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「国内とは違う需要と価値がある」eBayが語る、今こそ越境ECを始める理由

 「越境EC」というキーワードが出始めた当初、その周辺では爆買いや春節などのイベントが存在感を持ち、中国が主な市場として注目を集めていた。そんな越境ブームが起こる以前から越境ECを支援し続けてきたのが、オンラインマーケットプレイスのeBayだ。アメリカを中心に、世界190ヵ国をカバーする大規模プラットフォームだからこそわかる、越境で「売れる商材」「成功する事業者」とは。イーベイ・ジャパンの趙恩淳(チョウ・ウンスン)さんに語ってもらった。

「越境ECを身近に」eBayの手厚いサポート

――趙さんのご経歴と現在の業務内容、そして改めてeBayというプラットフォームについてお聞かせください。

もともと外資系消費財メーカーで10年以上国内向けのマーケティングを担当していたのですが、海外市場に可能性を感じ、新しいフィールドにチャレンジしたいという想いから、2018年9月にイーベイ・ジャパンへ入社しました。現在はマーケティング部のリーダーとして、越境ECを検討してもらえるような情報発信、その情報を得た企業様がeBayを始めやすい環境作りに取り組んでいます。

eBayは1995年にシリコンバレーで設立されたオンラインのマーケットプレイスなので、プラットフォーム自体はアメリカをベースに全世界で使える反面、すべて英語になっています。日本のセラー様にも出品やバイヤーとのやりとりを英語で行っていただく必要があるため、その点にハードルを感じてしまう方もいらっしゃると思いますが、多くのセラー様が翻訳ツールを駆使するなど、工夫されつつ出品されています。

イーベイ・ジャパン株式会社 マーケティング部 部長 趙恩淳(チョウ・ウンスン)さん

もともとの出自がオークションということもあり、中古やCtoCを含む多様なターゲットに向けたプラットフォームであるという点がeBayの特徴です。また、中古品やブランド品に強いeBayではより信頼できる商材を出品、購入していただけるよう、第三者の業者と提携して商品の真贋を判断してもらう「eBayオーセンティケイト」という独自のプログラムを導入しています。あとは1.79億人規模のバイヤーが世界各国にいることで、セラー様にいろいろなチャンスを提供できるのも強みのひとつです。

イーベイ・ジャパンは越境ブームが起こった2014年より前の2009年から、約10年に渡って越境ECの支援を行っています。これほど長い間EC事業者の越境ECをサポートしている企業は他にいないのではないでしょうか。日本のセラー様と他国のバイヤーの間で生じるギャップを日本語で、日本時間にサポートするのが我々イーベイ・ジャパンの存在意義です。

より多くの方に向けて越境ECビジネスをサポートするために、「法人無料スタートサポート」というものも進めています。簡単な入力や審査、書類の提出は発生しますが、サイト上のボタンから無料で登録していただけます。主なサポート内容としては、出品時に日本語で利用できるツールを提供したり、各国のECに関する情報を発信したりするというものです。

とくに後者の情報は非常に重要で、アメリカでインターネットタックス制度が始まるなど、国によって関税や法律は変わることがあります。世界各国の支社からそういった情報が早く集まるので、法人登録を行っていただければイーベイ・ジャパンで翻訳した情報を日本のセラー様にもお伝えしています。

越境ECで売れる商材と成功するセラーの特徴

――長年越境EC業界を牽引されてきた御社だからこそわかる「海外で売れる商材」の特徴はありますか?

一般的に「越境ECで売れる商材」として着物や和食器といったトラディショナルな商材がイメージされるかもしれませんが、実はアツいのが中古ブランド品です。

前述のとおり、eBayの原点はオークションです。バイヤーが宝探し感覚で趣味のものや一点物を探しにサイトを訪問するので、中古品の需要が高いプラットフォームであると言えます。中でも日本は古物商の許可を取得しないと中古品を扱えなかったり、本物と偽物を警察庁で厳しく取り締まっているなどの理由から、偽物が少ないんです。また、物を大切に使う日本人の美徳ゆえ、海外で「日本の中古品は状態が非常に良い」と言われているのは有名な話です。このような背景から、日本では10万円で売れているものが、海外だとプレミアがついて30万円で売れることもあります。中古ブランド品を扱うセラー様は、越境に大変やりがいを感じているとおっしゃっていました。

もうひとつ特徴があるとすれば、日本ではあまり好まれない色やサイズが海外だと逆に好まれる傾向があります。日本とは異なる需要を、越境ECの意義と捉えているセラー様は多いです。

このように、市場を世界に広げれば需要は必ず見つかります。そこにカチッとはまる商材をお持ちの場合は新たな展開ができるので、そこが越境ECのおもしろみだと思います。

「越境ECに関する実態調査」(イーベイ・ジャパン/2019年3月に実施)より

――御社では、越境ECを3年以上継続しているセラーを対象に「越境ECに関する実態調査」(参照)を実施されました。その調査結果から見える「成功しているセラーの特徴」を教えてもらえますか?

日本とは異なる文化に直面しても適応できる柔軟性と、ポジティブなマインドをお持ちのセラー様が成功されていますね。

たとえば、海外ではおおむねバイヤーの立場が強く、彼らが低い評価を付けたセラー様に販売制限がかかることもあるのですが、そういった文化を受け入れて対応していかなければ海外のマーケットで戦うのは大変です。異文化へ柔軟に適応し、前向きに挑戦されているセラー様が成功する傾向にあると思います。

――越境ECにおいて、多くのセラーが「言語」と「配送」に不安を感じています。

アンケートでは60%以上のセラー様が「基礎会話レベルで英語を使っている」と回答されていました。すぐにそのレベルまで到達することは難しくても、翻訳ツールを使えば基本的な出品やバイヤーとのやりとりは可能です。

配送については、日本郵便やDHLというパートナー様とeBayで密に連携しています。配送後のトラッキングはもちろん、eBayが開示するAPIとeBayが認定する第三者ツールを使って国内販売と在庫を連携していただくことも可能です。

「越境ECをやめようと思った時期はありますか?」という設問に対し、12%のセラー様が「はい」と回答されていました。そこであきらめず、大きな視野を持って業務プロセスの見直しなどに取り組み、継続された方が結果的に成功されているのではないでしょうか。

まずは100点出品で売れるポイントを探る

――「とにかくやってみること」「継続すること」が重要とのことですが、第一歩としてeBayに出品する際、心得ておくべきポイントはありますか?

eBayでは、出品商材が重要だと考えています。どの商材がヒットするかは出品してみなければわからないので、まずは100点以上出品してみることをおすすめします。それだけの商品数がそろってはじめて、何がいくらで売れるのかをeBayで試していただけると思います。そのようにしてナレッジが溜まってくると、次の仕入れやマーケティングにも活用していただけるはずです。

また、為替の動きを意識することも大切です。円安になると輸出がしやすく、円高になると海外の商品を仕入れやすくなるので、為替に応じた適切な動きが利益を生むこともある点は越境EC特有のおもしろみだと思います。

――最後に、越境ECをこれから始める方や、過去に挑戦したものの挫折した方に向けてメッセージをお願いします。

日本の人口は減少傾向にあり、ECの成長率も上位10カ国中日本だけがひと桁である点を鑑みると、国内のマーケットだけを見ていては限界が訪れます。国外へ目を向けた時に感じる言語、文化、配送、関税の壁を前に立ち止まってしまってはもったいないので、第一歩としてeBayのようなマーケットプレイスで始めてもらうのが良いのではないでしょうか。本だけでは学べない体験やナレッジを獲得していただけると思います。

「越境EC」と聞くと、爆買いの印象が強い中国をイメージされる方が多いかもしれませんが、海外の市場は中国だけではありません。単価の低い日常品がよく売れる中国に対し、eBayが強い市場である米国やヨーロッパではひとりあたりのEC購入単価が中国よりも高く、少し値が張っても自分の欲しい物を買いたいという傾向が強いと言えます。また、オーストラリアでは50%以上の方々が越境ECで買い物をされています。

国によってよく売れる商品カテゴリーが異なります。「自社の商材は中国に向いていない」と越境ECをあきらめた方には、eBayを通して他のいろいろな国を検討していただきたいです(了)。

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この記事の著者

渡辺 佳奈(編集部)(ワタナベ カナ)

1991年生まれ。慶應義塾大学環境情報学部を2013年に卒業後、翔泳社に新卒として入社。約5年間、Webメディアの広告営業に従事したのち退職。故郷である神戸に戻り、コーヒーショップで働く傍らライターとして活動。2021年に翔泳社へ再入社し、MarkeZine編集部に所属。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2019/05/08 10:00 https://markezine.jp/article/detail/30970