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変わるミレニアル世代のメディア消費 新ジャンル「ゲーム・ビデオ・コンテンツ」の台頭

 ゲームと聞くと子供が遊ぶもの。そのようなイメージを持っている人は少なくないはず。しかし、ゲームユーザーは世界に25億人おり、その多くが家族を持つミレニアル世代だ。そして、ミレニアル世代のほとんどは、自分がプレイするだけでなく、他人がプレイする「ゲーム実況」コンテンツを楽しんでいる。これにともないメディア消費に大きな変化が生じている。その実態を探ってみたい。

※本記事は、2019年12月25日刊行の定期誌『MarkeZine』48号に掲載したものです。

 16歳の少年が300万ドル(約3億円)の優勝賞金を手に入れたとして国内外で話題となったeスポーツ。北米や中国を筆頭に盛り上がりを見せている。そのeスポーツの盛り上がりとともに注目され始めているのが「ゲーム・ビデオ・コンテンツ(GVC)」の台頭と、それにともなうメディア消費の変化だ。

 GVCとは他人がゲームをプレイするところをコンテンツ化したもの。日本でも人気を博しているYouTubeの「ゲーム実況」系動画などがそれにあたる。

 一般的にゲームと言えば子供や若者が遊ぶもので、大の大人が遊ぶものではないという認識を持っている人は多いかもしれない。しかし最新調査で、GVC視聴者の多くがミレニアル世代であることが判明。さらに、GVC視聴時間が非常に長く、テレビやNetflixなど他のメディアの視聴時間に大きな影響を及ぼす可能性が示唆されたのだ。

 Netflixやhuluなどのビデオ・オンデマンド・サービス(VOD)が登場したとき、これらがテレビなどの既存メディアの脅威になると言われていたが、GVCの台頭によってVODも戦々恐々とする状況が生まれつつあるのだ。また、ソーシャルメディアにとっても看過できないものとなっている。

 このメディア視聴における大きな変化は、ブランドにとっても無視できないものになる。購買力が高まるミレニアル世代を対象にした広告やブランディングをGVCの文脈でも考えなくてはならないからだ。

 GVCの台頭で、メディア消費にどのような変化が起こっているのか。最新調査などからその実態を探ってみたい。

eスポーツ、世界の観戦者数は4億5,400万人

 まず日本でも話題性が高まっているeスポーツの世界を俯瞰してみたい。

 ゲーム市場を専門とする調査会社NewZooによると、eスポーツの観戦者数は年間10%以上の伸び率を示している。2017年の観戦者数は3億3,500万人だったが、2018年には3億9,500万人と前年比18%近い伸びを見せた。また2019年も15%ほど拡大し、その数は4億5,400万人に増加。今後も増加傾向は変わらず、2022年には6億4,500万人に達すると予想している。

 地域別で見ると、2019年時点ではアジア太平洋が57%を占め最大となっている。次いで欧州が16%、北米が12%だった。

 観戦者数増加にともなってeスポーツ関連の売上も急速に伸びている。NewZooの予測によると、2019年の売上高は前年比26.7%増の11億ドル(約1,100億円)となった。

 eスポーツの有名な大会として「フォートナイトワールドカップ」や「2019 World Championship」、「The International」などが挙げられる。冒頭で紹介した16歳の少年が300万ドルを手にしたのは「フォートナイトワールドカップ」だ。

 フォートナイトのYouTube公式チャンネル登録者数は2019年11月時点で約800万人。「フォートナイトワールドカップ」のソロ決勝戦の様子を取り上げた動画は1,300万回以上再生されている。eスポーツ人気を如実に示す数字だ。eスポーツとともに拡大を続ける世界のゲーム市場についても概観を捉えておくべきだろう。

YouTube「フォートナイト」公式チャンネルhttps://www.youtube.com/user/epicfortnite
YouTube「フォートナイト」公式チャンネル

 NewZooの推計では、2019年世界のゲームユーザー数は25億人以上。ゲーム関連の支出総額は1521億ドル(約16兆円)と前年比10%近く増加している。この「ゲームユーザー」の定義には、熱狂的なハードコアユーザーだけでなく、モバイルで空き時間にプレイするカジュアルユーザーが含まれているためかなり多い数字となっている。

 ユーザー数を国別で見ると、中国が6億1,950万人で最多。次いで米国約1億8,000万人、日本6,760万人、ドイツ4,430万人、英国3,730万人、韓国2,890万人となっている。

 デバイス別では今後スマホ・タブレット普及にともなうモバイルゲーム市場の拡大が見込まれている。

世界中で人気が高まるeスポーツ
世界中で人気が高まるeスポーツ
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この記事の著者

細谷 元(Livit)(ホソヤ ゲン)

シンガポールを拠点にフィンテックやドローンなど先端テクノロジーに関する情報を実践を通して発信。現地ネットワークを生かしアジア新興国のリアルを伝える。Livit Singapore CTO。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2019/12/25 14:30 https://markezine.jp/article/detail/32649

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