ベネッセコーポレーションのシンクタンク「Benesse教育研究開発センター」は、2007年9月、首都圏(東京都・埼玉県・千葉県・神奈川県)の小・中学校の子どもをもつ保護者7,282名のうち6,770名の母親を分析対象とした、しつけや教育に関する意識・実態調査「第3回 子育て生活基本調査」を行った。
1998年、2002年に続き今回が3回目となる今回の調査結果から、この9年間で子どもの教育に関する保護者の不安が増し、保護者が子どもの教育面における関与を強めている様子が明らかになった。たとえば、「子どもの将来を考えると、習い事や塾に通わせないと不安である」は、1998年には42.7%だったのが、2007年には51.7%に増加、また「子どもの教育・進学面では世間一般の流れに乗り遅れないようにしている」、「教育に必要なお金はかけるようにしている」といった項目も増加し続けている一方、「勉強のことは口出しせず、子どもにまかせている」という回答は、1998年に49.5%だったのが2007年には40.4%となり減少し続けているという。
子どもとメディア環境について目を向けると、子どもが家でパソコンを「使う」(よく使う+ときどき使う)と回答しているのは小学校低学年では3割弱だが、学年が上がるとともに増加し、中学生になると6割を超える。携帯ゲーム機の使用については、小学校中学年の「使う」割合が7割ともっとも高いが、中学生では6割を下回る。また、携帯電話と子ども専用のテレビの所有について、2002年と2007年を比較すると、携帯電話の所有は全体で19.8ポイント増加したのに対して、子ども専用のテレビの所有は全体で8.7ポイント減少しており、小・中学生を取りまくメディア環境が変化している様子がうかがえる。
こうした状況のなか、日常生活の中で「子どもが成長したと感じる」という回答は1998年には74.5%だったのが、2007年には56.6%に減少、「子どもをもつことによって自分自身が成長したと感じる」も54.0%から47.9%へ減少しており、子どもや自分自身が成長したと実感する機会が少なくなっていることも明らかになっている。しかし、毎日の子育てについて「楽しい」(とても楽しい+まあ楽しい)と回答した母親は、1998年の89.1%と比べて2007年は86.3%とやや減少しているが、9割弱の母親は子育てを楽しいと感じている。
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