オンラインとオフラインの連携を強化するニトリ
ニトリでは今年の8月にO2O推進室を発足し、オンラインとオフラインの連携のさらなる強化を進めている。ECサイト上では、全国の店舗の在庫を確認できるようになっていて、買い物が店舗でもECでもしやすくなっている。さらに、データハブシステムを利用し、ECサイトのログデータや購買情報、店舗のPOS情報を一元管理。その情報を基に、リアルタイムで統合的に様々な媒体を横断して広告やメール、アプリのプッシュ通知を配信し、効率的に店舗やサイトへ顧客を導く仕組みを構築しようとしている。
ニトリが提供している公式アプリでは、店内で商品のバーコードを読み込み、ニトリネットや店頭で配送手続きをすることで指定先に商品を届けることのできる「手ぶらdeショッピング」機能も提供している。
店舗への誘導施策の一環としてGoogleのディスプレイ広告も活用。LPを通じ、近隣の店舗を案内するという流れを作っている。さらに、広告をクリックしたユーザーが来店につながっているかどうかを把握することができる「来店コンバージョン」を活用してきた。「来店コンバージョン」では、Googleアカウントへのログイン情報をベースに拡大推計を行い、(ユーザーが位置情報の計測を許可している場合のみ)スマートフォンのGPSとWi-Fiの位置情報によりユーザーの来店を計測。来店に貢献しているキャンペーンやキーワードを把握し、広告最適化の判断材料とすることができる。
しかし、判断基準とする来店データを管理画面で確認できるようになるのは実際に来店されてから2・3日後。確定されるのは30日後であった。また、来店データは広告グループ単位などの確認となり、細かな入札価格調整を手動で行うには限界があった。
機械学習を用いた自動入札機能を導入
そこでニトリでは、Googleがβ機能として新たに開発した機械学習を用いた自動入札である「目標来店コンバージョン単価」を先行導入した。これはリアルタイムで来店者データを計測し、それを機械学習で処理し、目標として設定された来店コンバージョン単価を達成できるように入札単価調整を即座に実施するというものだ。
来店の可能性を計算する際に考慮する情報としては、端末、OS、広告が表示されるサイトのコンテンツ、店舗までの距離、利用言語などがある。これらはすべてプライバシーが保護された形で、機械学習に活用される。この来店可能性の予測モデルは、個々の広告主ごとに構築され、リアルタイムで蓄積される広告配信データを基に、すぐに改善される。