テレビとデジタルを連携させる意味
生活者が、テレビとデジタルをうまく生活に取り入れている昨今、「若者のテレビ離れ」「高齢者のデジタルリテラシーの低さ」などの課題もよく耳にします。そんな中、デジタルはテレビの補完的ポジションと捉えているマーケターも少なからずいるでしょう。
確かにテレビ施策だけではコミュニケーションが難しいターゲットへデジタル施策を実行することは間違いではありません。ここで、日本のデバイス利用の現状をデータで確認してみましょう。
2017年12月に実施した調査によると、日本人の約8割がテレビとデジタルを併用しているという結果となりました(図表1)。

テレビのみは約15%、デジタルのみは約4%です。つまり、約96%が「テレビを視聴している(テレビ&デジタル+テレビのみ)」と回答しており、テレビを観ていない人を探すほうが大変な状況であることがわかります。
では、マーケターの頭を日々悩ませている若年層ではどうでしょうか。
男性では20代と30代、女性では20代が、「テレビを視聴している」と回答した人の割合が他の年代に比べてやや低くなりますが、それでも9割近くがテレビを観ていると回答しています(図表2)。

テレビ離れをしていると言われる若年層でも大多数が、いまだにテレビを視聴していることがわかります。約1割の「テレビを観ない」という層のみをターゲットとするのであればそこに向けたデジタル施策の実行は妥当ですが、現状、生活者の大多数を占めているテレビ視聴者に向けたマーケティングは不可欠でしょう。
では、デジタルリテラシーが低いとされている高齢者はどうでしょうか。
確かに、男女ともに60代のデジタルデバイス利用率は他の年齢層より低いのが現状で、2〜3人に1人はデジタルデバイスを利用していない結果となりました(図表3)。

この結果を受けて私自身が思うのは、「高齢者はやはりテレビ」ではなく、「数年後はどうなるのだろう」ということです。数年後にはデジタルデバイス利用率が約8割を占める50代が、そしてゆくゆくはデジタルネイティブと言われる世代も高齢者の仲間入りをしていきます。現在の50代以下が年を重ねていく過程で、テレビとデジタルとの連携を強化し、両者を組み合わせて生活者とのコミュニケーションを密にしていくことの重要性はさらに高まることが予想されます。