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秋元@サイボウズ・ラボの注目!海外サービスウォッチ

あのCGMサイトが流行ったワケ 行ったことのある国を記録するサイト「World66」


誰でも回答できるような質問をうまく使ってサイトの参加者を増やした、World66というサービスやその競合・派生サービス等について紹介します。

あのサービスはいまどうなっているのか

 サイボウズ・ラボで職業ブロガーをやっている秋元と申します。サイボウズ・ラボのブログでは、研究員として海外のネットウォッチや技術研究を担当しており、そこで得られた情報や知見を速報的に社員ブログに書いています。 このコラムでは、新着ニュース的なものとは逆に、過去に紹介してきた、海外の興味深いネットサービスやネットマーケティング手法をもう一度振り返り、その後のサービスの状況や競合サービス等をあわせての現状をまとめて紹介していきたいと思います。  

 Markezineでは、トラフィック解析サービスAlexa(アレクサ)の解説を連載していました。Alexaの使い方や注意点などについて、現時点で知っておくべき項目については11回の連載でほぼ網羅しましたので、何か新しいトピックが出るまでアレクサについては置いておくこととします。

クチコミ旅行サイト、World66

 さて、第一回目は、クチコミ旅行サイトWorld66とそのブログパーツをご紹介しましょう。 World66は1999年に設立された、ユーザ投稿をベースとしたオンライン旅行ガイドサイトです。登録ユーザは

  • 住んだことのある国
  • 行ったことのある国
  • 行ってみたい国

 を登録することで、それぞれ濃い赤、赤、濃い灰色に塗り分けられた自分だけの世界地図を得ることができます。この世界地図はウィジェット(日本でいうブログパーツ)としてブログや他のサイトに貼ることもできます。 世界地図以外に、アメリカやカナダの州についても同様の地図を作成できます。

 何かをコレクションしたい、という心理は誰にでもあるものです。地図に空白のところがあればそこに興味が出たり、そこを埋めてみようかという気持ちもでてくるわけで、旅行ガイドサイトとしてはよい仕組みでしょう。それに、どの国に行ったかというのは、誰にでも答えられる敷居の低い質問です。読者に海外旅行をするような層が多ければ世界地図でもいいですし、国内の地図や、もっと狭くは電車の路線の訪れた駅でも応用ができるでしょう。

 また、新たにどこかの国に旅行したときは特に、その地図が自分のブログなどに貼ってあって目につくようであれば、地図を更新するために元サイトに訪問する必要が出てきますので、リピータを確保するという意味でもよくできたウィジェットと言えるのではないでしょうか。

   検索してみたところ、10万ページ以上にこのWorld66の地図が貼られているようです。色分けされた世界地図というデザインも、直感的で何を表しているかわかりやすいですし、このブログパーツからの集客効果は大きいでしょう。

   2005年には、日本地図で同様の地図を生成する経県(経県値&経県マップ)というサイトが開設されています。こちらは地理好きの人のコミュニティによるもののようですので、他のサイトと連動したりする性質のものではありませんが、World66のような旅行サイトや引越し・転職サイトなどでユーザの引き止めや再訪問を促す仕組みとして、日本でも使えそうなアイデアではないかと思います。

  また、地図の塗りわけ以外にも、属人的な「行った・行かない」「したことがある」という情報を可視化できる画像やウィジェットの生成・配布には「集めたい」「完成させたい」という人間の本能的な欲求に訴えるマーケティング的なヒントがあるのではないでしょうか。

サービスのポイント

 このサービスの優れている点を再度まとめると、以下のようになるでしょう。

  • コレクション欲を満たす
  • 誰でも回答できる
  • ユーザの行動が再訪問を喚起する

 ユーザ生成(CGM)の旅行ガイドとして、競合にはWorld is roundWikitravelなどがあります。WikitravelとWorld66は2006年に買収の結果同じInternet Brands社の所有となっています。また、日本ではフォートラベルなどが類似サービスと言えるでしょう。

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この記事の著者

秋元 裕樹(アキモトヒロキ)

週3日はサイボウズ・ラボ職業ブロガー勤務。著書に「PHPxWebサービスAPIコネクションズ」「実践Web2.0 BOOK」など。
個人では比較表コミュニティならべてや日本のITを海外へ紹介する英語サイトアジアジンを主宰。個人ブログ

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2008/04/09 12:19 https://markezine.jp/article/detail/3080

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