2018年は、東京・民放5局のテレビスポット広告取引指標が変わり、OTTをはじめとした新規プレーヤーが急成長した。日本のテレビ市場が激変していると感じたマーケターは多いだろう。米国では「テレビ離れ」が嘘のように新旧プレーヤーが勃興し、さながら成長産業のような様相を呈している。世界的に見て、もはや「テレビ」という概念は、マス・マーケティングの一部でも、デジタル・マーケティングと対立する概念でもなくなりつつある。本稿ではテレビの視聴質データ分析を専門とする立場から、国内外のテレビ周辺プレーヤーや業界の全体像を示し、日本市場における「テレビマーケティング」の可能性について紐解いていく。
テレビの世界にも、カオスマップがあった
マーケターの皆さんを始め、アドテクノロジーをウォッチしてきた方なら、カオスマップという業界一覧図を目にしたことがあるでしょう。一方でカオスマップといえば、何かと「デジタル」のイメージがあったかと思います。次から次へと新しい進化を見せる業界を表すのに、カオスマップはその進化をよく伝える見せ方の一つでした。
その中で、「テレビマーケティングにもカオスマップがありますよ」とお話しすると、驚かれる方も多いです。米国市場のものとなりますが、以下が、現在最も包括的と言われているものです。
出典:LUMA Partners
CNN、FOXのような放送局はもちろんのこと、NetflixのようなOTTプレーヤーに加え、VIZIO のようなテレビメーカーから、Google、Facebookのようなデジタル・メディアに至るまで、様々な大企業、新興企業が参入しています。当社TVISION INSIGHTSも、左側のData Management & Measurementという枠の中で取り上げてもらっています。
放送局自身がコンテンツプレーヤーとアライアンスを組んで積極的に分析を進めていくこともあれば、他業界の大企業がスタートアップをM&Aしてサービスを提供することもあったりと、その動きを含めて、文字通り「カオス」な姿を示しています。
テレビがこのような変化を見せていることを、新鮮に思われた方も多いのではないでしょうか。ややもすれば「テレビ離れ」と言われ、メディアとしての価値が疑問視されることもある中、なぜテレビがこのようなカオスマップが描けるほどダイナミックな産業のようになっているのでしょうか。
Netflixの視聴セッションの7割はテレビから
Netflixは、今やみなさんご存じで、利用している方も多いサービスかと思います。OTTプレーヤー最大手として、世界的にもトップクラスのコンテンツプロバイダーです。FAANGの一角として 、デジタル時代の代名詞と言えるNetflixですが、実は「テレビビジネス」とも呼べる構造がありました。グローバルで見てみると、アカウントを作成する際は75%がパソコンやモバイル、タブレット経由ですが、約6ヵ月後には70%の視聴セッションがテレビをディスプレイとしてNetflixを視聴しているのです。

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郡谷 康士(グンヤ ヤスシ)
TVISION INSIGHTS株式会社 共同創業者/代表取締役社長
東京大学法学部卒。マッキンゼー・アンド・カンパニーにて、事業戦略・マーケティング戦略案件を数多く担当。リクルート中国の戦略担当を経て、上海にてデジタル広告代理店游仁堂(Yoren)創業。2015年よりTVISION INSIGHTSを創業し、代表取締役社長...※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
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