SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

直近開催のイベントはこちら!

MarkeZine Day 2025 Retail

花王廣澤氏が若手視点で聞く、これまでとこれからのマーケティング

日本ならではのマーケティング、考えたことはありますか?【花王廣澤氏×OB本間氏対談】

デジタルマーケティングとマーケティングのデジタル化は違う

廣澤:本間さんと一つ議論したいテーマがあります。それは、デジタルマーケティング担当者に多い、アドテクノロジー信仰についてです。これまでの本間さんの話を踏まえると、誤った考えかなと思いますが、いかがですか。

本間:一番良いマーケティングとは、お客様と絶えず適切なコミュニケーションを取り続けること。その上で、デジタルが最適ならばとことん活用すべきですが、初めに技術ありきになるのは良くないですね。

 お客様と絶えず適切なコミュニケーションを取るということは、マーケティングという言葉が存在しなかった時代から行われています。たとえば、江戸時代の南蛮貿易で、商人は「特別な陶器をあなただけに」とストーリーを付加してプレミアム感を醸し出すといった、マーケティングらしきことを行っていたと思います。

 インダストリー4.0の時代を迎えた今、南蛮貿易で商人が行っていたことは技術を活用すれば、より多くの人に行えます。その上、売る商品自体も個別最適化して作ることができる。必要なのは、デジタルマーケティングではなく、旧来の優れたマーケティングのデジタル化なのです。

広告のあり方を再考しよう

廣澤:One to Oneマーケティングは昔からフィジカルな方法で存在し、テクノロジーの進化でより高度なことが可能になった、ということですね。では、メディアや広告のあり方については、どのようにお考えですか。

本間:ネット広告の伸長が著しいですが、そもそもインターネットはメディアではないと思うんです。たとえば、映画ビジネスは演劇などをフィルムに焼き付け、多くの方に見てもらうことが始まりでした。そこから、ローカルの話題やニュースなどを見てもらおうとテレビが誕生した。

 これまでのメディアは、先に伝えたいコンテンツがあって誕生しました。一方、インターネットはコンテンツありきのスタートではありません。この成り立ちの違いを見た時に、本当にメディアと呼べるのかと思うところがあります。

廣澤:インターネットの普及と進化で動画などを含めたコンテンツがどこでも視聴できるようになり、テレビなどのあり方も見直されています。確かに、インターネットはこれまでのメディアとは少し違う立ち位置なのかもしれませんね。

 また、最近では音楽フェスやスポーツ観戦などリアルイベントの盛り上がりが目立ちますが、顧客接点の多様化はマーケターとしてコミュニケーションを設計する際には悩みの種にもなっていると思います。

本間:リアルへの原点回帰が進む可能性はありますね。そうなった時、ネット広告は本当に必要なのか、テレビCMはどう活用すべきかなど、改めて考える必要が出てきそうですね。

次のページ
若手はめげずにチャレンジを

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • note
関連リンク
花王廣澤氏が若手視点で聞く、これまでとこれからのマーケティング連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

廣澤 祐(ひろさわ ゆう)

花王株式会社 DX戦略部門

2015年に花王株式会社へ入社し、デジタルマーケティングを経験したのち化粧品ブランドのマーケティングに従事。2021年からDX担当部門としてデジタル活用の推進に従事。2020年より公益社団法人日本アドバタイザーズ協会デジタルマーケティング研究機構 U35プロジェクト幹事を務め...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

マチコマキ(マチコマキ)

広告営業&WEBディレクター出身のビジネスライター。専門は、BtoBプロダクトの導入事例や、広告、デジタルマーケティング。オウンドメディア編集長業務、コンテンツマーケティング支援やUXライティングなど、文章にまつわる仕事に幅広く関わる。ポートフォリオはこちらをご参考ください。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2019/01/25 09:00 https://markezine.jp/article/detail/30119

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング