事例1:阪急交通社は徹底したレコメンドで売り上げ増を実現
山田氏は、アクティブコアのマーケティングクラウドを活用して成果をあげた企業として、阪急交通社とブックオフコーポレーション(以下、ブックオフ)の事例も紹介した。
海外ツアー・国内ツアー・宿泊など様々な商材を展開している阪急交通社は、まずは一つの商材のみでPC・スマートフォン・携帯の閲覧に基づくレコメンドをスタートさせた。すると効果を確認できたため、会員データや予約履歴などの基幹データとアクティブコアのプライベートDMPを連携。結果、レコメンド経由の売り上げが30%も伸びたという。
この事例で注目すべき点は、徹底したレコメンドだ。たとえば、フリープランのツアーを閲覧していると、レコメンド欄にはフリープランのツアーの表示がどんどん多くなっていき、価格帯も閲覧しているツアー料金の価格にだんだん寄ってくるような仕組みになっている。
表示場所も工夫した。多くの企業はレコメンド欄をサイトの下のほうに置いているが、阪急交通社はより上部の目立つところにレコメンド欄を配置しており、これが効果を生んでいるという。
またマイページでは、予約の有り無しによってレコメンドの内容を変えている。すでに何らかのツアーを予約している顧客には、ツアー先の地域のお土産や観光ガイドを表示するなどしているようだ。
こうした施策により、レコメンドのクリック率は4倍以上に、オンラインでの売り上げも5年前に比べると1.5倍に、サイトの訪問者数は115%に成長した。今後は、より高度なAI活用に注力し、自動化・パーソナライズ化をさらに進めていく狙いだ。
事例2:買い取りデータと販売データを統合したブックオフ
次はブックオフの事例だ。ブックオフのアクティブコア活用の目的は、顧客の可視化。買い取りデータと販売データ、二つのデータを統合したCRMを構築し、顧客の可視化を進めてきた。
具体的には、会員のうち1年以内に購入があったアクティブ会員を、購入回数ごとにランク分けし、それぞれにステップメールを配信。180日以上アクションがないユーザーは、休眠に分類した。
効果が出たのは、“購入回数1”のユーザーを“購入回数2”に引き上げる施策で、購入回数は10%向上したという。
また、中古品販売事業ではいい商品をそろえることが重要となる。そこで、“いい商品を持っていそうな顧客をAIに予測させ、買い取りオファーをメールで出す”という試みも行った。
仕組みとしては、類似商品を購入・閲覧した顧客のデータと、類似商品を買い取りに出した顧客のデータの両方をAIに学習させ、商品を売ってくれそうな顧客を予測。「お持ちの商品を高額で買い取ります」といったメールを送信したところ、従来のメールと比較して、CTRは7倍に、CVRは4倍に改善したという。
セッションの最後、山田氏はまとめとして、以下の効果的なMA活用のポイントを伝授した。
・できるだけ多くの顧客接点データを集める
・AIの予測の精度は、顧客接点データの質と量で決まる
・レコメンドとオファーは、売りたい商品をすすめるのではなく、顧客の嗜好に合わせるべき
「MAはツール。うまく使って業務を効率化し、シナリオを考えたり、コンテンツを考えることに時間を使うべきです。新しいことに挑戦して、知見をためることがマーケティングに必要ではないでしょうか」と山田氏は来場者に呼びかけ、セッションを終えた。