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カスタマーマーケティング、その本質と実践

マーケティングを「カスタマーサクセス仕様」にアップデートする


 BtoB SaaS企業にとって、既存顧客と良好な関係を作り、LTVを向上させる「カスタマーサクセス」は重要な戦略の一つだ。そして今、このカスタマーサクセスをスケールさせ、売上拡大につなげる「カスタマーマーケティング」という新たな考え方に注目が集まっている。本連載では、「カスタマーマーケティング meetup」を主宰する長橋明子氏、Sansanの山田ひさのり氏、SmartHRの岡本剛典氏が毎回テーマを変え、「カスタマーマーケティング」の可能性、本質について解説していく。第2回となる今回は、カスタマーマーケティングがどのような面で効果を発揮するのか、具体的なアプローチ方法とともに解説する。

カスタマーマーケティングの本質とは?

 前回の記事「サブスク時代に重要な「カスタマーマーケティング」とは?カスタマーサクセス×マーケティングの可能性」では、カスタマーサクセスをさらにスケールさせ、売上拡大につなげていくために、なぜ「カスタマーマーケティング」が必要なのかという点をお伝えしました。

 カスタマーマーケティングは単なる「既存顧客に向けたマーケティング」ではなく、カスタマー“サクセス”マーケティングであると考えています。そして、カスタマーサクセスが浸透しつつある企業においては、既存のマーケティング機能そのものを「カスタマーサクセス」オリエンティッドなものにアップデートすることが必要になってきます。

 今回は、改めてカスタマーマーケティングがどのような面で効果を発揮するのか、そして実践するためにどのようなアプローチを行っていけば良いのかについて見ていきたいと思います。

LTV向上だけでなく、デマンドジェネレーションにも効く

 マーケティング施策を考える際、よく使われるファネルという構造があります。

 カスタマーマーケティングが直接的に効くのは、このファネルの下の部分である継続利用やアップセル、クロスセルによる既存顧客のLTV向上(図の1部分)ですが、間接的・中長期的には、紹介や発信が潜在顧客に波及することにより、上の部分、つまりデマンドジェネレーション(潜在顧客の発掘・育成)の効果も見込むことができると考えます(図の2部分)。

(A)継続利用、アップセル、クロスセル
既存顧客のサクセスを支援する施策やプログラムにより、リニューアルや取引の拡大
例:イベント、メールやウェビナー、キャンペーンなど

(B)紹介によるデマンド喚起
プロダクトの活用が成功した満足度の高い顧客が、他の潜在顧客にプロダクトを紹介
例:導入事例やユーザーコミュニティ/顧客経由での紹介

(C)発信による認知拡大
熱心なファンとなってくれた顧客が、アドボケイト(提唱者)としてプロダクトの良さをベンダーの代わりに発信
例:セミナーやイベント登壇、勉強会やユーザー会の主催、SNSやブログでの発信など

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この記事の著者

長橋 明子(ナガハシ アキコ)

オートメーション・エニウェア・ジャパン株式会社
シニア・マネージャー カスタマーマーケティング

早稲田大学卒業後、NTTコミュニケーションズにて技術開発、経営企画、プロダクトマーケティング等に携わる。2016年よりワークスモバイルジャパンにてビジネスチャット「LINE WORKS」のマーケティングおよびカスタマー・エクスペリエンス&アドボカシーを経て、2019年7月に米系RPAベンダー オートメーション・エニウェアに参画。カスタマーマーケテ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2020/05/28 10:48 https://markezine.jp/article/detail/33401

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