていますが、5,000人近い規模のアリーナが基本的には常に満員となっています。
彼らは、本拠地である千葉県船橋市では高い認知度を誇っているので、次はマーチャンダイジングやフードの強化などを通じて顧客単価を上げることに力を入れ、いずれはアリーナを拡大するために行政と動いていくんじゃないでしょうか。
デジタルマーケティングの基礎をひたむきに
MZ:どのような取り組みを行ったことで、千葉ジェッツの集客をそこまで成長させたのでしょうか。
平地:最初に行ったのは、LPを活用した集客です。Webサイトがチケットを買うにはとても使いづらい仕様だったので、1試合ごとにLPを作ることにしました。
毎試合、対戦相手や見どころ、当日行われるイベントも異なります。LPで毎試合のトピックを打ち出すことで、その試合に行く理由をきちんと作ってあげたんです。化粧品など何かしらの商品をデジタル上で販売している企業からすれば、当たり前のマーケティング手法なんですけどね。
その後、来場してくれる可能性の方をLPに呼び込むため、西船橋エリアに特化して広告配信を行いました。西船橋エリアは特にファミリー層が多いので、そのエリアに住む30~40代の男性に向けて広告を打つところから始めました。1人1枚ではなく、家族分のチケット購買を期待してのターゲティングです。
さらに上記のターゲットに対しFacebook広告も打ち、公式Facebookページのいいね!を増やしていくという施策も展開しました。いいね!が一定数増えたFacebookページには頻繁にコンテンツを投稿していき、そこには必ず試合のLPもリンクで入れることで集客への寄与とファン増加を狙いました。
それを改善しながら1シーズン続けた結果、観客動員数が平均1,800~1,900人から3,600人ほどになりました。もちろん、チームの方々が、本拠地の船橋市や千葉県と連携した取り組みを行うなど、地道な活動がこの結果を生んでいることは間違いありません。ただ、デジタルがその増加に寄与したことは明らかでした。当初お話を頂いた時は2,200人を目標にしていたので、とても成果が出た事例です。