ソートリーダーになるために
その分野の第一人者、特定の分野やビジネスの世界などでリーダーシップをとっていく人または企業のことを、「ソートリーダー(Thought Leader)」と呼びます。
文字通り、「ソート(Thought)=考え、主張、理念、志」の「リーダー(Leader)=先駆者、指導者、先導者」ですから、業界の将来を見据えて進むべき道を示したり、時には課題に着目して問題提起することもあります。その結果として、特定の分野(業界、ジャンル)において、リーダーとして誰もが一目おく影響力を持つ存在となります。
ソートリーダーとして認知されることで信頼向上につながり、さらに新たな知見を得る機会が増え、より先進的なアイデアにたどり着くことになりえます。また発信力と露出が増えることによって注目され、結果として問い合せや相談を受ける機会も増加し、さらに商談通過率や受注率が上がることも見込めます。
企業に所属するタレント社員がソートリーダーになることで、結果的にその企業が業界のソートリーダーとして評判を高めることも可能です。マーケティング手法として「ソートリーダーたり得るタレント社員を育てる」ことは、有効な手段と言えるでしょう。
ソートリーダーとしてのポジションを確立するためには、前項で挙げたような活動を行う際に、以下の点を意識して行うと良いでしょう。
(1)セグメントを定義する
まだソートリーダーが存在していない分野、もしくは自社や自身の強みを発揮できる領域を、主戦場として定義します。そこで地位を確立することがソートリーダーへの近道と言えます。そのためにも、市場動向、自社の強み、競合情報の研究が欠かせません。顧客や市場の理解がまだ浅く、重要性に気づいていないものという観点も重要となります。
(2) 業界を語る
次に業界を語るという意味でも、専門分野での講師を勤めたり、人に会いにいくときにぜひ用意していただきたいのは、自分達が所属している業界全体の動き(市場規模、競合比較・カオスマップ、業界の過去と展望など)を可視化した資料です。自分で業界を語れるのはもちろんですが、グラフや数字があると相手も理解を深めやすいですし、信頼感が出てきます。そういった意味でもぜひ広報の方にもやっていただきたいテクニックの一つです。
(3) データで語る
調査レポートを資料として作成するのも有効な情報になります。ユーザー調査や市場調査という形で、実際に使っている人にアンケート調査を行うなど、今まで知られていなかった実態を調査することで数値的に見える化できるので、メディアに持っていくことで調査レポートそのものも記事にもなりやすいですし、記事の参考資料として掲載されるケースもあります。セミナー講師を務める場合には、セミナーネタとしても活用できますし、営業ツールとしても使われることもあります。数字で見せることで説得力が増すのも想像に難くないのではないでしょうか。
(4)フェアに語る
注意すべき点は、自社サービスや事業について偏ることなく、フェアかつフラットに業界を語ること。商品をストレートに訴求することではないので、すぐにマーケティング的な効果には結びつきません。それでもフラットな情報として発信することで、ステークホルダーとの人脈構築、ファン形成、信頼感の醸成には大きな効果を発揮します。結果的に「○○のことなら、▲▲に聞いてみよう!」という信頼感を得られます。
(5) 露出する、タレント化する
業界内で「ソートリーダー」として認められると、消費者や顧客からの信用度が上がり、企業や自分自身のブランディング形成や市場価値も上がるのではないでしょうか。そして、それは結果的にその人(タレント社員)が所属している企業の商品やサービスのプロモーションを行うマーケティング活動においても有効ではないかと考えています。こうして「タレント社員」としての自覚が芽生えたなら、「会社のブランド」を落とさないように言動には充分に注意が必要です。
(6) ストーリーで語る
消費者はその企業や製品サービスの持っているストーリーや込められた想いに共感することで、購買へ至るというケースが増えています。企業が事業を通じて社会問題をどう解決しようとしているのか、なぜその商品を開発するに至ったか、などの文脈を顧客は重要視しているのです。
結果的に自社のことを考えるだけでなく、「その業界をどう定義し」、「業界における自社の立ち位置をどう位置付け」、「社会との業界との関係性をどうするか」、といったことに世間の人々が関心を寄せていることがわかります。
タレント社員(エバンジェリスト)は、企業におけるこれらのストーリー/メッセージを体現する役割を担います。個人を会社のスポークスパーソンに据えることで、より身近に感じでもらえたり、相手によってカスタマイズして情報を伝えられるという利点があります。また、アウトプットすることで必要な情報が集まってくるという好循環を生み出すこともできます。
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