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事例&データで深掘り!Instagramマーケティングの現在地(AD)

想定以上のリーチを獲得!JALが語る、「Instagram×スポーツ」の効果

 昨今、スポーツ×マーケティングに可能性を感じている企業による取り組みが活発になっている。本記事では、様々なスポーツ団体、アスリートのスポンサーとなっている日本航空とラグビー日本代表によるキャンペーン、その中で活用したInstagramの施策について、日本航空宣伝部の渡邉裕紀氏、JALブランドコミュニケーションマーケティング部の橋本達明氏、Facebook Japanクライアントパートナーマネージャーの希代翔氏にインタビュー。施策の全容や、施策を通して実感した「Instagram×スポーツ」の力が明らかになった。

スポーツを通してJALが伝えたいメッセージとは

MZ:今回、日本航空(以下、JAL)がラグビー日本代表とコラボした施策を展開されましたが、御社がスポーツを支援する理由を教えてください。

渡邉:JALでは、色々なスポーツとアスリートのスポンサーをしています。そこには、スポーツファンとJALの親近感を醸成し、将来的にJAL便の搭乗につなげたい狙いがあります。

日本航空 宣伝部 運営グループ アシスタントマネージャー 渡邉裕紀氏
日本航空 宣伝部 運営グループ アシスタントマネージャー 渡邉裕紀氏

 そして、ブランド宣伝の視点からは、アスリートの姿に重ねて、「挑戦」という企業メッセージを伝えたいと考えています。

 たとえばラグビー日本代表の場合、「ONE TEAM(ワンチーム)」のスローガンに表現されているように、色々なポジションがありながらも、ひとつのチームとしてまとまって戦う姿が企業のあるべき姿につながります。JALも、グランドスタッフや整備部門、客室乗務員、パイロット、その他部門と、色々なメンバーが力を結集させることで飛行機を飛ばすことができています。

 そのため、ラグビーとコラボレーションして「ONE TEAM」に近いメッセージ性を持たせた動画も制作して、発信しました。

ラグビーワールドカップで展開したコミュニケーションプラン

MZ:2019年は「ラグビーワールドカップ2019日本大会」(9月20日~11月2日)が開催されましたが、それに合わせてどのようなコミュニケーションプランを組まれたのでしょうか。

渡邉:開催前の2019年3月には、ラグビー日本代表選手と車いすラグビー日本代表選手をデザインした特別塗装機を就航しました。ラグビー日本代表により多くの応援が集まるよう、そしてJALが男子日本代表オフィシャルスポンサー(当時)である認知が広がるよう、このような施策に取り組みました。

橋本:また、デジタル上でもオウンドメディアやInstagramをはじめとするSNSを通じて、動画などを駆使した情報発信にも取り組みました。さらに大会直前には、元ラグビー日本代表で、当時、日本ラグビーフットボール選手会会長をされていた畠山健介選手をアンバサダーに迎えて発信にご協力いただきました。

JALブランドコミュニケーション マーケティング部 営業グループ メディアディレクター 橋本達明氏
JALブランドコミュニケーション マーケティング部 営業グループ メディアディレクター 橋本達明氏

渡邉:大会期間中に関しては、コアファン向けにスポーツ専門チャンネルでテレビCMを流し、空港での装飾もラグビーを意識したものにしました。

 また、2019年9月下旬から12月まで国内線搭乗キャンペーンを実施し、期間内にキャンペーン対象路線・対象便に2回ご搭乗いただいた方に、JALオリジナルのマフラータオルや畠山選手のサイン入りグッズをプレゼントする企画で好評をいただきました。

 その他、同じくラグビー日本代表を応援している企業様と一緒に、羽田空港でラグビーを盛り上げるPRイベントを実施しました。

MZ:ラグビーワールドカップは多くの方の想像を超える盛り上がりになったと思いますが、当初のプランと変更した部分はありますか。

渡邉:大きく変えた点はありませんが、日本代表の躍進にあわせて、追加でInstagramに出稿したり、応援メッセージを新聞広告で出したりと、盛り上がりの機を逃さないような施策は仕掛けていました。

MZ:今回の施策では、Instagramが中心になったとのことですが、Instagramに対してどのような役割を期待していましたか。

Instagram×スポーツで期待できる力とは

橋本:今回のキャンペーンでは、ラグビーのコアファン、期間中に話題となったにわかファンに確実にリアルタイムでリーチできるかが重要なポイントでした。そうしたターゲットに試合への期待感が高まるタイミングでリーチする役割を、Instagramであれば担えると適切と考えていました。

渡邉:今回の施策以前にも、我々がスポンサードしている他のアスリートともInstagramを活用した取り組みを行っていたこともあり、「Instagram×スポーツ」の親和性の高さは元々感じていたんです。

希代:Instagramとスポーツとの親和性については、Instagram利用者の7割が、スポーツコンテンツにエンゲージしているという調査結果も出ています(調査結果の詳細に関する記事はこちら)。

 Facebook Japan クライアントパートナーマネージャー 希代翔氏
Facebook Japan クライアントパートナーマネージャー 希代翔氏

 Instagramでスポーツコンテンツを見る際に求められているのは、実際の試合結果やスポーツが行われている瞬間よりも、“普段見られないアスリートの日常”や“試合の舞台裏”といった内容です。そのため、他の媒体と比べると、試合前後の一瞬だけでなく、安定的にエンゲージメントを高めやすいと分析できます。

 日常的に選手の方々がInstagramに投稿される中で、ファンと選手の間でエンゲージメントが高まるため、JALさんのようにスポンサードしている選手が数多くいらっしゃる場合はマーケティングの好機と言えます。選手とファンのコミュニケーションの中に継続的にブランドが登場することで、ブランドや企業へのエンゲージメントも高めやすくなる相乗効果が得られると考えられるからです。

 「ブランドコンテンツ広告」などの機能も2019年より提供しており、選手と企業・ブランドによるInstagram上でのコラボレーションがますます行いやすくなっている点にも注目してもらいたいです。

ストーリーズの特徴を押さえた広告を配信

MZ:ラグビーワールドカップ中、Instagramのユーザーの特徴的な行動はありましたか。

希代:ラグビーワールドカップの中で日本代表選手が活躍したことで、アカウントをお持ちのアスリート個人のフォロワー数とエンゲージメントが伸びていました。特にマスメディアでは見られないようなチームメイトなどとのプライベートの姿に関する投稿に反応している様子がうかがえました。大きなスポーツイベント時には選手への注目度が急激に高まりますので、こういったモーメントをJALさんはうまく捉えられていると考えています。

 また、Instagramの双方向のコミュニケーションがしやすい特徴を活かして、利用者と積極的にインタラクティブなコミュニケーションを取っている選手のアカウントで、よりエンゲージメントが高まる傾向があるようです。

 大会後にマスメディアや他のメディアでの露出が減ってきても、Instagram上では選手とファンとの継続的なつながりができていくと考えています。

MZ:Instagram上で行った施策について、具体的にはどんなことをされたのでしょうか。

橋本:ストーリーズとフィードの広告で動画を展開しました。ストーリーズとフィードではユーザーの視聴態度が全く異なると考えているので、その点を心がけてクリエイティブや配信の設計を行いました。

 動画の内容は、畠山選手によるラグビー講座を7種類。にわかファンや、ラグビーに興味を持ち始めた人向けに、遊び心のある広告クリエイティブを配信いたしました。

 作り込みすぎない、カジュアルな投稿を楽しむ視聴態度にマッチしていると考えて、ストーリーズの配信面を中心に配信していました。縦全面使えるのは大きなメリットで、中央部に動画、上下には静止画でJALのキャンペーンであることを訴求することができます。このように、ストーリーズの特徴を活かしたクリエイティブを用意しました。

渡邉:動画のみだと、どの企業の広告だったかが記憶に残っていないケースも起こりがちです。そうならぬよう、画面の中に静止画を入れることでJALからの動画であることを伝えられたのは良かったです。

MZ:Instagram施策によってどんな成果が得られましたか。

Instagram活用によって得られた成果とは?

橋本:両キャンペーンとも期間中に1,000万リーチ以上と、シミュレーションよりも良い数字を獲得できました。ターゲットユーザーに対し、目的に沿った配信ができたと評価しています。

 視聴完了率はこれまでのスポンサーシップのアクティベーションの中でも高く、CPMも他のスポーツ文脈の施策と比べて安かったので、非常に良かったです。

希代:今回はクリエイティブ面の学びが多かったですね。ストーリーズは、テンポ良く次から次へとコンテンツを遷移しながら視聴している人が多いため、冒頭で見るか見ないかの判断を左右するアイキャッチが重要になるのですが、「15秒で簡単にわかる」と冒頭で伝えたのが効果につながったのではないでしょうか。また、音なしでも学べる内容になっていて、今回のターゲットであるライトなファン層が欲している情報をタイムリーに発信されていた印象が強いです。

 そして何より、ラグビー日本代表並びにJALの認知度を上げるという相乗効果に貢献していたと、キャンペーンを見ていて感じました。JALさんがこれまでの取り組みで蓄積してきた知見があったからこそ得られた結果だと思います。

今後Instagram×スポーツの可能性はさらに高まる

MZ:これからも「Instagram×スポーツ」のコミュニケーション施策を行っていくとして、Instagramにはどのようなことを期待しますか。

渡邉:試合の舞台裏などをスポーツ団体やアスリートたちがInstagramでより発信するようになれば、今後さらに広告出稿の価値が高まるはず。アスリートが発信するツールとしてInstagramの利用が増えていくと、我々としても嬉しいです。

橋本:アスリート目線で、企業やブランドについてメッセージを発信いただける点は広告主にとって非常に魅力的だと感じています。

 スポーツを掛け合わせた広告を配信する上で、Instagramは特徴的なプラットフォームですので、引き続きこの立ち位置を守ってほしいと思います。また、ブランドコンテンツ広告がより簡単に出稿できるようになると、打ち手の幅も広がるので今後に期待しています。

MZ:Facebookとしては、スポーツ領域において今後どのようなプラットフォームにしていきたいですか。

希代:先ほど紹介した調査の結果などを見ても、スポーツ関連のコンテンツに対する利用者のニーズは高く、今後もますます高まると想像できます。スポーツを掛け合わせた企業のマーケティング活動が行いやすいプラットフォームとなれるよう、今後も取り組みを強化していきたいです。

 Instagramではフィード広告、ストーリーズ広告やインフルエンサー投稿を活用したブランドコンテンツ広告などペイド施策で効率的にリーチを広げながら、ライブ配信や長尺動画を投稿できるIGTVなどを使ったオーガニック施策でより深いエンゲージメントをとりにいくことも可能です。そういった機能の活用方法をアスリートの方はもちろん企業側にも伝えていき、スポーツ領域のマーケティング活用を支援したいです。

橋本:今後、ストーリーズ投稿時に使っていただけるようなARカメラエフェクトやGIFスタンプ提供にも挑戦したいと考えています。GIFスタンプはすでにいくつかリリースしていますが、スポーツ文脈のものを作れると良いなと思っています。そのように、我々も新しい機能を積極的に取り入れたいと思っています。

今回の事例以外の「Instagram×スポーツ」の事例を紹介中!

 現在Instagramの特設サイトで、様々な企業による「Instagram×スポーツ」の事例を紹介しています。その他にもInstagramストーリーズのクリエイティブ制作のコツなども掲載しているので、こちらもぜひ合わせてご覧ください!詳細はこちら

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この記事の著者

畑中 杏樹(ハタナカ アズキ)

フリーランスライター。広告・マーケティング系出版社の雑誌編集を経てフリーランスに。デジタルマーケティング、広告宣伝、SP分野を中心にWebや雑誌で執筆中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2020/05/18 12:01 https://markezine.jp/article/detail/32989