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ブランドはお客様と一緒に創っていくもの スノーピークのコミュニティ施策の裏にあったストーリー

2018/11/08 08:00

 ここ数年、ソーシャルメディアの普及とユーザーの発信力の高まりを受け、多くの企業がマーケティングにおけるコミュニティの重要性に気付き始めている。そんな中、20年程前からコミュニティマーケティングを実践していることから、企業からもユーザーからも注目されているのが、アウトドアブランドのスノーピークだ。同社 取締役の高井氏とコミュニティマーケティングコンサルタントの松澤氏によるセッションでは、スノーピークの戦略や考え方が語られた。

スノーピークの危機を救った「Snow Peak Way」

 MarkeZineが主催したマーケティングカンファレンスイベントMarkeZine Day 2018 Autumnの2日目。午後の基調講演には、株式会社スノーピーク 取締役 高井文寛氏とコミュニティマーケティングのコンサルタントとして活動する松澤亜美氏が登壇。「広告を必要としないスノーピークから考える、コミュニティの重要性」と題して、昨今多くの企業およびマーケターが関心を寄せているコミュニティマーケティングをテーマにセッションを行った。

 そもそも、なぜスノーピークはユーザーとのイベントを開催するようになったのか。セッションの冒頭では、その背景にあるストーリーが語られた。

 事の発端は、1997年に始まった日本のオートキャンプブームの収束にある。次々と廃刊・閉鎖に追い込まれていくアウトドア雑誌やキャンプ場に漏れず、スノーピークの経営も危機的状況にあった。「キャンプはもう終わった。スノーピークさん、もう来なくていいよ」といった言葉をかけられることもあったという。そんな時に、高井氏らが企画しスタートさせたイベントが「Snow Peak Way」だ。結果的に、このイベントがスノーピークの運命を変えることになる。

株式会社スノーピーク 取締役 高井文寛氏
株式会社スノーピーク 取締役 高井文寛氏

 「お客様と一緒にキャンプをして、お客様の声を直接聞くことで、何か打開策が見つかるのではないかと思った」と高井氏。だが、ユーザーとのイベントを始めただけで、ファンが増えていったわけではない。スノーピークは、「Snow Peak Way」を始めるにあたって、マーケティング戦略を大きく変換している。

ディーラーも広告費も大幅に削った上での挑戦

 「Snow Peak Way」を開始した頃、スノーピークは約2年かけて多くの経営改革を行った。

 まずは、取り引きのあったディーラーの数を2,000から400にまで削減し、流通マージンをカット。正規特約店制度を設け、一つひとつの店舗に集中し、各店舗での品ぞろえも充実させていった。その結果、20~30%価格を下げることに成功したという。

 また、スノーピークの特長である「永久保証」もこの頃に始まった。製品の寿命まで永久に保証し、アフターサービスを導入した結果、LTVも改善していった。

 中でも大きな改革となったのは、広告コストの削減である。それまで専門誌への広告掲載にかけていたコストを、コミュニティイベントの運営に投じる決断をしたのだ。高井氏は、「僕を含め、社内では反発もありました。しかし、リアルイベントを開催するにはコストがかかります。売上が下がっていく中で、広告とイベントの両方を取るのは、当時の会社の状況的にかなり厳しい選択でした。結果、1998年を境に広告にかけていたコストをイベント開催へとシフトする改革を行いました」と、当時を振り返る。

コミュニティマーケティング コンサルタント 松澤亜美氏
コミュニティマーケティング コンサルタント 松澤亜美氏

 この決断に対し、「広告は認知や理解を広げるためのもの。一方、イベントはコアなファンに対する商品購入後の満足度やLTVを伸ばすためのもの。施策の目的や効果が違うだけに、社長には大きな覚悟が求められたと思います」と松澤氏。実際に、高井氏らがイベント企画への想いをぶつけた時、山井太社長は「100組、10年続ける覚悟でやりなさい」と返したそうだ。

 こうして、マーケティングのコアな取り組みとして、ユーザーイベントの開催に注力するようになった。なお、コミュニティ施策が実を結び始めた2000年以降、スノーピークは、継続的に増収を続けている。そして、ここからセッションは、コミュニティの運営方法やKPIの設定、スタッフの関わり方など、具体的な話に入っていく。

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