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リクルートメント・マーケティング 採用活動をマーケティングでハックせよ

採用後のパフォーマンスを左右する 面接官のメディア化とカスタマーサクセス発想の組織作り

 「採用をマーケティングでハックせよ」をテーマにお送りする本連載。第4回となる本稿では、採用プロセスの中でこれまでも重要視されてきた「本選考」と「入社後の成功(エンプロイーサクセス)」の留意点について解説していきます。

 採用活動が長期化するトレンドの中では、「Why(自社がなぜ存在するのか)」という企業ビジョンをメッセージ軸に据えた情報発信がこれまで以上に重要になってきていることは、これまでの連載でも再三にわたりお伝えしてきた通り。とりわけ情報発信の手段が多様化する現在においては、「アプローチすべきターゲット」と「理想的な認知」を明確化し、多岐にわたるチャネルを通じて発信するメッセージの透明性と統一性を担保することが重要です。

 それでは、採用の成否に直接関わる本選考プロセスと入社後のエンゲージメント向上施策において、「Why」を中心としたプロセスを設計するためにはどうすればいいのでしょうか。以下で詳細に見ていくことにしましょう。

「これまで」の選考活動と、「これから」の選考活動

 本連載では、「これからの採用」としてのリクルートメント・マーケティングを「これまでの採用」と比較する形で多角的に論じてきました。ここで一度、本稿でスポットが当たる要素を以下の表で再整理しておきます。

 終身雇用が成り立っていた時代は、とにかく「高いスキルセットを持った人材を採用すること」に焦点が置かれていました。しかし、終身雇用制が崩壊して転職が当たり前になった現在、特に若い世代では給料やステータスなどの外発的動機だけではなく、企業ビジョンへの共感や成長といった内発的動機から働く企業を選ぶようになっているため、企業の採用手法もまたカルチャーフィットを重視したものに変わってきています。

 採用における考え方が変わっても、選考プロセスの重要性はこれまでと大きく変わりません。候補者にとって、本選考はその企業で働いている人と接し、入社後の姿を具体的にイメージする機会であり、他方、企業にとっては候補者と自社の適正を見極める数少ない機会です。

 このプロセスにおいて、企業はこれまでのように候補者のアピールポイントをヒアリングしてスキルセットの見極めをするだけではなく、自らが見極められる側として「どのような印象を与えるか」の設計が重要になります。

候補者に適切な印象を与えるための面接官トレーニング

 採用活動が長期的になるほど、候補者はオンライン上の口コミやオフラインで接する社員やその周囲の人たちから、企業へのイメージを持った状態で選考に望んでくるようになります。面接官やその前後で接する人の印象や、その会話から得る情報は、候補者の「この企業で働きたいか」という意思決定に大きな影響を及ぼします。だからこそ、選考に関わる担当者は、「どのように見極めるか」と同じくらい「いかに正確な企業イメージを与えるか」という要素も非常に重要になるのです。

 採用担当者であれば、特別なトレーニングがなくても、自社の採用における「見極めポイント」と「伝えるべき印象」の両方を無意識に会得しているかもしれません。しかし、現在の採用トレンドでは、面談の場には採用担当以外のメンバーが同席したり、対応したりすることが当たり前になってきています。この背景としては、社内の事業部が専門領域毎に細分化され、採用チームがそれぞれの部署で求められるスキルやマインドセットをすべて把握し切ることが難しくなっている点が挙げられます。しかし、現場の担当者が面接官としての専門的なノウハウを持ち合わせているケースは稀であるため、候補者に伝えるべき内容を正しく伝えるためには適切なトレーニングが必要です。

 これまで面接官向けのトレーニングといえば、最低限の礼節を守ってコミュニケーションをとるといったマナー面での心構えを授けたり、見極めの基準を画一化するために構造化面接のノウハウを培うといったものが一般的でした。しかし今後は、候補者に与える印象を統一するため、面接官を「人」という一つのメディアとして捉え、長期的なコミュニケーションの一部として設計することが、トレーニングを通じて選考時に伝えるべきメッセージを明確化する上で大切になってくるのです。

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この記事の著者

小池 弾(コイケ ダン)

ウォンテッドリー株式会社 Recruitment Marketing Evangelist / Business Hiring Manager
慶應義塾大学経済学部卒。大手SIer、HRスタートアップを経て、2018年1月にウォンテッドリーのビジネス採用担当としてジョイン。現在は、ビジネスサイドのHR責任者として、組...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2019/10/15 08:00 https://markezine.jp/article/detail/32031

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