アメリカでITに興味を持つ
MarkeZine編集部(以下、MZ):マーケターキャリア協会(以下、MCA)(※)とのコラボレーション連載「現在活躍しているマーケターのターニングポイント」がスタートします。MCAのメンターであり、有名カンファレンスやメディアでの露出が多く、現在活躍されているマーケターに取材をして、今後のキャリアのヒントを読者の方に提供していきます。
(※)マーケターキャリア協会とは:「マーケターの価値を明らかにする」というビジョンのもと、ビジネスに対するマーケティングの貢献度の調査、マーケターのキャリア構築支援などを行っている一般社団法人(詳細はこちら)。
第1回となる今回は、Mizkan Holdings(以下、ミツカン)にてCDOを務めている渡邉英右さんのキャリアを振り返っていきます。まず、ミツカンに入るまでのキャリアについて教えてください。
渡邉:社会人になる前の経験も現在に活きているので、学生時代から話すと、高校生のときに2浪しかけたんです。そのとき、日本の大学ではなく、アメリカに行くことを決断しました。アメリカに行った当初は第1次ITバブルと呼ばれる時代で、Yahoo!などのポータルサイトが全盛の時期。その環境下で勉強していたこともあり、ITに対する関心が非常に高くなっていました。
MZ:2浪しかけて、アメリカに行くのは斬新ですね(笑)。その後はアメリカの企業に就職されたんですか。
渡邉:いえ、コミュニティカレッジ(アメリカの2年制大学)に通った後、日本に一度帰って小規模のSIerで最初のキャリアをスタートしました。システムエンジニアとして、プログラミングやお客様の対応などを行っていました。ただ、その会社の経営が苦しかったこともあり、転職活動を始めて日本マイクロソフトに入社しました(最初は派遣社員として。その後正社員になる)。
デジタルだけじゃない経験が自信を成長させた
MZ:日本マイクロソフトでは、どのようなことをしていたんですか。
渡邉:マーケティング部門が使うシステムの導入支援です。マーケティングオートメーションツールからメール配信システム、顧客データベースまで様々なものを導入しました。5年半務めた後、ビジネスに関する知識をもっと身につけたいと思い、退職して一橋のビジネススクールに通い始めました。
MZ:なぜこのタイミングでビジネススクールに通い始めたのでしょうか。
渡邉:日本マイクロソフトは日本でも有数の大企業で、優秀な人も多い。ただ、このままだとその環境に甘えてしまうのではないか、自分はただ安定というレールに乗っているだけではないかと不安に思うようになりました。
1人のビジネスパーソンとして、よりスキルアップしたいと考えたときに最適だと思ったのがビジネススクールだったんです。
MZ:なるほど。ちなみにマーケティング部門が使うシステムの導入とありましたが、この頃からマーケティングに関わる仕事に興味を持ち始めたんですか。
渡邉:そうですね。ビジネススクールを卒業した後にベンチャー企業を挟んで、カタリナマーケティングジャパンに入社しました。同社は膨大なPOSデータを分析し、最適なクーポンをレジで提供するサービスを提供しているんですが、その中で新規事業の立ち上げを担当していました。
ここが私のキャリアにおける大きな転換点の1つだと思うんですが、これまでデジタル中心だったのが、小売や流通というリアルな顧客接点に向き合い、デジタルでより良い体験を提供するかを考えていました。デジタルだけでなく、リアルにも向き合えるようになったことで多くのことを学ぶことができたので、非常に充実していました。
その後は、日本マクドナルドに入社してデジタル部門のトップとして、デジタルマーケティング、クーポンアプリ、dポイントや楽天スーパーポイントの導入に向けたパートナーシップを統括していました。そしてミツカンに入社して、現在に至ります。