※本記事は、2018年11月25日刊行の定期誌『MarkeZine』35号に掲載したものです。
「Amazon Go」に続くスタートアップ企業たち
2016年12月、シアトルのAmazon本社に「Amazon Go」1号店が開店した。それを皮切りに、昨年から今年にかけて2号店、3号店がシアトル近辺に開業し、次はニューヨークのオープンが噂され始めている。
Amazon Goを利用するには「Primeメンバー」としての登録が前提で、入店の際にはアプリを立ち上げて入り口ゲートでチェックインする必要がある。これまでリアル店舗の来店者は匿名で入店していた状態が、このチェックイン動作によって「本人認識」「データの共有」をオプトインされ、全員が「オンライン顧客」に転換される。入店客はPrimeメンバーとして、過去の購買履歴から当日の入店行動に至るまでを、能動的にAmazonに公開する(させる)ところが商流として新しいのだ。
Amazon Goに続くように、「Zippin」、「AiFi」、「Aipoly」、「Inokyo」、「Trigo Vision」など、続々と「無人レジ」のスタートアップ企業が登場している。その1社である「Standard Cognition」は、日本企業の「PALTAC(東証一部上場、日用品卸業)」が出資していて、システムを日本に導入する発表を7月に行っている。
Standard Cognitionは2017年に設立したばかりだが、開発したAI技術を使い「アプリを立ち上げればチェックインすら不要」という機能を打ち出し、「Amazon Go」の使い勝手を追い抜こうとしている。日本の「小型な」コンビニ店鋪環境に導入することでスケールさせ、精度を上げてコストを下げ一気に広めることがPALTACの出資する意図だ。ただしこのPALTACとStandard Cognitionによる「ビジネス目的」は、小売店舗の無人化・省力化路線を目指すB2B事業であり、Amazon Goの真の目的とは少し方向性が異なる。
本コラムはデジタルインテリジェンス発行の『DI. MAD MAN Report』の一部を再編集して掲載しています。本編ご購読希望の方は、こちらをご覧ください。