「ユニークな商品」を起点に、情報発信力のある店舗を目指す
「蔦屋家電+が体現するアフターデジタル時代の『メディア化する店舗』とは」と題された本セッション。蔦屋家電エンタープライズの木崎大佑氏は、同社が展開する「二子玉川 蔦屋家電」および「蔦屋家電+(プラス)」の取り組みを明かしながら、アフターデジタル時代に求められるリアル店舗の役割について語った。
二子玉川 蔦屋家電は2015年5月、「ライフスタイルを買う家電店」をコンセプトに開店。店内にはアート作品やインテリアが多数配置され、感性を刺激するような仕掛けで満ちている。
店頭に並べるプロダクトは、「万博」「美術館」「博物館」といった概念を基に、コンシェルジュと呼ばれる店員が選定。様々なライフスタイルの提案を行う場所となっている。
来店者数は1日平均で20,000~25,000人。家電量販店では珍しく、女性の比率が6割を占めているのが特徴だ。メーカーからは、女性をターゲットにした商品のPRの場として重宝され、プロモーションイベントも多数開催している。また、オープンから4年が経った現在も、年間100件以上の取材依頼が舞いこむほど、メディア露出も多い。
木崎氏は、快進撃を続ける二子玉川 蔦屋家電のマーケティング戦略について、「商品力」「情報発信力」「集客力」を重視していると明かした。
「ユニークな商品を展示すると、メディアが取り上げてくれるため、お客様が店舗を訪れてくれるようになります。その評判がメーカーに伝わることで、さらにおもしろい商品が集まってくるようになるのです。一部のメンバーで『ぐるぐる理論』と呼んでいるこのサイクルを回すことで、売り場の新鮮さを保ちながら、情報発信力の高い店舗を維持することができます」(木崎氏)
三要素のどれが欠けても好循環は生まれないが、起点となる「ユニークな商品の発掘がもっとも大切」と木崎氏。このように、二子玉川 蔦屋家電はモノを売るだけでなく、メディアの機能を有することで、メーカーのプロモーションを支援。顧客には他の家電量販店では得られないオリジナルな体験を提供することで、好循環を生んでいる。