カスタマーの成功は「偶然の産物」から「計画的に生み出すもの」に
まず一つ目の「カスタマーのサクセスへのコミットがある」について。これはカスタマーマーケティングのまさに源泉です。カスタマーマーケティングは、カスタマーのサクセスがあって初めて成り立つものです。
カスタマーサクセスが現在ほど一般的になる以前では、カスタマーのサクセスは偶然を待つしかない状況でした。偶然とあるカスタマーが上手く利用してくれて、それを知り事例やユーザーズボイスなどとして、コンテンツを制作して、施策に活用するようなケースが多くありました。
また、それとは逆の流れで施策・企画ありきで訴求したいメッセージに合ったカスタマーを探して、なんとか施策を打つようなこともありました。つまり、カスタマーのサクセスが偶然の産物ではなく、目的・方向性を持って計画的に生み出されるようになったこと。ここにこれまでとの違いと大きな価値を感じています。

そして、「カスタマーに伴走し、顧客の声や情報を漏れなくキャッチアップできる」について。よくカスタマーサクセスにおいては伴走という言葉が出てきますが、カスタマーサクセスの担当者は、まさにカスタマーの隣にいるくらいの距離感で、自社のサービス・プロダクトの使い心地の声を聞き、社内にフィードバックしてくれます。
当然それが導入事例コンテンツの制作のきっかけになりますし、さらにはオンラインやオフライン問わず、様々なマーケティング施策に展開されるような、見込み顧客の心に突き刺さる熱のあるフレーズを生み出してくれます。
カスタマーサクセスに「循環」を
現在はまだ、今回の連載のテーマ「カスタマーマーケティングとは?」のような概念がテーマになったり、個別具体的な施策についての話題が中心になっていますが、近い将来、企業組織全体としてどうやってカスタマーマーケティングを実現していくかが重要なテーマになりそうです。マーケティング部門がやるのか、カスタマーサクセス部門がやるのかという議論が起こる気がします。
カスタマーマーケティングが上手くいっている状態とは、企業の財産ともいえるカスタマーの「サクセス」の価値を最大化できている状態だと思います。マーケティング部門なのかカスタマーサクセス部門なのかという二者択一では、不十分な印象です。
企業に所属する従業員全体が、自社のカスタマーのサクセスを語れることがカスタマーマーケティングのゴールなのではないでしょうか。
そして、それを実現するためには、カスタマーのサクセスが企業全体にしっかりと循環(サーキュレーション)していること、どうやって循環のサイクルを作るかが重要になるでしょう。
