プラットフォームによって、広告への反応が異なる理由
続いて、脳波計測の調査結果に入る。同調査では、9ブランド、18種類の動画において、「モバイル最適化動画」と「モバイル非最適化動画」によって、脳がどう反応の違いをみせるのかを検証した。
モバイル最適化動画
・平均9.7秒
・字幕/テロップの充実(音を出さなくても内容が理解しやすい)
・メッセージがすぐ伝わるモバイル非最適化動画
・平均28.3秒
・字幕・テロップは少ない
・メッセージ理解に時間がかかる
図表では横時が動画の秒数、縦軸が認知的負担度を示す。今回は縦軸の75が認知的負担度の最適値となる。Twitterにおいて「モバイル非最適化動画(青線)」と「モバイル最適化動画(点線)」を比較すると、常に「モバイル最適化動画」の認知的負担度が、最適値の75に近い。一方で他のプラットフォームでは、秒数によって結果にばらつきが出ている。

さらに、モチベーションレベル(数値が高いほど、見ている動画に対して興味を示している、もっと知りたいというポジティブな気持ちの表れ)に着目。Twitter上では、見事にモバイル最適化動画が、秒数が経つにつれて、右肩あがりに上昇している。対して、モバイル非最適化動画は低い傾向にある。
「モバイル最適化動画は、最初からスピーディーにメッセージが伝わる作りになっている。目に広告が入った瞬間から、秒数が進むごとに内容の理解が進んだ結果、興味を引くことに成功したことの表れだと考えられる」(竹下氏)

しかし、他のプラットフォームにおいては、両者にはそれほど差異がない。その理由について、「Twitterを利用している時、ユーザーはディスカバリーマインドセット(探求モード)にあるからではないか」と竹下氏は投げかける。
同じ利用者であっても、各プラットフォームを使う時、それぞれモードやモチベーションが異なることは想像に容易い。
「Facebookは知人や友人の近況を知りたいマインドに。Instagramはポジティブでオシャレなトーンを期待している。Instagramストーリーズは、知人や有名人の近況を知りたい時に。YouTubeは、観たい動画を見ることを期待している。対してTwitterは、ジャンルを問わず、今の世の中で起きていることの最新情報を知る、という比較的広い目的で利用する傾向があるため、入ってくる情報に対してオープンな状態で利用している。これはTwitterならではの強み」(竹下氏)
また、今回の実験はすべてスマートフォン環境で実施されたが、外出先や片手間で見られるモバイル上のプラットフォームは、1秒でもはやく情報が入ってくることを求められる傾向が強いという。
「実際、今回の調査に立ち会った際に非常にスピーディーにタイムラインをスクロールしていた行動が見られた。その中で、気になる動画が流れてきた瞬間に、動画の中身をある程度理解できること、つまりネタバレがあると、その先も動画を見続けるモチベーションを高めることにつながる」(竹下氏)
この度の一連の調査を振り返って、竹下氏は下記の3つのまとめを提示し、「これまでに実施した他の調査でもこのような結果は出ていたが、今回は科学的な方法で証明されたことが、大きな進歩だ」と締めくくった。
●探求モードにあると、広告もコンテンツとして見られる。
●テキストと動画、両方見られる構成だと内容が理解されやすい。
●はやく簡潔に内容が伝わる動画が好まれる。