そのメルマガ「口下手」じゃないですか?
――今回エンゲージメントを目的としたメルマガ「三チャン」を企画された背景として、メルマガに関してどのような課題認識をお持ちだったのでしょうか。
武隈:課題は2つありました。1つは、当社には、知っていただければお客様のメリットになるようなサービスがたくさんあるのですが、うまく伝えきれていないというものです。たとえば、お使いのカードによっては旅行の補償が付帯しているのですが、そのことを知らずに補償が重複する旅行保険を検討されるお客様がいらっしゃいます。
こういったサービスやキャンペーンなどの情報は担当部署でKPIが設定されているので、それに即していればプロモーションメールやDMで着実にお客様に届けられます。けれど、KPIに影響しにくいがお客様にとって魅力的であろうサービスについてはうまく伝えられていない「口下手」なところがあったのです。そこで、お客様が知りたいはずの情報が伝わるように発信して、三井住友カードを好きになってもらう施策に大きな可能性を感じていました。
2つ目は、そもそも伝えようとしきれていない点。ユーザー視点を考慮せず、ただこちらから伝えたいことを羅列したようなメルマガを配信していたんです。
かしこまった文章がただ記載されているメルマガは事務連絡感が強く、お客様には「自分に必要な情報は載ってなさそうだ」と思われてスルーされがちです。読み手の気持ちを置き去りにしたメルマガをこのまま配信していてもいいのか、とずっと考えていました。
メールにできてSNSにできないこと
福田:私は2015年に中途入社したのですが、そのときに世間には知られていない三井住友カードの魅力にたくさん気づき、これはお客様にもっと伝えていかなければと感じました。
メルマガは、プッシュ型チャネルの中では最大のリーチ数を保有しているし、安価でスピーディーに情報を発信できます。この強力な武器を活用すれば「口下手」状態を克服できると考えたんです。
――発信手段として、SNSの活用も検討されたのでしょうか。
武隈:主要SNSでの告知も試みましたが、いやらしい感じが出がちでした。いちユーザーとしてSNSを見たとき、「お客様のお声にお答えしてこのようなサービスを出しました」などと企業アカウントで告知されても、押し付けがましい感じがしてあまり良い印象を受けなかったのです。
福田:しかもSNSの投稿はフロー型で、基本的にタイムラインにそって流れていってしまうので、投稿単体で完結した内容にしなければいけないのがネックでした。間髪いれずに連続投稿しない限り、前の投稿と次の投稿を見比べられることはほとんどありません。また、SNS投稿では1投稿あたりのボリュームはどうしても少なくしなければいけない。
今回、私たちはストーリー性のある企画を考えていたので、ストック型でボリュームのあるコンテンツを載せられるメルマガが適しているだろうと考えました。