肌や美容をきっかけに健康増進を目指す「FACE LOG」
――今回は、「FACE LOG」アプリを担当されているNTTドコモの杉井さん、また同アプリのリテンション施策で活用した「ART DMP」を提供するD2C Rの星野さん、鈴木さんにお話をうかがいます。まず杉井さん、アプリの概要を教えてください。
杉井:「FACE LOG」は2019年6月にiOSでリリースした、若年層をターゲットとするヘルスケアアプリです。スマホのカメラで肌を撮影すると、肌年齢や毛穴など6つの項目を解析します。併せて肌への効果が期待できる生活習慣を提案して、実際に行動した後の変化をわかりやすく提示しています。アプリの利用が習慣になるように、ストレッチやツボ押しといった健康増進につながる行動の促進プログラムを設けたりもしています。
――御社は数年前から、ヘルスケア領域に力を入れていますよね。
杉井:はい、当社は企業理念に「新しいコミュニケーション文化の世界の創造」と掲げていまして、それを目指す上では、コミュニケーションを取る主体である生活者の皆さんが健康であることが大前提です。加えて、5G時代を見据えると映像通信が格段に容易になり、遠隔医療などの切り口でも当社が支援できる余地があります。そこで数年前からヘルスケア領域に注力して、歩数がdポイントになる「dヘルスケア」や、「おくすり手帳Link」「母子健康手帳アプリ」などのサービスを展開してきました。
その中で、若年層をターゲットとするサービスがなかったので、「FACE LOG」開発に至りました。肌状態を良くすることが目的というよりは、肌や美容をきっかけに健康増進へとつなげることを意識しています。
「肌撮影の方法が伝わっていないのでは」という課題
――リリース時の反響と、その後に見えてきた課題をうかがえますか?
杉井:昨年リリース時の反響は大きく、App Storeのヘルスケア&フィットネス領域でランキング1位を獲得しました。それ以降も広告とオーガニックの両面で新規獲得には手応えがあった一方で、継続率は想定よりも低い状況でした。そこでD2C RさんのART DMPを活用して、リテンション施策に着手したんです。
ユーザーに長期的に利用・記録してもらうことで、より高い価値を提供できるアプリなので、継続率は重要な要素です。アプリの特徴上、インストール時に肌撮影とdアカウントの初回ログインを促すのですが、それを経て2回目、3回目撮影に進んで習慣化してもらいたいと考えました。
――ではD2C Rの星野さん、ART DMPの特徴と、ユーザー分析をしてみてわかったことを教えてください。
星野:ART DMPは導入企業のエンドユーザーのアプリの利用データを蓄積・分析できるプライベートDMPで、当社はそこで発見した課題に対して効果的な広告クリエイティブを制作し、主要なプラットフォームへの配信までを一気通貫で支援しています。
つまり、ART DMPを用いて広告配信することで、「ユーザーの課題に合わせた適切なコミュニケーション」をとることが可能となります。
私は主にART DMPでリテンション施策のプランニングをしているのですが、「FACE LOG」のユーザーデータをART DMPに蓄積して利用状況を見てみると、50%以上の方がインストール当日に肌撮影するものの、翌日以降の撮影率はまだまだ改善できそうな状況でした。そこで定性インタビューなども交えてユーザーの心理を分析したところ、「肌撮影の方法が十分に理解されていないのでは」という仮説が浮かび上がりました。