デジタルシフトが進む、中小企業の広告予算
――本日は、事業主・広告代理店・プラットフォーマーと立場の異なるお三方にお話を伺っていきます。はじめに簡単な自己紹介をお願いします。
山本:JOYLAB(ジョイラボ)は、EC事業やインキュベーション事業などを手掛けているBEENOS(ビーノス)グループの子会社で、お酒の買取事業を展開しています。全国に6つの店舗があり、ネットや電話でのご依頼から出張買取や宅配買取も行っています。その中で私は、JOYLABのマーケティング全般を担当しています。
永田:イーエムネットジャパンは、主にリスティング広告を中心としたインターネット専業の広告代理店で、10年ほど前からJOYLAB様の運用型広告をサポートさせていただいております。
松尾:LINEのマーケットグロース事業部に所属しています。中小企業様や地方の企業様などを対象に運用型広告「LINE広告」の活用促進をミッションとしています。以前からイーエムネットジャパン様の担当をさせていただいており、企業様へLINE広告の運用改善のご提案などを行ってきました。
――では、JOYLABさんを例に、SMB領域における運用型広告の利用状況を伺っていきたいと思います。JOYLABさんが運用型広告を始められたのは、いつ頃ですか?
山本:本格的に開始したのは、2~3年前からです。以前はチラシの配布などオフライン施策も行っていましたが、今はマーケティング予算のうち9割を運用型広告への出稿にあてています。
永田:JOYLABさんに限らず、新聞や雑誌、チラシなど紙媒体で広告訴求をしていた中堅・中小企業は、どんどん広告予算をデジタルシフトさせています。私はこの業界に入って9年目になりますが、どのネット媒体についても出稿する企業の顔ぶれが大きく広がり、多様性が増しているように感じています。
予算感や現場のリソースの現状
――予算感はどうでしょうか?
永田:SMB領域でも、月に10~30万円くらいの企業様から数千万円規模の企業様まで様々です。弊社のお客様の場合は、月に30~500万円くらいの予算感の企業様が多いですね。
松尾:LINE広告は、昨年の11月からオンライン申し込みへの対応を開始しました。これにより、出稿いただく企業様の業種業態は以前よりも多様化しています。クレジットカードの登録で少額から出稿できるため、LINE広告は費用が高いと思っていた企業様、これまで運用型広告を利用したことがない企業様でも取り組みやすくなったのではないかと思います。
――なるほど。オンライン出稿ができれば、代理店を経由せずに自社で運用する企業が増えていきそうですね。JOYLABさんでは、何人の方が広告運用を担当されていますか?
山本:メインで担当しているのは私1人です。それを上長がチェックしてくれているので、計2人ですね。今のところ、自社で広告を運用することは考えていません。
永田:代理店なしで広告を運用することももちろん可能ですが、成果を出すためには、運用のノウハウや知見が必要になります。プロダクトのアップデート情報を追うのが大変ということもあり、我々のような代理店にお話をいただくことが多い状況です。
出稿媒体の検討・判断理由は? 各社プロダクトの特徴
――マーケティング予算の9割が運用型広告ということでしたが、他媒体への出稿状況はいかがでしょうか?
山本:もちろん、他のプラットフォームも活用したことはありますが、うまくいかなかった過去があります。弊社のお客様は年齢層が40~50代と高めです。ユーザー規模が幅広いLINEだからこそ効果が出ていると考えているため、現在は他のプラットフォームの利用は考えていません。
永田:JOYLABさんは、持っているお酒の写真を送るだけで簡単に査定ができるというサービスをLINE上で提供しています。ユーザー属性だけでなくサービスの内容からも、LINE広告と相性がいいだろうと考えていました。
――JOYLABのユーザー層やサービス内容も考えて、LINE広告の利用を決められたのですね。では、代理店の視点から、各社プロダクトの特徴をどのように捉えているか教えていただけますか?
永田:Google広告とYahoo!広告は、認知から獲得までに対応しており、安定して獲得することが可能な広告媒体です。最近では広告運用の自動化も進んでいて、その精度も非常に高いと感じています。ただし、獲得単価などはオーディエンスごとの予測値が異なるため、企業様の状況によって提案内容や運用媒体を柔軟に対応しています。
Facebookは、行動パターンやユーザーの趣味嗜好に応じたターゲティングの精度が高いですね。また、SNS媒体の全体的な特徴として、顕在層だけでなく潜在層にも訴求しやすいという特長があります。SNS上で人が繋がっているので、獲得したユーザーのフォロワーや友だちがそれぞれ似た属性である場合が多いためです。
検索広告が一本釣りだとしたら、Google広告、Yahoo!広告のディスプレイ広告、SNS広告は魚群探知機で群れを見つけて地引網でまとめて獲得するようなイメージです。
莫大なユーザー数が支える、LINE広告の強み
――LINE広告については、どのような特長があるでしょうか?
永田:お酒に限らず、買取業界で広告を運用する場合、検索連動型のリスティング広告はクリック単価が非常に高く、アクセスを集められるキーワードも偏っているという課題があります。しかし、LINEは膨大なユーザー数ゆえ、比較的低いクリック単価で送客できます。
松尾:LINEには、8,300万人(2019年12月時点)のユーザーがいるので、どんな業種の企業様でもターゲットとするユーザーがいるのではないかと思います。現状ですと、コスメやアパレルのEC事業者、人材サービス、不動産、ゲームアプリなどの企業様の出稿が多いですね。また、LINE公式アカウントを併用すればユーザーと継続的な接点を作ることができるので、獲得だけにとどまらない幅広い活用法があります。
永田:他のSNSと比べ、メッセージツールとして接触機会が多いことも特長のひとつです。LINE広告は、LINE公式アカウントで友だちになったユーザーの類似ユーザーへ拡張配信ができる点も強みだと思います。
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出稿開始後すぐに効果を実感!
――JOYLABさんでのLINE広告の運用方法について、詳しく教えていただけますか?
永田:4ヵ月前からLINE広告の運用を開始しました。最初は20歳以上と推定される方から65歳くらいの方まで、幅広い年齢層に配信をしていました。当初、クリック単価はだいたい最低入札価格で運用し、新規顧客への配信と一度アクセスしてくれた人にリーチするための配信を同時に走らせてきました。
4ヵ月が経過し、広告からアクセスしてくれる人のデータがたまってきた段階で、不要なセグメントを除外し、成果がいいと考えられる年齢層、セグメントに寄せています。
――成果についても教えていただけますか?
山本:まず集客の観点では、LINE広告導入前の9月期と導入後の11月期で比較すると、新規のサイト訪問ユーザー数が20%増加していました。CVRは検索型広告と比べると低い状態ですが、クリック単価が検索型広告と比べて10分の1以下なので、結果として検索型広告と同等のCPAを達成しています。投資している予算に対し、納得のできる成果を出せていると感じています。
――これからどのような運用改善に取り組まれる予定ですか?
永田:バナーなどのクリエイティブ改善でさらに効率を上げていこうと考えています。
松尾:LINE公式アカウントのオーディエンスを利用した類似配信もできるようになっているので、ご活用いただくといいかもしれません。また、JOYLAB様であればコンバージョンを買取査定の申し込みに設定し、そのコンバージョンデータを使った類似配信も活用すれば、CVRをさらに改善できる可能性があります。
広告を手段に新しい挑戦、ビジネス目標の達成へ
――では最後に、皆さんの今後の展望をお聞かせください。
松尾:オンライン申し込みによって出稿までのハードルが確実に下がったこともあり、サービスを知ってもらい、活用していただける企業様をさらに増やしていきたいと考えています。また、プロダクトの開発や企画をしているメンバーが国内にいるので、企業様にはどんどんご要望をいただき、プロダクトに反映していきたいですね。
永田:常に最新の情報をクライアント企業様にご提案しつつ、良いところも悪いところもきちんと共有するクリーンな代理店でありたいです。また、最近ではLINEの広告運用だけでなく、LINE公式アカウントの運用サポートまで行うことも増えてきました。広告領域だけにとどまらず、クライアント企業様の成長をサポートし、ウィンウィンの関係を築けていければと思います。
山本:広告に関しては、運用型広告である以上、効率化が重要ではありますが、イーエムネットジャパン様のお力を借りながら改善を行い、LINE公式アカウントとのデータ連携など、新たな活用にも積極的に取り組んでいきたいです。
リユース業界はアナログな買取方法に終始しがちな業界でもあるため、新しいテクノロジーに常にアンテナを張り、LINEを活用して業界の新しいスタンダードを作り出していきたいです。
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