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データ個人主権時代の到来 対価となる「体験」が勝敗の鍵を握る

2020/01/29 08:00

 デジタルトランスフォーメーション(DX)において、データ活用やその基盤の整備は重要なピースの一つであり、多くの企業が取り組みを進めている領域です。一方で、生活者側が予期していないデータ活用が社会問題化するなど、データを取り巻く環境は複雑化しており、戦略構築の難易度は高まっています。本連載では、電通デジタルが実施した「日本における企業のデジタルトランスフォーメーション&デジタルマーケティング 2019年度調査」の結果をもとに、DXにおけるデータ活用戦略を取り巻く環境と論点の変化を考察していきます。

目次

DXの実現には戦略的なデータ活用が不可欠

 ここ数年、企業経営におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)の重要性が広く認識されるようになりました。デジタル技術の進化が生活者の行動を大きく変え、新たな競争相手の台頭やゲームチェンジを許し、既存企業はそのビジネスモデルを大きく脅かされています。多くの企業にとって、デジタルを前提に会社の仕組みをデザインし直す変革の実行は、既に待ったなしの状況であると言っていいでしょう。

 実際に、電通デジタルが実施した「日本における企業のデジタルトランスフォーメーション&デジタルマーケティング 2019年度調査」では、約7割の企業がDXプロジェクトを既に開始、もしくは計画を進めていると回答しました(図表1)。

日本企業のデジタルトランスフォーメーション取り組み動向/出典:電通デジタル「日本における企業のデジタルトランスフォーメーション&デジタルマーケティング 2019年度調査」(以下、同)
図表1:日本企業のデジタルトランスフォーメーション取り組み動向
出典:電通デジタル「日本における企業のデジタルトランスフォーメーション&デジタルマーケティング 2019年度調査」(以下、同)

 とはいえ、具体的に何から着手すればよいのか、方向性を決めかねているケースも多く見られます。調査によると、データ基盤の整備と活用は、多くのDXプロジェクトで取り組まれる共通項のようです(図表2)。データプラットフォームを整備している企業は全体の約1割とみられますが、DXを複数領域で大規模に取り組む企業(以下、DX先進企業)では、4分の1を超える割合で既に自社のDMP構築を実現しています。また、この格差は年々拡大していることも踏まえると、データプラットフォームの整備がDXにとって重要なピースを構成しているといえるでしょう。

データプラットフォームの整備・導入推移
図表2:データプラットフォームの整備・導入推移

 なぜなら、プラットフォームの整備状況は、企業のデータ活用に歴然とした差を生み、これがDXの進行状況に大きな違いをもたらすからです。自社でDMPを構築している企業は、業務におけるデータ活用、すなわちデジタルシフトが進んでいます。さらにその対象は、広告やCRMといった一部の業務に留まらず、広範な業務領域にわたることに着目すべきです(図表3)。

データプラットフォームの導入有無によるデータ活用の違い
図表3:データプラットフォームの導入有無によるデータ活用の違い

 この背景には、テクノロジーの進化で多くの利便性に富むツールが普及し、利用可能になったことに加え、“データの民主化”が起きていることもあげられます。つまり、顧客の属性、購買や来店・サイトアクセスといった行動データ、ソーシャルデータ、嗜好・価値観などのデータなど、いまや多種多様なデータが外部から調達することが可能となってきており、また多くのツールベンダーでは、ツール利用の付加価値としてこれらのデータもしくはデータが生むアルゴリズムの利用が可能となることを訴求しています。 

 これは結果的に、専用のデータベースを用意しない企業でも、施策を打てる環境が整ってきていることを意味します。極めて便利なことのように思いますが、このようなデータ流通の加速は、一方で均質化ももたらしうることも事実です。DXの実現において、データ活用が重要であるならば、その資源の差別化ができなくなることは果たして問題とは言えないでしょうか。そして、いわゆる「プラットフォーム脅威論」の高まりは、このような問題意識をさらに表面化させています。


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