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売れるものしか買わない、生前整理、子どもの金銭教育……「メルカリ」のデータから見た消費の変化

2018/10/29 07:00

 フリマアプリの代表である「メルカリ」。そこに蓄積される大量の取引データをもとに、消費者の変化やそれにともなう新たな商文化、その中から得られるマーケティングのエッセンスを3回の連載で紹介します。第1回は、「メルカリ」の活用方法の多様性から推察する「消費者とモノの向き合い方」について、メルカリ シニアマーケティングディレクターの鋤柄直哉が語ります。

5年で二次流通が定着、あらゆるものがCtoCで取引される世界

 メルカリは2013年7月にサービスを開始しました。その後5年間で世界1億DLを突破し、年間流通総額は3704億円(2018年6月期)、月間利用者数は1075万人に拡大しています。若者からシニアまで広いセグメントに普及し、さらにセグメントごとで活用方法に傾向があるのも特徴です。そこで、この連載では、メルカリに蓄積される膨大な取引データから、消費者の変化やセグメントごとの動向を分析したいと思います。

 まず前段として、この5年間でメルカリをはじめとしたフリマアプリは急速に普及したと感じています。私がメルカリのマーケティングを担当したのは4年前からですが、その期間で見ても、フリマアプリを通してユーザーとモノの向き合い方は大きく変化したと言えます。

 代表的な変化として、使わなくなったものや一定期間使用したものを、“商取引”で次の人に譲る「二次流通」が定着したことでしょう。メルカリなどの登場前にも、「ヤフオク!(旧Yahoo!オークション)」に代表されるインターネットのCtoC取引はありました。しかし、それらはオークションの性質が強く、希少性の高いレアな品物を高価格で落札する文化に近かったと思います。そのため、利用者の年齢層は高く、性別も男性中心でした。

 一方、メルカリなどのフリマアプリは、決して希少性の高くない日用品なども取引されています。“どんぐり”のようなものが売買されることもあるほど。希少性の高いものから日常的に使うものまで、あらゆるものがCtoCで取引される世界観は、この数年での変化だと考えます。それもあり、ユーザー層は若年層からシニアまで、性別的にも女性が積極利用するなど、年齢性別ともに広がりを見せています。

 そんな幅広いユーザーを年齢というセグメントで切り分けて分析すると、各セグメントで違った取引文化が発生しているのも特徴です。以下にそれらを紹介しながら、各セグメントでの消費者変化を分析していきます。

若者に広がる新しい消費の概念「売れるものしか買わない」

 まず、10~20代の若者における変化から紹介したいと思います。フリマアプリは二次流通を活性化させ、各商品やブランドについて、定価とは違う、現状での市場価値を可視化させることになりました。一次流通はメーカーや販売側の決めた価格で流通することがほとんどですが、フリマアプリの二次流通では商品の需給バランスが明確になり、それにもとづいた“現時点での価値”が金額として可視化されます。

 この点にいち早く気づいたセグメントが若者です。そして、二次流通での人気や価値を見ながら一次流通での購買を決定するという消費文化が生まれました。つまり、一次流通で買う時点で、既に二次流通で売ることを見据えているのです。

 これが、若者の新潮流と言える「売れるものしか買わない消費」です。

 二次流通の需給が可視化されているため、たとえ一次流通で高額を支払っても、二次流通で戻ってくるお金がある程度計算できます。二次流通で売ることが容易な商品なら、一次流通で高い金額を払っても、二次流通での売却によりトータルコストは少なく済みます。

 逆に言えば、使い古したから売るという文脈ではなく、二次流通で売りやすいタイミングだから売る。需給の成り行きを見て今のうちに売るなど、これまでにない概念ができています。リアルな場でのフリマは本当に使い込んだもの、着古したアイテムを定価の10分の1ほどで売るケースが見られますが、それとはまったく違う世界観です。

 少し前は、プチプラ(※プチプライス:「安価」の意)など、安く買い物をする文化が若者に流行しました。しかし今は、二次流通を利用することで、高価なものを結果的に少ない支出で賢く購入する「売れるものしか買わない消費」が広がりつつあります。

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