カスタマーマーケティングは、マーケターにとって当然の思想
施策だけでなく、ABC分析やRFM分析、CPM分析など顧客分析・マネジメントのための分析手法やシステムも世の中には多く存在します。データサイエンスの浸透した現在では、企業によっては、より高度な分析手法や綿密な顧客マネジメントの手法を保持していることもあります。
つまり、カスタマーマーケティングは決して新しい考え方でも手法でもないのです。むしろ、長年かけて様々な施策の実施と検証が繰り返され、知見の溜まっているカテゴリーで、マーケターにとって向き合うべき当然の思想であり、発想です。
そして、マーケターが一般的に持つであろう感覚として、こうした取り組みのすべてを既存顧客と新規顧客に綺麗に分けられないことも注意点としてあります。その例としてわかりやすいのが、アドボケイトや口コミなどのバイラル系の施策です。目的としては新規顧客の集客になりますが、その集客エネルギーの源泉には、既存顧客の成功事例やユーザーズボイス、ユーザーイベントなどがあります。

カスタマーサクセスの視点では、それら施策を既存顧客へ向けて、LTV向上や単価アップを促進したいと思うのは当然です。しかし、マーケティングの視点では、既存顧客だけに閉じておくのは片手落ちで、新規顧客の集客に向けても活用し、その施策を一石二鳥でスケールさせたいところです。
カスタマーマーケティングの適用範囲は、既存顧客だけでなく新規顧客まで拡張されるもので、その主体はカスタマーサクセスだけでなく、マーケティング部門が担うことも必要なのです。
カスタマーサクセスの登場が変えたもの
前述のとおり、カスタマーマーケティングと呼ばれる類の施策は、かなり以前よりマーケティングの業務領域に含まれていました。しかしながら、現在カスタマーマーケティングが注目されつつあるのは事実であり、私自身も何かが変わってきたなという実感があります。では、この変化が何によるものか。やはりそれは、カスタマーサクセスの登場によるものだと思います。
カスタマーサクセスの登場によりカスタマーマーケティング施策がどう変わってきているかを、マーケティング目線で整理すると、
・カスタマーのサクセスへのコミットがある
・カスタマーに伴走し、顧客の声や情報を漏れなくキャッチアップできる
の2つに集約されます。
カスタマーサクセスの方からすれば、当たり前な事かもしれませんが、とても価値のあることなので改めてここで述べさせていただきます。