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データ×テクノロジーを武器にする、メディア企業実践

テレビ東京が立ち向かった、DMP/CDP構築後に待ち受けていた山積みの課題 

 デジタルシフトの波は、テレビ・新聞・雑誌などのメディア企業にも大きな影響を及ぼしています。メディア企業が抱える課題や、それらを乗り越えていく実例を通じて、企業がデータと向き合っていくための道筋を示していく本連載。今回は、これまで視聴率やアンケート調査などでしか捉えきれていなかったユーザー像を可視化し、マーケティングが可能な環境を構築していったテレビ東京の事例を紹介します。

視聴者との接点拡大が引き起こした「データの分散」

 テレビ局にとって、今やインターネットは番組の視聴者とつながるための最も重要なチャネルの一つになっています。たとえば、インターネット上でテレビ番組の見逃し配信サービスを展開したり、番組ホームページ、公式コンテンツやSNSなどを利用して番組を宣伝するなどの、視聴者との接点を増やす活動が挙げられます。視聴者との繋がりは、同時に実際の視聴者からリアルタイムにフィードバックを得ることにもつながります。 

 テレビ東京グループのデジタル戦略を担っている「テレビ東京コミュニケーションズ(以下、TXCOM)」では、グループの持つ資産のデジタル活用を推進しています。無料見逃し配信サービスである「ネットもテレ東」をはじめ、民放テレビ局が連携した公式テレビポータルサイト「TVer」、「GYAO!」、「ニコニコ動画」など複数のプラットフォーム上に公式動画を配信しています。

 複数のプラットフォームを利用することで番組視聴者との接点は増えますが、それは同時に「接点ごとにデータが分散する」ということでもあります。テレビのデジタル化には、番組を見てくれる人がどのような人なのかをデータで可視化し、番組制作や宣伝へフィードバックしていくことがベースにあります。その実現に向けて、分散したデータを統合し、リアルタイムに分析していくことが欠かせません。

 TXCOMにとって、インターネット配信という時代のニーズに合わせることで分散していったデータを、可能なかぎり分析可能な状態へと統合していくことが第一の課題でした。

DMP/CDP構築後に待ち受けていた山積みの課題

 TXCOMは2017年にプライベートDMP(CDP)の構築を開始し、バラバラになっていた視聴データの統合処理を実施しました。そこから現在に至るまで、総合的な視聴データの分析をはじめ、ユーザー行動分析、外部データとのクロス分析など、段階的にデータを活かした分析基盤を拡大してきました。しかし、プロジェクト開始当初は様々な課題が山積みで、一つひとつクリアしてきたと言います。

 一般的には、カラムが違う分散化したデータをCDPへ統合していくプロジェクトを自社内のリソースだけで完遂することは困難です。TXCOMでも社員だけですべてをこなすのは難しいと判断し、プロジェクト当初からパートナー企業と二人三脚で進める方針を決定。分析したい内容から実現性とコストの両面を考慮したシステムの選定や、その後の運用に結びつけていく準備を共同で進めました。

 パートナー企業の協力のもと、統合処理はスケジュール通り進んだものの、統合後の(本来の目的である)分析業務が、社内のリソース不足や知見不足などが理由でなかなか進まないという新たな課題にぶつかりました。CDP内にデータは貯まっていくものの、肥大化するデータを前に分析が進まず、その後の配信方法や改善施策にフィードバックできないという状況が続いていたのです。データを統合した後には、「データの可視化」という新たな課題が待ち受けていたのです。

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この記事の著者

加藤 英也(カトウ ヒデヤ)

株式会社Legoliss 取締役/データソリューション事業部管掌
セプテーニでSEM入札ツールの開発や、アクセス解析ツールを活用したユーザビリティなどテクノロジーとウェブマーケティングを掛け合わせたコンサルティングを推進。その後、サイバーエージェントにてアドテクノロジー領域の事業推進、エンジニアとして配信システムやターゲティ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2019/08/22 08:00 https://markezine.jp/article/detail/31735

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