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エンターテインメント&メディア業界のFacebook&Instagram広告活用に迫る(AD)

Gunosyの堅実な成長を支える、Facebook&Instagramのダイナミック広告活用に迫る

 エンターテインメント&メディア業界におけるFacebookやInstagram広告の活用に関する現状を探る本連載。今回はGunosyでマーケティング担当をしている石井健輔氏とフェイスブック ジャパンでGunosyの広告活用をサポートする麗狗乃美氏に、どのような活用を進めているのか話を聞いた。

他業界の事例を参考にダイナミック広告活用へ

MZ:前回の記事では、フェイスブック ジャパンの古田理恵さんに、エンターテインメント&メディア業界でなぜFacebookInstagram広告の活用が急激に進んでいるのかをお伺いし、ダイナミック広告の普及がその一因であることが明らかになりました(詳細はこちら)。

 今回からは、エンターテインメント&メディア企業におけるダイナミック広告の活用事例を探ります。1回目に話を伺うのは、Gunosyのマーケターである石井さんです。まず、Gunosyではなぜダイナミック広告の活用を始めたのでしょうか。

株式会社Gunosy メディア事業本部 グノシー事業部 マーケティンググループ マネージャー 石井 健輔氏

石井:理由は2つあります。1つ目は、我々の提供しているニュース配信というサービスとダイナミック広告の相性が非常に良いと感じたからです。古田さんの記事でも話があったかもしれませんが、これまでダイナミック広告はECや不動産、人材など数多くの商品を持つ企業が活用し、成果を上げてきたと思います。

 その仕組みは、我々が展開している「グノシー」「LUCRA」「ニュースパス」の各サービスでも活用できることに気づいたのです。私たちのサービスは、日々多くのメディア企業から記事コンテンツをご提供いただいておりますが、ユーザーごとに記事の閲覧傾向は大きく異なります。そのため、ダイナミック広告で適切な記事を適切なユーザーに訴求することで、新規のインストール増加にも寄与できるのではないかと考えました。

広告制作時間の軽減も実現

MZ:他業界での活用を参考に、自社でも使えると考えたのですね。2つ目の理由はなんでしょうか。

石井:2つ目の理由は、広告制作の時間の短縮です。私たちはFacebookやInstagramなど様々な広告をインハウスで運用しているのですが、クリエイティブ制作に対し、十分な人員が割けないときもありました。

 一方、ダイナミック広告であれば、記事の情報をもとに製品カタログ(データフィード)を作成してアップロードしておくだけで、利用者のニーズにあった記事を膨大な記事データの中から自動的に選び出し、広告として表示してくれます。クリエイティブの企画・制作に割いていた時間が圧縮されるので、非常に魅力を感じました。

MZ:では、どのように活用を進めていったのでしょうか。活用をサポートした麗狗さんにお伺いしたいと思います。

麗狗:まずは、すべての記事の閲覧情報を広告配信の学習データとして活用できるよう、全記事データを製品カタログ(データフィード)としてアップロードし、その中から特定の理由で広告として利用できないものはデータフィード内でフラグを立て、それを除外した製品セットを作成しました。

 このように、学習に活用できる情報量を確保しながらも、広告配信に使う記事だけをクリエイティブに活用できるデータフィードの設計からスタートしました。

 これまでの手動による広告運用の場合、膨大なコンテンツの中から広告に活用するものを選定し、訴求ポイントを決めてクリエイティブを制作するという必要がありましたが、そこを大きく簡略化することができました。

フェイスブック ジャパン株式会社 Client Solutions Manager 麗狗 乃美(れいく このみ)氏

石井:これまでは「○○に関する記事が読めます」「□□のクーポンが使えます」といった訴求軸をアプリ内の利用データを分析して決めて、そこからクリエイティブを作るのにかなりの時間がかかっていたので、その作業が簡略化されたのは非常にありがたいです。

麗狗:また、ユーザーの興味関心に合わせて記事を自動的に選び出し広告表示してくれるので、これまで手動で運用していたときに比べてよりパーソナライズした広告配信をよりスケーラブルに実現することができます。

MZ:自動で最適化がかかることで、より効果的な配信が実現できるのだと思うのですが、どのような仕組みが働いているのでしょうか。

流行を即時キャッチアップできる最適化とは

麗狗:「グノシー」のアプリでの記事閲覧データと、FacebookおよびInstagramの利用者データから、誰に対して、どの記事を広告表示し、アプリインストールを促すのが効果的かを考え、最適化を進めます。ここで非常に大事になるのは、アプリ上の行動データをいかに貯め、広告配信の学習シグナルとして活用できるかです。この学習シグナルが良質かつ豊富であるほど、広告効果はどんどん改善していきます。

 「グノシー」の場合も、記事閲覧データが増えるほど、学習シグナルは増加し、日々配信のパフォーマンスは良くなりました。

MZ:この最適化の精度に関して、石井さんはどのように評価していますか。

石井:非常に高いと思っています。特に、私たちが提供する情報は流行の移り変わりなども激しかったり、季節性があったりするので、それを広告制作に反映しようと思うと正直追いつききれないところもありました。

 ダイナミック広告であれば、リアルタイムの記事閲覧データをもとに学習を進めるため、突発的に閲覧数が伸びたなど、タイムリーな利用者動向の変動も正確に把握し、すぐ広告配信に活かしていくことができます。こういった即時的なトレンドもしっかりとキャッチし、タイムリーに広告表示に反映できるのはダイナミック広告ならではだと思います。

MZ:ちなみに、ダイナミック広告の最適化を精緻にしていく上で重要なことはなんでしょうか。

麗狗:まずは対象となるWebサイトやアプリのデータを可能な限り提供いただくことですね。そうすることで我々の持つデータとの突合が進み、利用者のニーズに合った広告配信が可能になります。

 次に、製品カタログに関してですが、広告配信に使うものだけを絞ってアップロードするのではなく、メディア企業様の場合であれば、保有している全コンテンツを格納しておくことが重要です。また、記事カテゴリなど、各コンテンツの情報が詳細にわかるように整理するのも重要ですね。

 これらのデータの突合と製品カタログの整備を行って、シグナルの量と質を担保していくことがダイナミック広告の運用には欠かせません。

MZ:石井さんはいかがでしょうか。

石井:コンテンツを持った企業の場合日々コンテンツがアップロードされるので、データフィードの更新頻度も重要だと思います。1日1回でも足りないくらいなので、限りなくリアルタイムに近い形で更新することが大事です。

両社の連携でスムーズに導入

MZ:ちなみに、ダイナミック広告を導入していく上で大変だった点はありますか。

石井:正直、あまりなかったです(笑)。というのも、麗狗さんからも手厚いサポートを受けていたのと、インハウスで導入・活用を進めていたのが大きいと思っています。私たちが課題感や導入・活用に際し必要なことを認識して社内のエンジニアに伝えて進めていたので、約1ヵ月で導入は済みました。

麗狗:特にGunosy様の場合、開発など他部門との連携がスムーズであったので、ダイナミック広告の導入は非常にスムーズに進みました。さらに、改善に向けても抜本的なデータフィードの改修も行っていただけたので、結果として非常に高いパフォーマンスを作ることができていると思います。

30~40%は自動化、パフォーマンスも維持する結果に

MZ:では、ダイナミック広告を活用したことで得られた成果を教えてください。

石井:元々期待していた、広告制作に対する時間が圧倒的に削減できたことが大きな成果ですね。これまで100%人間がクリエイティブを用意していたのが、直近では30~40%近くはダイナミック広告で自動化できるようになりました。

 私の所属するマーケティンググループでは、デジタルマーケティングだけでなく、アプリ内の改善やオフライン含めた他のマーケティング施策の企画なども担当しているので、そこにより時間が割けるようになったのは非常に嬉しいです。

 また、広告によるパフォーマンスも向上し、継続率が高いユーザーにインストールしてもらえるようになりました。

MZ:ダイナミック広告で様々な成果が得られたと思いますが、導入してみて魅力的だと感じた点はありますか。

石井:2つあって、1つは先ほど成果として挙げた広告のパフォーマンスが向上した点です。

 そして、もう1つはリスクヘッジができるようになった点です。Facebook、Instagramの広告のうち30~40%をダイナミック広告にしたことで、一定のパフォーマンスを維持しながら、その他でチャレンジングなクリエイティブを用意してリスクを取ることもできるようになりました。

麗狗:ダイナミック広告は、安定して高いパフォーマンスを維持することができます。また、これまでの手動による運用だと細かなチューニングが常に求められましたが、ダイナミック広告の場合はパフォーマンスが下がってきても、先ほどお伝えしたシグナルの質と量を高める改修を行うことで抜本的な改善が可能になります。

石井:インハウスで運用している立場からすると、細かなチューニングが必要なくなるのは非常にありがたいですね。

今後は既存ユーザーのリテンションに活用も

MZ:最後に、今後ダイナミック広告のパフォーマンスを上げるために改善したい点があれば教えてください。

石井:これまで、新規インストールの促進を目的にダイナミック広告を活用してきましたが、今後は休眠復帰に使ってみたいです。たとえば、最近起動していない方に対して興味がありそうな記事を利用頻度が高いFacebookやInstagram上でお勧めできるのは非常に有効なのではないかと思っています。

MZ:そういった既存ユーザーの定着を目的にダイナミック広告を使われるケースも多いのでしょうか。

麗狗:まだ多くはありませんが、データフィード内に記事カテゴリが含まれていれば、特定の記事カテゴリだけを広告表示することもできますので、カスタムオーディエンスと組み合わせ、既存ユーザーの定着に活用いただくこともできると思っています。

石井:あとは、Instagramストーリーズの広告もうまく活用していきたいですね。現状はトライしているものの成果に結びついているわけではないので、ダイナミック広告も駆使しながら改善していきたいです。

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この記事の著者

MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2019/11/19 10:00 https://markezine.jp/article/detail/32254