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ウォルマートのアドレッサブルTV活用事例など、プログラマティック広告最新動向を紹介

デジタル広告の成長が地殻変動を起こしている

 ここまで、「ブロックチェーン」「アドレッサブルTV」「プラットフォームとしてのパブリッシャー」について、それぞれのトピックに関連するセッションの内容をご紹介してきました。マーケティング先進国のアメリカで起こっている変化を関係者の口から直接聞くことができたことはもちろん、プログラマティック広告の大きな地殻変動がこれからまさに起ころうとしている印象を強く受けました。

 その地殻変動の中心にいるのは、紛れもなくセルサイドです。プログラマティック広告におけるブロックチェーンの活用はまだ始まったばかりですが、早速サプライチェーンの最適化事例が出てきています。手数料含め透明性を担保できないSSP・アドエクスチェンジの淘汰はますます加速することでしょう。

 アドレッサブルTVの増加は、テレビCMにおけるターゲティングや効果測定の精度を高め、具体的な活用事例も出てきています。テレビ業界がアドレッサブルTVの導入を進めていったことで実現している面もあるわけですが、背景にはテレビからデジタルへの広告費シフトやOTTサービスの台頭があげられるかと思います。

 2017年、米国におけるデジタル広告費がテレビ広告費を上回ったのは記憶に新しいかと思います。Bloombergが報じるところによれば、2018年もその傾向は変わらず、米国のデジタル広告費は広告費全体の半分以上を占め、初めて1,000億ドルを超える見込みとのことです。

 さらに、OTTサービスの台頭にともないテレビ視聴者数が減少していることも影響しています。eMarketerによれば、2018年のOTTサービスの視聴者数は前年比2.7%増の198.6百万人を見込んでいるのに対し、テレビ視聴者数は前年比0.2%減の297.7百万人の見込みとのことです。

出典:eMarketer

 こういった状況下では、テレビ業界が広告主に寄り添う形でアドレッサブルTVの導入を進めざるを得ないでしょうし、パネルディスカッション「Untangling Video Measurement」でも議論されていたように、デジタルのエコシステムを非常に意識する形でテレビ業界が今後も変化していくことが予測されます。

 パブリッシャーのプラットフォーム構想は、広告主のプログラマティック広告への投資が引き続き順調に拡大していることの裏返しとも言えるでしょう。eMarketerによれば、ディスプレイ広告全体の8割以上をプログラマティック広告が占め、2020年には86.3%をプログラマティック広告が占める見込みとのことです。

出典:eMarketer

 広告売上を拡大する手段としてプログラマティック広告への比重を強めることは選択肢のひとつとして当然あがるでしょうし、パブリッシャー自身がプラットフォームとなり広告主に付加価値の高い広告サービスを提供することが実現すれば、広告売上の拡大も可能になるでしょう。

 これらセルサイドの地殻変動に大きな影響を与えているのは、デジタル広告の成長を牽引してきたGoogle、Facebook、最近ではAmazonといった企業だと思います。これらの企業が広告業界に与えた影響は計り知れず、セルサイドのプレーヤーたちが強い危機感をもって変革を起こそうしている様子が複数のセッションを通してひしひしと伝わってきました。

 2018年も残すところあと僅かとなりました。近い将来、米国で起きるであろう大きな変化を見極めながらも、日本でも同様の変化が起きる可能性があることを意識しつつ、引き続き最新情報にキャッチアップして発信していきたいと思います。

本記事は「Unyoo.JP」の記事「セルサイドの変革が広告の未来を占う:PROGRAMMATIC I/O 2018より」を要約・編集したものです。オリジナルコンテンツを読みたい方は、こちらをご覧ください!

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この記事の著者

高瀬 優(タカセ ユウ)

アタラ合同会社 コンサルタント。国際基督教大学(ICU)を卒業後、総合電機メーカーで自社製品の法人営業ならびに販売推進業務に従事。その後、自身がリーダーおよびマネジメントを務める音楽バンド活動に専念し、CDの全国流通や全国ツアー等積極的に活動を行う。2016年よりアタラに参画し、国内はもちろん、グローバルに事業を展...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2018/12/11 07:00 https://markezine.jp/article/detail/29825

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