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第106号(2024年10月号)
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データ×テクノロジーを武器にする、メディア企業実践

WOWOWが目指す、メディア企業のデータドリブン経営

 デジタルシフトの波は、テレビ・新聞・雑誌などのメディア企業にも大きな影響を及ぼしています。メディア企業が抱える課題や、それらを乗り越えていく実例を通じて、企業がデータと向き合っていくための道筋を示していく本連載。今回は、自社のCDP(Customer Data Platform)導入をはじめ、全社的にデータドリブンな意思決定を推進しているWOWOWの事例を通じて、メディア企業のデータ活用の現在と未来を考えます。

放送とネットの融合に向き合うWOWOW

 1991年に日本で初の民間衛星放送局として開局したWOWOWは、民放ではなかなか放送されないスポーツ中継やライブなどのプレミアムコンテンツを軸に、現在も順調に有料加入者数を伸ばし続けてきました。2011年に始まったフルハイビジョンの3つのチャンネルのほか、加入者限定の無料番組配信サービス「WOWOWメンバーズオンデマンド」も好評を博しています。

 一方で、近年はモバイルを中心とした様々なデバイス経由でのコンテンツ視聴が可能となり、ユーザーの可処分時間の奪い合いが激しくなりつつあります。他のコンテンツ事業者との差別化をはじめ、ユーザーに選ばれ、視聴しつづけてもらうためのマーケティング施策は常にアップデートしていく必要があります。

 昨今のメディア企業、特にWOWOWのようなサブスクリプション型のコンテンツビジネスにおいて、放送とインターネットをうまく融合させてサービスを展開していくことは最重要戦略のひとつです。従来の有料放送を契約している会員だけを対象としたサービスだけでなく、インターネット上のサービスやコンテンツを通じてWOWOWと接触したユーザーをどのように捉えていくのか。このような課題に向き合ったWOWOWは、たくさんのチャネルを横断した会員情報やコンテンツの管理を行っていく必要性に迫られたのです。

プライベートDMPに加え、CDPを導入した経緯

 チャネル横断的に会員情報を把握するために、2016年頃にはすでにWOWOWではプライベートDMPの構築が完了し、顧客データを統合管理できる基盤が整っていました。そして、プライベートDMPによる会員管理に加えて、インターネット上のサービスやコンテンツも含めた分析をよりスムーズに進めていくための運用や、得られたデータや知見をマーケティング施策にフィードバックし、意思決定の精度や速度を上げていくための体制構築といった次のフェーズに進むために、広義のCDP(Customer Data Platform)導入の必要性が顕在化したのです。

 メディア企業のコア・コンピタンスはコンテンツという資産の生産やディストリビューションにあります。そのため、ほとんどの場合、プライベートDMPやCDPの日々の運用をまかなうリソースを社内にもっていません。WOWOWでも社員だけですべてをこなすのは難しいと判断し、プロジェクト当初からパートナー企業と二人三脚で進める方針を決定しました。

 外部環境の変化が激しく、現状維持だけでも頻繁なアップデートが発生するデータマネジメントの世界では、開発して終わりではなく、つねに伴走してくれるパートナーをアサインできるか否かで成否が変わってきます。分析から得られた知見を迅速に改善に活かしていくことが経営効率に強く影響するという考え方から、WOWOWではすべて外注化して済ませるのではなく、現場で寄り添って一緒に考えてくれるようなフットワークの軽いパートナーを探し出し、全社的にデータを経営に活かしていく体制構築の準備を二人三脚で進めることになりました。

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この記事の著者

加藤 英也(カトウ ヒデヤ)

株式会社Legoliss 取締役/データソリューション事業部管掌
セプテーニでSEM入札ツールの開発や、アクセス解析ツールを活用したユーザビリティなどテクノロジーとウェブマーケティングを掛け合わせたコンサルティングを推進。その後、サイバーエージェントにてアドテクノロジー領域の事業推進、エンジニアとして配信システムやターゲティ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2019/09/27 08:00 https://markezine.jp/article/detail/31962

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