本稿はAdobe Summit 2019での発表内容を受け、2019年5月20日に一部内容をアップデートしました。主な変更は、「製品の名称変更」「Adobe Experience Platformの追記」「Customer Experience Managementの追記」の3点です。
Adobe Experience Cloudは「何のため」のツールか
「Changing the world through the Digital Experiences:デジタルを通し顧客体験を変えること」。これは、アドビが掲げているミッションステートメントです。現在、アドビではこのミッションステートメントのもと、PhotoshopやIllustratorなどのクリエイティブツールを提供しているCreative Cloud、PDFや電子サインなどを提供するDocument Cloud、そして今回ご紹介するExperience Cloudの大きく3つのクラウドソリューションを提供しています。
業界的に、Adobe Experience Cloudは、統合型マーケティングクラウドソリューションとしてカテゴライズされます。数年前までは、Adobe Marketing Cloudという名前で提供していましたが、より顧客体験(Experience)を重視する方針のもとリブランディングを行い、現在の名称となりました。
そのような流れもあり、現在、Adobe Experience Cloudは、「最高の顧客体験を提供するための統合されたプラットフォームであり、そのために必要なエコシステムを作ること」を常に目指しています。
デジタルにより企業と消費者が直接繋がるようになり、さらにモバイルによりいつでもサービスを享受できるようになったことで、消費者は常により良い顧客体験を求めるようになりました。それに伴い、他社との差別化の要因は、サービスから顧客体験へと変化してきています。
このような環境で、最適な顧客体験を提供するには、4つのRを実現していくことが重要なポイントとなります。4Rとは、「Right Person:適切な人に」「Right Contents:適切なコンテンツを」「Right Timing:適切なタイミングで」かつ「Right Channel:適切なチャネルで」です。
そして、この4Rを実現するための最初の一歩が「顧客のコンテクストを知る」ことです。その人が現在どのような状態にいるのか、どのようなことを求めているのかを理解してコミュニケーションすること。つまり、増え続けるデジタルタッチポイントにおいて企業内に分散したデータを繋ぎ合わせ、一貫したメッセージやコンテンツを顧客に合わせて適切なタイミングで提供していくこと、Customer Experience Management(CMX)が重要となります。
Adobe Experience Cloudは、Customer Experience Managementのプラットフォームとして、企業が4Rを実現するための製品群といっても良いでしょう。