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Twitterプロモーションの最新動向を追う(AD)

アルペン、セカンドストリート、中京テレビが明かす、名古屋企業のTwitter最新事例

 2019年6月12日に名古屋で開催されたTwitter Japan主催のイベント「#Twitter4Nagoya」。多数の参加者で埋まった会場では、スポーツ用品販売大手のアルペン、リユースショップセカンドストリートのTwitter活用事例をはじめ、インストリーム動画広告のコンテンツパートナーである中京テレビの取り組みが紹介された。この記事では、これらの講演の模様をレポートする。

Twitterオーディエンスがもたらす3つの価値

 Twitter Japanが名古屋で初開催したイベント「#Twitter4Nagoya」。最初の講演に登壇したのは、同社で広告事業の責任者を務める味澤将宏氏。同氏は講演の中でTwitterオーディエンスが広告主にもたらす3つの価値について明らかにした。

Twitter Japan株式会社 上級執行役員 広告事業担当本部長 兼 日本・東アジア地域事業開発担当本部長 味澤 将宏氏
Twitter Japan株式会社 上級執行役員 広告事業担当本部長
兼 日本・東アジア地域事業開発担当本部長 味澤 将宏氏

 1つ目の価値は、情報・広告への受容度が高い点。Twitter利用者には情報を自ら取りに来る姿勢の人が多く、企業公式アカウントを積極的にフォローする、広告に対する受容度が高いというデータも出ているという。

 2つ目の価値は、話題にしてくれる点。Research Now調べでは、ツイートを家族や友人に見せて会話の話題として使用する人が68%もいる。さらに他のSNSに比べ情報をシェア拡散しやすく、気軽に意見や感想を投稿できるというリサーチ結果も明らかになった。

 そして、3つ目の価値は広告の成果につながる点。プロモツイートにエンゲージした利用者のリフト値の平均を見ると購入意向が18%、ブランド好意度が12%向上しているという。

 これらの価値を踏まえ味澤氏は「Twitterはブランドとオーディエンスをつなぐプラットフォーム。ぜひ名古屋の皆さんも、この後のセッションを参考にしてTwitterを活用いただければと思います」と語り、講演を締めくくった。

Twitter広告で来店への貢献度を探る

 味澤氏の講演に続いて、味澤氏の語った3つの価値を踏まえTwitterを活用する、企業担当者による事例セッションが行われた。まず登壇したのは「スポーツデポ」「ゴルフ5」「アルペン」「ミフト」といった店舗を展開するスポーツ用品販売大手のアルペン。同社では、デジタルシフトに対応すべくTwitterを使ったデジタル広告施策に注力し始めている。

 これまではシニア層の顧客が多いことから、セールが行われる週末に大量の新聞折り込みチラシや全国的なテレビCMなど、マス広告を中心としたマーケティングを行ってきた。

 デジタル施策もチラシを補完する位置づけで、チラシをデジタル化したものを「Shofoo!」などのチラシ閲覧アプリに掲載。その他にも純広告や検索連動型広告などをチラシ広告で余った予算をもとに実施していたという。

 そうした中、デジタルメディアグループのチーフとしてデジタルを担当する蟻川悠貴氏は「ECと違いコンバージョンが計測できず、施策が購買にどれだけ関与したか可視化して検証しづらいことを長年の課題としてきた」と話す。

株式会社アルペン スポーツマーケティング部 デジタルメディアグループ 蟻川悠紀氏
株式会社アルペン スポーツマーケティング部 デジタルメディアグループ 蟻川 悠貴氏

 「近年は来店計測が可能な媒体が増えてきて、当社でも『Google Store Visit』を導入して来店コンバージョンを測っています。とはいえ、各種SNSも台頭してきたので、そこに対するアプローチも欠かせなくなっている。各プロダクトの媒体特性を生かして広くリーチできる広告出稿が必要だと考えていました」(蟻川氏)

 Twitter広告への出稿を開始したのは2018年9月から。来店にどれだけ貢献したかをKPIにするため、サイバーエージェントの位置情報を活用した行動分析ターゲティングツール「AIR TRACK」と連携して、来店数の計測をしている。

費用対効果の検証できる仕組みを実現

 続いて蟻川氏は、実施した広告メニューについても明らかにした。配信したのは、(1)プロモツイート、(2)インストリーム動画広告、(3)ビデオウェブサイトカードの3つ。特に(2)(3)の動画広告に力を入れているという。

 これら3つのメニューをスポーツ・ファッションの興味関心層をターゲットに、紙チラシ、デジタルチラシを出稿するタイミングで配信。週末セールやキャンペーンの情報を届けてLPに誘導し、そこからの来店およびECでのコンバージョンを計測した。

 蟻川氏はTwitterの施策の結果について「他のSNSと比較して、来店単価や他の数値の面で非常に満足できる効果が得られた」と話す。

 来店コンバージョンだけでなく、来店数や購買率、LTV、客単価を見て想定売上高を算出し、ROAS(広告費用対効果)やROI(投資対効果)を出すことでデジタル広告の費用対効果を検証。加えて、クリエイティブ別のクリック率、来店CVR、視聴率も分析することで、クリエイティブの改善も含めたPDCAサイクルを回せるようになっているという。

 また、インストリーム動画スポンサーシップ(以下、IVS)の効果についても語られた。これは指定したパートナーのコンテンツが始まる前に広告配信できるというメニューだが、アルペンはJリーグのIVSを実施。非常に親和性が高いコンテンツに広告配信できたことで、通常の動画広告と比較して視聴率が12%高い結果になった。新規顧客獲得やブランドイメージの醸成につながったと考えている。

 講演の最後、蟻川氏は今後の施策に関する展望も明らかにした。

 「配信メニューと動画種別(動画尺の長短や訴求内容)をどのように組み合わせれば、来店の成果を最大化できるかを引き続き検証したい。また、広告だけでなくTwitterと連動したキャンペーンを展開することで、新しい顧客の取り込みにも活用したいと考えています。そうすることで、広告配信の成果向上にもつながるのではと期待しています」(蟻川氏)

TwitterはZ世代とのコミュニケーションに役立つ

 続いて登壇したのは、ゲオネットワークスの高井達氏。リユースショップ「セカンドストリート」のネット広告やキャンペーンを担当している。

ゲオネットワークス ネットワーク運営部 運用課 セカンドストリートWEB広告担当 高井 達氏
ゲオネットワークス ネットワーク運営部 運用課
セカンドストリートWEB広告担当 高井 達氏

 「もったいない」という消費者の環境保存意識の高まりからか、リユース市場は継続的に広がっており、セカンドストリートも全国600店舗に拡大している。洋服やバッグの買い取りを中心に、ハイブランド品から家具・家電まで幅広く中古品の買い取りを行い、買い取った商品は季節に応じて変化させる提案型ショップとしてリユースショップのイメージを変えてきた。

 現在はリユース事業にとどまらずオリジナルブランドの展開もしており、様々なコンセプトのもと、全世代の男女をターゲットにしている。

 その中で、同社がデジタル広告のミッションと掲げるのが、「Z世代」の新規顧客へのリーチだ。ここでのZ世代とは、1996年以降に生まれた20代中盤前後の年齢層の人たちのことを指す。

 自由時間のほとんどはネットに使い、テレビやリアルの広告では接触できないZ世代にとって、SNSは非常に重要なタッチポイントだ。ゲオネットワークスでは、SNSの中でもTwitterをZ世代との重要な接点として活用している。

 具体的には公式アカウントでセールやキャンペーン情報、オウンドコンテンツの配信を行っているが、オーガニックの関連ツイートでは、店舗を利用した際のコメントが多く「掘り出し物が買えた!」といった投稿が多い。

 そのモーメントをクリエイティブに生かし、「1点もの多数」などプレミアム感を演出したバナーを作ったところ、従来のバナーに比べCTRが向上したという。

ブランドセーフを実現するインストリーム動画広告とは

 このバナー広告に加え、動画広告のプロモーションも展開してきたが、実施していく中でそれまでとは違う課題が出てきたと高井氏は話す。

 1つ目の課題は、バナー広告と動画広告の評価。プロモーション効果を最大化するために、それぞれの広告の特性を理解し、この2つの評価の違いを検知する必要があったという。

 そこで、バナー広告はクリックからのコンバージョン数、そこからCPAを算出する従来の評価をしつつ、動画広告はインプレッションからのビュースルーコンバージョンとGoogleアナリティクスのアトリビューション起点のコンバージョンで評価している。

 2つ目の課題は、ブランドセーフティとネガティブブランディング。ブランドセーフティは、様々な広告枠に対するインプレッションが増えていくと、それに比例して広告枠のクオリティコントロールが難しくなり、ブランド毀損のリスクが高まる。この点を高井氏は懸念していた。

 またネガティブブランディングとは、動画コンテンツが見たい利用者に対して、親和性が薄い広告を出すとブランド毀損につながりやすいという問題だ。

 この課題を解決できる、ブランドセーフで親和性の高いプロダクトを探している中で見つけたのが、Twitterのインストリーム動画広告(以下、IVA)である。

 ブランドセーフティに関しては、Twitter認定のクオリティが高い基準で守られているコンテンツパートナーの動画コンテンツ枠にのみ配信されるので、想定外の場所で広告が表示される可能性はかなり低い。ネガティブブランディングに関しても、コンテンツカテゴリーを選択することで、自社ターゲットとの親和性の高いコンテンツの前に広告を配信できるので、ネガティブな印象を最小限に抑えることができる。

 IVAでセカンドストリートの店舗キャンペーン告知を行ったところ、GAアトリビューション起点でのコンバージョン評価では大幅にリフトアップし、大幅なコストダウンにもつながった。

 Z世代へのアプローチについても、動画の視聴完了数の半数以上をZ世代が占めており、成功したと考えている。

 「今後は、Twitterの利用シーンを想定した、見て楽しめる・役に立つ動画を用意することでフィードに馴染んだコンテンツ型動画広告を作成し、新規顧客への最適なアプローチを図っていきたいです」(高井氏)

中京テレビがTwitterでのコンテンツ配信を強化する理由

 IVAのブランドセーフティについて話があったが、Twitterには200を超えるコンテンツパートナーがいる。その中の1社である中京テレビがゲストとしてセッションに参加し、Twitterとの取り組みを語った。

 中京テレビとTwitterとの取り組みが始まったのは、2018年の秋頃。Twitter Japanからコンテンツパートナーに関する要望があった。

 その頃、地上波の広告収益がダウントレンドにあり、中京テレビも新しい収益獲得を目指す上でネット広告に注目していた。これまでは、番組の放映権販売、DVD販売、書籍展開などがマネタイズとして一般的だったが、現在はネットでの動画配信や、海外配信が急激に伸びている。コンテンツビジネスの再構築の必要性を痛感していたと編成局 編成部長の村井清隆氏とビジネス推進局 インターネット事業部長の林義人氏は語る。

左より、Twitter Japan株式会社 コンテンツパートナーシップ シニアマネージャー 髙田 仁一郎氏中京テレビ放送株式会社 編成局 編成部長 村井清隆 同社 ビジネス推進局 インターネット事業部長の林義人氏
左より、Twitter Japan株式会社 コンテンツパートナーシップ シニアマネージャー 髙田 仁一郎氏
中京テレビ放送株式会社 編成局 編成部長 村井 清隆氏
同社 ビジネス推進局 インターネット事業部長 林 義人氏

 とはいえネット配信をすぐに進めようと思っても簡単にはいかない。なぜならテレビ局が作るコンテンツは地上波放送ファーストに考えられており、どこのプラットフォームでも配信できるわけではなく、ライツ関係(音楽・出演者の権利)の整理をしないと配信できないからだ。

 制作現場において、音源のフリーユースの使用や事前の芸能事務所との調整なども求められるので、制作側に相当な理解が求められてしまう。

 これらのことが配信を進める上でボトルネックとなっており、今編成部とインターネット事業部が旗振り役となり、マネタイズ戦略のデザインを進めている。今年の春からは、いくつかのコンテンツをTwitter上で配信開始した。

SNS兼動画配信プラットフォームのTwitterを最大限活用

 はじめに紹介されたのは、「マンガ飯」という元々は地上波で放送されたコンテンツ。

 制作前からネット配信、海外番販・配信を前提に番組制作をお願いし、放送後年末にHuluで配信して好評だったところ、Twitter Japanから声がかかった。

 「1時間の番組を5分~10分の尺にして、Twitter上の広告配信用に編集してもらいセールスいただいたところ、4日で広告枠が売れたと聞きました。同番組のテレビCM枠も買えないかという話にもなったそうです」(村井氏)

「マンガ飯」でのTwitterスポンサーシップ
「マンガ飯」でのTwitterスポンサーシップ

 その他にも「ボイメン ジャパネスク」「100 TAINER」など、複数番組をTwitter上で配信。冒頭のナレーションが英語になっていたり、英字幕が入っていたりと、両番組ともにグローバルでの展開も視野に入れたものになっている。

 「このように海外展開を見据えたコンテンツを、海外のIVAに配信していくことも可能なので、新たにマネタイズできる可能性がある」と、Twitter Japan コンテンツパートナーシップ シニアマネージャーを務める髙田仁一郎氏は話した。最後に同氏は、林氏、村井氏それぞれに現在のコンテンツに対する考えを尋ねた。

 「現在のテレビ局のデジタル化については、正直対応していく難しさを感じています。ですが視聴者の情報の取り方が変わってきているので、テレビでの発信にとどまらない情報発信は必須のものになっています。我々はローカル局ですが、そこからさらに情報を広げるにはSNSは必要。SNSであり動画配信プラットフォームであるTwitterを最大限活用していこうと思います」(林氏)

 「我々編成が掲げている1つの戦略として、コンテンツの価値の最大化があり、地上波での広告価値はもちろん、ネット配信の中でどうリーチを広げていくかが重要と考えています。そこでTwitter Japanさんとの取り組みはもちろん、ネット配信には力を入れていきたい。ただ、コンテンツの制作者に理解してもらわなければいけないし、ネットで拡散させる動画制作のノウハウはまだまだ未熟であり、勉強していかないといけない部分。今回の取り組みをきっかけに、制作側と協力し良いコンテンツを提供していきたい」(村井氏)

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この記事の著者

畑中 杏樹(ハタナカ アズキ)

フリーランスライター。広告・マーケティング系出版社の雑誌編集を経てフリーランスに。デジタルマーケティング、広告宣伝、SP分野を中心にWebや雑誌で執筆中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2019/08/09 11:00 https://markezine.jp/article/detail/31414