SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

新着記事一覧を見る

MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

直近開催のイベントはこちら!

MarkeZine Day 2025 Retail

Web×マスの仕掛人

「デジタルこそマスだ。」TOYOTAの『#金曜日の新垣さん』を例にマス×Webを考える

やはり現状では、マス×Webは難しい

――「マスとWebの統合」は、今多くの企業やマーケターが取り組まれていると思いますが、今回のように、最初からマスとWebを連動してキャンペーンを考えていくのは、やはり現状難しいのでしょうか?

電通 CDC 第5CRプランニング局 コピーライター/プランナー 水本晋平氏
電通  第5CRプランニング局 コピーライター/プランナー 水本晋平氏

水本:同じような悩みは、僕らにもあります。「こんなテレビCMを作ったから、これをデジタルチームの手で、Web上で話題にしてくれる?」みたいなことは、どうしてもまだあって……。テレビCMは、CMプランナーがテレビで流す「パブリックなもの」として一番最適な表現を考えて作っているので、それをWebで見てもらうためにどうするかを考えること自体、ある意味ナンセンスというか、間違っていると思うんです

 今回はそういった分け隔てなく、一番最初の打ち合わせから、様々な職種の人がみんなフラットに話せたことが大きかったです。それぞれの専門分野にとらわれず、「こういうコピーがいいんじゃないか」とか「こういう人がいいんじゃないか」という話をまずみんなでして。そこから各々が、“Web的には”“テレビ的には”“PR的には”と考え始めていったのが良かったと思います。Webとマスを一緒に作るということは、こういうことなのかなととても勉強になりました

嶋野:あとは、「WebもテレビCMも含めて、本当にいいものを作ろう」っていう志がまず大事で。力がある人が、その志を掲げてくれたのは大きかったと思います。志が決まれば、メディアプランの設計などはできるので。メディアプランを設計できる人をチームの中に入れておけば、ちゃんと全体を設計できると思いますよ。

――ということは、澤本さんのような方がいないと、Web×マスは難しいと?

安達:簡単ではないと思います。デジタル・PR・テレビCMで一本立ちしている人達が集まるだけでは、なかなか難しい。途中でチームが空中分解してしまったり、パワーバランスが崩れていくこともあると思います。

 たとえば、僕がCDとして、今回と同じメンバーで同じことをやろうとしても、果たしてできるかどうか……、いや、もちろん頑張りますけど(笑)。「絶対にマスとWebの両方で良いものを作るぞ!」という強い意志がないと、簡単なようで難しいです。精神論になってしまいますね。

嶋野:いや、気持ちの面が大きいと思いますよ。あとは、予算に関してジャッジメントできる人が必要ですよね。どうしても、テレビCMのクリエイティブにお金をかけちゃうことが多いじゃないですか。テレビとWebの予算比が8:2とかになっちゃうと、意味がないので。その辺のジャッジメントを冷静にできる人が必要です。

安達:スケジュールに関しても、「Web動画の撮影用に、絶対に1日は必要です!」って言い続けることも重要です。どうしてもWebはオマケで撮影するという流れになりがちですが……、大切なのは「何としてでも成功させる!」という気持ちですよね。また、気持ちの話になってますけど(笑)。

それぞれが考える、Webブランディングの可能性

――話が少し変わるのですが、最後に「Webブランディングの可能性」について、皆さんどのようにお感じになっているかお聞かせいただけますか?

嶋野:最後に難しいのがきたね(笑)。

水本:個人的に最近チームで話していることで言うと、ブランドには「人格」が求められているんじゃないかなぁと思っています。

 それぞれのブランドにキャラクターがあって、それぞれに期待されていることも違う。だから、Webでのブランディングは、つまりは、企業であれ商品であれ、その「人格」を見つけて、人格に合った発言をしていくことなのかなと考えています

安達:僕は、Webでもテレビでも一つのゴールとして、「Yahoo!トップおよびワイドショーに取り上げられる」ということを掲げています。どちらもすごくマスの話題を扱っているので、ちょっとバズったぐらいでは、Yahoo!トップまではなかなかいかないんですよね。でも、そこまでいけば、かなり多くの人達に施策を届けることができる。

 その視点でいうと、テレビCMよりもWeb施策のほうが、Yahoo!トップは狙いやすいと思っています。「流れる枠」という概念がない分、どうしたら話題になるか、クライアントさんとも一丸となれるので。Webブランディングには可能性しか感じていないです。今よりもっと大きなことがWebでできると思っています。

嶋野:逆に、僕は危険性を感じることが多いですね。Webではよく炎上が起こりますが、炎上する案件ってたいてい世の中視点が抜けていて、そもそもブランディングを考えていないと思うんですよ。

 つまり、バズっていう見えやすい数値に囚われたせいで、「本来このブランドはどんな人を大事にするべきだったのか、どうなりたかったのか」を忘れちゃう人がすごく多くてWebの時代こそ、ブランディングを考えておかないと危険だと思っています

 テレビCMも大量に流せば、ブランディングできると思っているかもしれませんが、そんなに簡単なことではないんです。大量に出稿しているテレビCMでも、覚えられていないものってありますよね? 

 テレビCMでもWebでも大切なことは同じです。「お客さんに何を届けたいか、どういう風に楽しんでもらいたいか」という視点も、ブランディングのうちだと思います。でも、Webのほうがより一層ブランディングを意識しておかないと、変な方向にいってしまうのかなって考えています。

――お三方、ありがとうございました!

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • note
Web×マスの仕掛人連載記事一覧
この記事の著者

松崎 美紗子(編集部)(マツザキ ミサコ)

1995年生まれ。早稲田大学商学部を卒業後、新卒で翔泳社に入社。新入社員として、日々奮闘中です。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2018/11/01 08:00 https://markezine.jp/article/detail/29386

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング