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『MarkeZine』(雑誌)

第106号(2024年10月号)
特集「令和時代のシニアマーケティング」

MarkeZineプレミアム for チーム/チーム プラス 加入の方は、誌面がウェブでも読めます

定期誌購読者インタビュー(AD)

「業務に活かせるかどうかの視点で読む」JALの山名氏に訊く定期誌『MarkeZine』の読み方

 MarkeZine編集部がマーケティングの最新事例や担当者の生の声をお届けしている定期誌『MarkeZine』。「知っているけど購読していない」「購読者がどんなふうに活用しているのか気になる」──そんな方のために、編集部では2017年から購読していただいている日本航空(JAL)の山名敏雄氏に、本誌の読み方やマーケティング関連の情報収集についてうかがった。Webコミュニケーショングループ長の山名氏は、本誌にどんな価値を見出しているのだろうか。

関心のない記事からでも役立つ情報は得られる

──定期誌『MarkeZine』の購読者インタビューということで、まずは山名さんご自身のことをお尋ねします。山名さんはJALのコミュニケーション本部でWebコミュニケーショングループ長を務めていらっしゃいますが、いつ頃からデジタルマーケティングの業務に携わるようになったのでしょうか。

 今の部署に配属となったのは2016年4月からで、入社時は現在のIT企画部にあたる部署でプロジェクトマネージャーの補佐業務を行っていました。その後は成田空港に赴任して旅客ハンドリング、いわゆる現場での接客業務を担当し、Webの仕事とは直接関係のない業務に携わっていました。デジタルマーケティングに深く携わることになったのは、現在のWeb販売部にあたる部署に所属してからでした。

 それが2000年代のことで、その後またIT部門で様々なプロジェクトを担当しました。デジタルマーケティングの仕事が非常におもしろかったので、再度デジタル領域の業務をやりたいという希望を出していたところ、2016年4月に新しくWebコミュニケーショングループが立ち上がることになり、そのグループを任されることになったのです。

 WebコミュニケーショングループはコーポレートサイトやSNSなどデジタルツールを活用してユーザーとコミュニケーションを行うことがミッションです。特にSNSについては、それまでは様々な部署に担当が分散しており、専門の主幹部署があったわけではありませんでした。しかし、時勢もありきちんと運用していく必要があるということから、私たちのグループが設立されることになりました。デジタルマーケティングに関しては現在のWeb販売部にあたる部署で出会い、そして今のWebコミュニケーショングループでの仕事では当時の経験も活かしながら、最新のトレンドも取り込み日々奮闘中です。

──グループの責任者として、日々マーケティングに関する情報を収集されていると思います。媒体はたくさんありますが、その中で定期誌『MarkeZine』を購読するようになったのはどうしてなのでしょうか。

 Webメディアに関してはメルマガを登録してチェックするようにしていますが、数が多いのでどうしても埋もれていってしまいます。かといって記事を探しに行くのも手間ですよね。重宝しているのがFacebookでシェアされてくる記事で、関心のある記事は目にとまりやすいです。ただ、情報が断片的で興味の偏りも出てしまうので、仕事や関心に直接関係がなくても有用そうな情報に触れることを意識しています

 こうした情報収集の方法に適しているのが紙の情報誌です。定期誌『MarkeZine』を購読しているのは、やはり紙でほどよいボリュームのまとまった情報を集められるのがいいですね。グループ内でも回し読みして、「あの記事読んだ?」とコミュニケーションに利用しています。

──Webだと顕著ですが、自分に関係がない、関心のない記事だと目に入らない方も多いと思います。もちろんそれは紙でも同じで、とりわけ雑誌形式だとそういう特集や記事が多くなりがちです。山名さんは仕事や関心から遠い内容の記事でも目を通しますか?

 いちおうすべて読むようにしています。ぱっと見では仕事に関係がなさそうでも、実は読んでいると自分の業務に適用できそうなコツが書かれてあることが多いんです。関心がなかった領域から得られた気づきはとても大切だと思います。

山名敏雄さん
山名敏雄さん:日本航空 コミュニケーション本部
ブランドコミュニケーション・東京2020オリンピック・パラリンピック推進部 Webコミュニケーショングループ長

定期誌で他社の事例を知り、取り入れることも

──山名さんはMarkeZine以外にも多くの媒体から情報収集されていると思いますが、どういった記事を読むことが多いですか?

 よく読むのはセミナーやイベントのレポートですね。登壇される方は聴講者のために資料をしっかり作り込んでこられるので、インタビューで話を聞く記事よりも有益な情報が詰まっていることが多いように感じます。

 ただ、プロダクトやソリューションをもっている企業がその紹介や宣伝に終始する内容だと退屈です。弊社は広告主の立場でそうした記事を読んだりセミナーに出席したりするので、そのサービスがどのように利用されているのか、導入企業でどんな実績があるのかを含めて紹介してもらいたいです。

 最近はクライアントの事例を紹介する講演や、クライアントが一緒に登場するインタビュー記事が増えているように思います。そのほうがリアルで具体的なイメージがしやすいので、役に立ちますし気づきも多いですね。

──そのご意見はMarkeZine主催のイベントでも参考にしたいです。ところで、そうした記事の内容について、媒体の違いは認識されていますか?

 明確にというわけではありませんが、MarkeZineのように事業として運営されているメディアと、何らかのサービスを提供しながらオウンドメディア的に運営されているメディアでは、前者のほうがクオリティは高いという印象をもっています。それと紙媒体のデジタルマーケティングの専門誌は数少ないので、そうした理由から定期誌『MarkeZine』を購読しています。

──これまでの定期誌『MarkeZine』の特集や連載で、山名さんが特に気になったものはありますか?

 業務ではSNSが中心ですが、生活者と双方向でコミュニケーションするという大きなテーマで見ると、ファンベースやコミュニティに関するテーマが好きですね。弊社でも「Discova(ディスカバ)」という旅コミュニティを立ち上げて運営しているため、同じような取り組みをしている他社がどのようにコミュニティを運営されているのかは気になります。

──BtoBでもBtoCでも、どうやってユーザーと直接つながればいいのか、どうやって自社のブランドを好きな人たちのコミュニティを作ればいいのかということで悩んでいる企業は少なくありません。定期誌『MarkeZine』では第24号(2017年12月号)で「コミュニティマーケティングの今と可能性」を特集しました。

 ヤッホーブルーイングの佐藤潤さんが取材されていましたが、同社のファンベースは最もうまくいっている事例のひとつだと思います。

 弊社では部門の垣根を越えて集まった社員がやりたいことを役員にプレゼンし、認められたグループが主業務とは別に業務扱いで活動できるといったスキームがあります。そのひとつに「W-PIT (Wakuwaku-Platform Innovation Team)」というボトムアップ型のプロジェクトチームがあり、社員が仕事にワクワクしていないとお客さまにもワクワクしてもらえない、まず社員をワクワクさせ、お客さまをワクワクさせる取り組みをしたいということで活動をはじめました。しかしどうすればいいのか、そのような取り組みができているベンチマークとなる企業を探していたところ、ヤッホーブルーイングさんに出会いました。

 その後ヤッホーブルーイングさんには色々教えていただき、様々な取り組みをご一緒させていただいております。代表的な取り組みとして、「呑みにマイル」というイベントを一緒に行っています。「呑むためだけの日帰り旅行を12,000マイルで」というコンセプトのもと、これまで徳島、帯広、宮崎を目的地に3回開催しています。「地域の魅力」×「ファンコミュニケーション」という相乗効果があり、たいへん好評です。弊社のファンとヤッホーブルーイングさんのファンが集まり、1つのコミュニティになるというのはとても刺激的でした。

 ファン同士の交流が生まれることで、飛行機好きがビール好きになる、ビール好きが飛行機好きになる、という両社にとって嬉しい効果が見込めます。ファンやコミュニティというのは自社だけに留まらず、いろいろな企業と連携することでもっと活性化すると感じましたね。 

──私たち編集部としても、購読者同士でそうしたつながりが生まれているのがとても嬉しいです。出会いを作るというのは定期誌『MarkeZine』で提供したいものの1つですので、イベントやセミナーなども通して機会を作っていきたいと考えています。

定期誌『MarkeZine』とは?

定期誌『MarkeZine』

定期誌『MarkeZine』は1年間の定期購読で、毎月1冊、トレンドテーマの特集を中心にマーケティング業界の潮流や識者が注目するトピックをお届けしています。

  • 先進的な企業の経営判断を追体験できる
  • 競合企業の事例やキーパーソンの考え方がわかる
  • マーケターが実務で成果を出せるノウハウを学べる

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情報の出し惜しみをしないことがつながりを生む

──一方で、他社同士で交流するのはなかなか難しい場合もありそうです。山名さんが他社と交流し協業していくうえで大切にしていることはありますか?

 一言で言うと、情報の出し惜しみをしないということですね。私が2000年代にWeb販売部にいた頃、マーケティング関連のWebメディアはほとんどなく、他社とのつながりも今ほどはありませんでした。ですから、何もかも自分たちで試行錯誤してノウハウを蓄積していました。

 ところが、2016年にデジタルマーケティングの現場に戻ってきて、様々な企業の方がどんどん情報発信をしていることにとても驚かされたんです。合宿型のイベントに参加したときも、どこの企業も包み隠さずノウハウをシェアしてくれました。こちらもそれに応えて情報共有するようにしたところ、Facebookなどの普及もあって人とのつながりが一気に広がっていきました。

 今もマーケティングに関して「どうしたらいいのか」と困っている企業の方は多いかもしれません。まずはイベントやセミナーに参加してみるところから始めるといいと思います。社外に何度も顔を出すことで、同じく何度も参加している人たちと顔見知りになりますし、そこからまた交流が広がります。そうすると、直接取引をしていない企業の方からセミナーの登壇依頼や仕事の相談が来るようにもなるでしょう。

 東京都内に限っても、ほとんど毎日のように大小様々なセミナーが開催されています。私は週2回は参加するようにしていて、年間で100回近くは参加しています。それだけでも知見が貯まりますし、そこに他社とのつながりが生まれればなおいいですよね。ただもちろん、話を聞いているだけではつながりは生まれませんから、聞くだけでなく発信・共有することが重要です。

──最後に、MarkeZineでそうした機会を作るにあたって、山名さんとしてはどんな希望があるか教えてくださいますか?

 新人や駆け出しのマーケターがイベントに参加することも多いと思います。登壇者と直接話をしたいと考えても、特に大きなイベントでは登壇者が業界の大物であることが少なくありませんから、話を聞くのが恐れ多いと感じてしまうかもしれません。そうすると、むしろ同年代のマーケターのほうが話しやすいでしょうし、そこから次世代のマーケターたちの交流が始まっていくと思います。ですので、幅広い年代の方に登壇してもらえるほうがいいのではないでしょうか。

 そうは言ってもイベントで登壇者とじっくりコミュニケーションするのは時間の制限もあって難しいです。私がいいなと思ったのが、ラウンドテーブルディスカッション形式のセミナーです。参加者同士で話し合いますし、他社がどう考えているのかを知ることができます。スピーカーの話を聞くだけより、やはり双方向のコミュニケーションがあるといいですね。イベントに登壇するような業界のキーパーソンがモデレーターを務めるのもおもしろいかもしれません。

――山名さん、今回はインタビューに答えていただき、ありがとうございました! いただいたアドバイスを活かして、定期誌『MarkeZine』では今後も購読者の方に向けて役に立つサービスや情報を提供していきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

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この記事の著者

渡部 拓也(ワタナベ タクヤ)

 翔泳社マーケティング課。MarkeZine、CodeZine、EnterpriseZine、Biz/Zine、ほかにて翔泳社の本の紹介記事や著者インタビュー、たまにそれ以外も執筆しています。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

安成 蓉子(編集部)(ヤスナリ ヨウコ)

MarkeZine編集部 編集長
1985年山口県生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。専門商社で営業を経験し、2012年株式会社翔泳社に入社。マーケティング専門メディア『MarkeZine』の編集・企画・運営に携わる。2016年、雑誌『MarkeZine』を創刊し、サブスクリプション事業を開始。編集業務と並行して、デジタル時代に適した出版社・ウェブメディアの新ビジネスモデル構築に取り組んでいる。2019年4月、編集長就任。プライベートでは2児の母。

★編集...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2019/10/21 07:00 https://markezine.jp/article/detail/31927