盛り上がりを見せるad:tech
今回のad:techでは1万人を超える参加登録者、250を超える展示企業など、さまざまな分野で記録を塗り替えた。ITバブル崩壊後、かなりの落ちを見せていたデジタル・ネットマーケティングへの興味がここ2、3年着実に戻ってきていることを感じられる。また、自動車、IT、家電、金融などの業界だけではなく、消費財などでも、その業界のトップ企業が広告費をマス広告から、オンラインや新しいメディア、手法にシフトしているという現状がアメリカでは聞かれており、それに負けじと競合や今まで大手企業ほど予算が避けなかった中小企業もad:techなどに参加して、ネットマーケティングの現状を学ぼうとしているという姿勢が見えた。
検索連動型広告、Podcast(注1)やブログ、クチコミマーケティング、リッチメディア、新規テクノロジーなど様々な話題が話しあわれたが、全体として大きな話題になっていたのはソーシャルメディアだ。ソーシャルメディアとは、ブログ、ソーシャルネットワークサービス、ビデオ共有サイト、Podcast、ソーシャルブックマークなどを総称した言い方で、CGM(Consumer-Generated Media)(注2)と同等の概念と考えていいだろう。現在、大きくユーザやトラフィックを増やしているサイトは、コミュニティやコミュニケーションのプラットフォームでほぼ何らかのソーシャル性を持っていると言っていいだろう。基調講演の一つで現在のオンラインメディアの現状で話をしたYahoo!、Google、PayPalなどに投資してきたベンチャーキャピタル、セコイヤキャピタルのMark Kvamme氏のスピーチにも、最近ではビデオ共有サイトYouTubeに投資しており、これからもソーシャルメディアへの投資を積極的に行っていくという話が聞かれた。
今後注目のソーシャルメディアは?
YouTubeは2005年2月に立ち上がったサビデオ共有サイトであるが、正式サービスとなった12月には一日300万のビデオが思潮されてたのが現在では4000万を超えており、日本からも212万のユーザーがいるという話を聞いている。短期間でこれだけの成長を見せているのだ。
これに対抗するように、5000万人以上のメンバーを持つアメリカ最大のソーシャルネットワークサイトMySpaceもビデオ機能をつけ始めた。MySpaceは、もともとインディーバンドなどが自らの曲を公開し、ライブやCDについての情報を流したり、CDを販売したりと、クリエーター的な人たちに使い勝手のよいツールなどを多数用意していたので、ビデオサービスを導入するのはさほど難しいことではなかったと考えられる。
Google Adwordsなどコンテンツ連動型の広告で、MySpaceなどソーシャルネットワークでのクリックスルー率がとても低く、媒体としての価値に疑問がつく部分もあるが、映画やTV番組などの予告編をいれたり、出演者をメンバーとして参加させるというようなキャンペーンは数々行われている。広告主の中には、ミュージシャンをスポンサーして、そのミュージシャンをSNSのメンバーにするというような手法を試しているところもある。
消費者同士の対話の中に広告主が入っていくという今までとは違うアプローチでマーケティング活動をしていく必要があるソーシャルメディアだが、ユーザーの爆発的な増加で、広告メディアとしても注目が集まっている。さらに新しいキャンペーン手法が生まれてくるに違いない。