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「プロジェクト譜」で見出す、マーケティングの勝ち筋

プロジェクトの見直しを迫られた今、取るべき行動は?管理ではなく「編集」の視点でコロナ危機を乗り切ろう


 4月から始まる新年度に向けて。夏のオリンピックに向けて。みなさんは様々なマーケティング施策を計画していたことでしょう。しかし、コロナウイルスの影響で事前に準備していた計画の多くは、見直しを迫られています。まったく予期していなかった環境の変化によって、これまでの前提が大きく覆り、まだこの先何が起こるか読めない状況で、どのように舵を取っていけばよいのでしょうか? 本連載ではプロジェクトを「編集」するという観点・手法から、そのヒントを紹介します。

本連載では、『紙1枚に書くだけでうまくいく プロジェクト進行の技術が身につく本』(翔泳社)でも取り上げている、プロジェクトのゴールと過程を1枚で共有する「プ譜(プロジェクト譜)」を用いて、激変する環境でもプロジェクトを進めていく方法を、いくつかの事例とともに紹介していきます。

コロナウイルスで大きく覆った前提

 広告を打っても海外の生産拠点でモノが作れない。展示会に出展できないため見込み客が獲得できない。計画の実行に使用するつもりで導入したツールの用途がなくなってしまった――。用意周到に計画し、獲得した予算を使って実行しようとしてきた数多くの施策が、想定外の出来事によって実行できなくなったり、途中で停止せざるを得ない状況になったりしています。

 かねてより「VUCA(ブーカ:Volatility 変動性、Uncertainty 不確実性、Complexity 複雑性、Ambiguity 曖昧性の頭文字をとった言葉)」の時代が来ると言われてきましたが、コロナウイルスによるここまでの変化を予期していた人などいなかったでしょう。

 現在のマーケターにとっての問題は、この先どのような変化が起こるかを読み切れない状況で、所属する企業の全体的な目標に貢献できるように、マーケティング活動を行わなければいけないところにあります。

 申し遅れましたが、筆者は自動車、映画、食品、観光、ITなどの分野での新規事業プロジェクトの進行を支援しています。携わるプロジェクトの多くはその企業にとって初めて取り組む、未知の要素が多いもので、特に大きいプロジェクトでは、想定外が当たり前です。

 リサーチをして製品を作ってみたのに、ユーザーが求めている機能の予想が外れていた。アライアンス前提のプロジェクトが、相手企業の事情で解消されてしまった。こんな想定外の出来事が頻繁に起きます。プロジェクトを始める前には見通せなかった「抜け漏れ」もあれば、今回のコロナウイルスのように自分の力ではどうしようもない、自分のミスではない原因で引き起こされる想定外もあります。

“進め方が不透明”なのが、プロジェクトの本質

 プロジェクト(Project)は様々なシーンで使われる言葉になっていますが、その意味について、Programという言葉と比較しながら掘り下げてみたいと思います。

  • Project:「Pro(前へ)」+「ject(投げる)」という単語が組み合わさってできており、そこから転じて「目標に向かって進む」という意味を持つようになる。
  • Program:「Pro(前もって)」+「gram(書く)」という単語の組み合わせから、コンサートの演目などを指す言葉として使われる。

 Programには、システムを動かすプログラムが意味するように、書いたものをその通りに実行する・されるというニュアンスがある一方、Projectは目標に向かって進むものの、どのように進めればいいのかが不透明です。また、Projectでは人材や予算といったリソースの他、今回のような環境の変化、競合の存在などの変数が数多く存在し、それらによってまた新たな事象が引き起こされるといった複雑な性質を持ちます。

 では、こうした複雑性を縮減しながら物事を進めていくにはどうすればよいか。その課題にこたえるために、プロジェクトを管理するプロジェクトマネジメントという手法が生まれました。

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プロジェクトの「管理」は難易度高し 「編集」しながら進めよう

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この記事の著者

前田 考歩(マエダ タカホ)

「問いかけ・対話」と「構造化」でプロジェクト進行を支援する、平日早朝のみ開業の『プロジェクト・クリニック』を運営。プロジェクトを「管理」ではなく「編集」して進める方法として「プ譜」を考案。プ譜を使ったプロジェクトのコンサルティングや、企業及び小学生から大学生を対象に、プロジェクトを進めながら学んでいくPBL(Pro...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2020/05/26 17:16 https://markezine.jp/article/detail/33344

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