ストーリーズで追うべきKPIは、視聴時間ではない?
誤解その2:ストーリーズは視聴時間が短いから活用しづらい
――2つ目の誤解は、ストーリーズに関する内容です。その利用率が伸びていることはよく知られている一方、視聴時間が短いことを不安視するマーケターもいるようです。
田野崎:これは広告運用の現場でもよく相談されます。「視聴完了率が他のメディアと極端に違う。なんとかしないといけない」という話はとても多いです。ただ、動画の視聴を楽しむ場面が多様化している点には注意が必要だと思います。
そもそもの前提として、ストーリーズは、他のSNSのタイムラインや動画サイトのプリロール、TVCMなどと比べて視聴時間が短い傾向にあります。フルスクリーンで表示されるストーリーズは、次から次へとテンポよく楽しめるところが人気を集めているのです。
しかし、マーケティングの最終的なゴールは売り上げですよね。そう考えると、再生時間や完了率は中間指標に適していません。ですので、広告主の皆様には「ブランドリフトをKPIにしましょう」と提案させていただいています。
ただ、様々な事情により、「それでも再生時間を伸ばしたい」というニーズはあるでしょう。当社でも継続的に試行錯誤していますが、ストーリーズ広告でもクリエイティブの設計次第で再生時間を伸ばせることもわかってきました。現状では、2つのクリエイティブフォーマットが鍵になると考えています。
1つは、先日リリースした「アンケートスタンプ」機能。ストーリーズ上に2択の質問を設置し、タップするだけで投票できる機能です。人は質問を投げかけられると答えたくなるのか、CTRや視聴完了が向上する事例が見られています。やはり、SNSではインタラクション性の高いクリエイティブが受け入れられるようです。
もう1つ効果が高かったのは「カルーセル」。1つのストーリーズ広告を複数のカードに分けて掲載可能なフォーマットです。タップをしても次の静止画または動画のチャプターに進むので、再生時間が伸びる傾向にあります。また、カードの仕掛けを使って、より深いブランド理解を促すような仕掛けを加えることで、CTRやCVRなどへの効果も確認されています。
松重:ストーリーズでインプレッションを増やし、UGCを促進するという活用方法もあります。以前、当社で大学生にアンケートを実施したところ、投稿・閲覧ともにストーリーズをよく利用している方が圧倒的に多いことがわかりました。
こうした傾向を踏まえて、時計メーカーのセイコーさんの事例では、画像の投稿を促すプレゼントキャンペーンをストーリーズで告知してみました。すると、翌日から投稿数が明らかに増えたのです。特に若年層に訴求するときには、ストーリーズの活用が欠かせなくなっています。