予言:今後マーケターはメディアと一緒に仕事することが増える
菅原健一氏はSupershipのCMO、スマートニュースブランド広告責任者などを経て、2018年7月に企業の10倍成長を支援するアドバイザー業としてムーンショットを創業。セッションの冒頭で、菅原氏は「予言」として、「今後、広告主やマーケターはメディアと一緒に仕事することが増えていく」という主張を展開した。その理由として「テクノロジー」「ユーザー」そして「マーケティング」、この3つのサイクルが鍵だと指摘する。
「時代が変化する時、最初に新しいテクノロジーが生まれます。最近で言うとiPhoneです。iPhoneによってインターネットとカメラが一緒になりました。そのテクノロジーが新たなメディアやサービスを生み出します。iPhoneが生まれ、TwitterやFacebookが発展しました。これらによってユーザーが少しずつ変化していきます。
ではマーケティングとユーザーの間には何があるかというと、ターゲットやインサイトです。これまでマーケターはユーザーを一方的に捉えてしまい、都合のいい解釈をしがちでした。その結果、自社にあうユーザーはいないかと探し続けてしまい、大きな変化を遂げているユーザーを捉えきることはできなくなりました」(菅原氏)
では正確に「ユーザー」を捉えるため、「マーケティング」はどうすべきなのか。「ユーザー」はメディアをフォローし、その「テクノロジー」の変化を敏感に察知、楽しもうとする。マーケターは「ユーザー」のフォロワーとして、「ユーザー」の変化を察知するため、必然的にメディアと仕事していくことになると説明した。
ジョブ理論と広告1.0での課題とは
次に菅原氏はマーケターがユーザーを理解するために「ジョブ理論」を取り上げた。「ジョブ理論」とは、クレイトン・クリステンセン教授が提唱する、顧客が製品やサービスを消費するための決定要因を「Jobs to Be Done(顧客が片づけたい用事)」に求める理論だ。この理論に従えば、マーケターはユーザーの「ジョブ」を追いかけ、それに対する「解決策」として製品・サービスを提示し、顧客に「雇われ」なければならない。
「世の中にジョブは数百個とあるわけです。しかし、メディアは何をしているのかというと、読者の心の隙間を敏感に察知してコンテンツを届ける、ということをやっています。仲間とつながりたい、個性的になりたい、これらたった数十個の欲求に対してコンテンツが生み出されていきます。こちらのほうがジョブより数も少なくユーザーにとって本質的です」(菅原氏)
今までの広告を便宜上「広告1.0」とすると、これまでは1個のクリエイティブを作って、できるだけ安いインプレッションでどうやってユーザーに届けようかと考えてきた。その結果に起きたのがアドフラウド問題だ。どのインプレッションも一緒だったら、もっと安くインプレッションを生み出そうとする人たちが現れるのは当然である。果たしてそれでよいのか、そしてこれから広告、「広告2.0」はどうなるべきなのか、菅原氏は問題提起する。