※本記事は、2019年1月25日刊行の定期誌『MarkeZine』37号に掲載したものです。
テレビとデジタルが分断する背景
テレビとデジタルの関係について考えるとき、マーケターの目はまず、各媒体の広告接触率の違いや接触する生活者の違いに向くでしょう。しかし、目を内に向けて、マーケティングの実行者側である企業の担当者もしくは担当部署の違い、ということも考慮すべき要素です。
これまでは、マーケティング部門が全体のコミュニケーションプランを立案し、そのプランに沿って広告宣伝部がテレビへの出稿計画やクリエイティブチェックを行うことが通例でした。それがデジタルが生活者側に浸透するにともない、従来のマーケティングにデジタルという新たな手段が加わったことで、サイト管理部門やシステム部門などが、マーケティング実行者として新たに参加する企業が増えています。こうして、KPIに対する責任が部門ごとに高まった結果、施策はこれまで以上に細分化され、さらに高度なテクノロジーも駆使されるようになってきます。
この高度なテクノロジーは日々大きく変化し、従来型のマーケティングに親しみを覚えるマーケティングプラン立案者にとって容易に把握できるものではなくなってきています。本来、デジタルという新たな手段は従来型マーケティングの中心であるテレビと連携し、大きなPDCAの一端を担うべきものですが、担当者・担当部門の文化やスキルセットの違いによってうまく連携できていない企業が多いのが現状です。
テレビとデジタルがうまく連携できていない要因として、企業における組織課題の影響も大きいです。テレビとデジタルが連携する上で必要なのは、強い部署間・担当者間の連携ですが、縦割り組織のあり方がテレビとデジタルの横断的な施策立案並びにKPI管理の妨げとなっているケースも多いでしょう。