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SNS人格図鑑

メルペイリリースまでを温かく見守った「アンバサダー垢」の正体とは?SNSを活用する、次世代広報活動

 SNS上に存在する特徴的な人物クラスタを分析し、その実態に迫る本連載。今回は、SNSでの広がりを用いることでリリースまでの広報活動を効果的に行ったメルペイの事例から、企業やサービスが繋がるべき、自社サービスを宣伝してくれる「アンバサダー垢」の正体について解き明かします。

「SNS人格図鑑」過去記事はこちらから!
第1回:「もう年齢は隠さない!?」コスメ垢のオープン過ぎる実態
第2回:SNSとリアルを自由に謳歌する「キラキラシニア垢」とは!?
第3回:リアルもSNSもマルチタスク!複数垢を使い分ける「ハイブリッド大学生」のインサイト
第4回:新型コロナ騒動を受けて、企業アカウントに求められる「コール&レスポンス型」SNS運用とは?

メルペイがSNSを活用し実現した、次世代広報活動

 新型コロナウイルスの影響が現れて以降、企業がより積極的に取り組み始めているデジタルトランスフォーメーション。自社アプリやWebサイトの新規開発から、「Zoom」など感染騒動以降により注目されたアプリやプラットフォームの活用まで、デジタル上に顧客接点を増やす動きが多方で現れていることを感じます。

 一方で、「立ち上げたサービスをどのように世の中に発信するのか」という点についての議論は正にこれからの話である、と筆者も考えています。元々行っていた広告活動、広報活動は二の次……という状況の企業も多かったのではないでしょうか。事態を受けて始める新しいサービスも、多くの人の目に触れないことには利用は促進されません。この時代に行うべき広告活動、広報活動はどのようなものが有効なのでしょうか。

 この問題について考えた時に、筆者は2019年2月にリリースされたキャッシュレス決済サービス「メルペイ」の事例が頭に浮かびました。

 「メルペイ」については広く普及されているサービスですので説明は割愛しますが、実は「メルペイ」というサービスについての発表があってから実際のリリースまでの間(2017年12月〜2019年2月)、非常に興味深いソーシャルボイスが出現し、これらがリリースまでの広報活動に大きく貢献したのでは? という仮説が筆者にありました。

 具体的にどういう動向があったのか。分析結果を説明していきます。

社員が「個人のSNS」を活用して情報を発信

2017年12月〜2018年3月

 メルカリが新会社であるメルペイを設立したニュースが流れたのは2017年12月4日。スマホ決済サービス「メルペイ」がリリースされる1年以上前です。以降、2018年が始まるとすぐに、彼らの金融事業構想が、インタビューや自社開催によるイベントにて発表されます。

 しかし、SNS上の動向に目を向けてみると、これらの大規模施策以上に盛り上がっていたのはメルカリグループで働く人たちに焦点を当てたオウンドメディア「mercan」や年明け以降精力的に開催されていた「Merpay Tech Meetup」などの中規模セミナーの話題でした。金融事業の未来に対するビジョンの提示をオンライン、オフラインの両面で、できるだけ少数に、熱量高く発信し続けたことでまずはエンジニアの心に共鳴を生み出します。

2018年4月〜2018年6月

 年初から継続的かつ精力的に事業構想や、エンジニアの業務内の取り組みについて発信をし続けたことでどうなったのでしょうか? これらの公式による発信だけでなく、実際にメルペイに入社されたエンジニアの方々が、noteや個人のSNSアカウントで、彼ら・彼女らのエンジニアリングの思想を世の中に発信するようになったのです。

 個人によるより現場のリアルを伝える発信は、公式による発表以上にマーケター、エンジニアなどのいわゆる“Web界隈の人々”の心を打ちました。このように、メルペイ社員が社員という働き以上の「社内アンバサダー」としての発信を自主的に行ったことにより、メルペイの広報活動はより効果的に広がっていったと考えられます。

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この記事の著者

金清 雄太(カネキヨ ユウタ)

65dB TOKYO
Head of 65dB TOKYO

2015年、TBWA\HAKUHODOに入社。統合的なデジタル施策の企画〜運用の経験を生かし、得意先のクリエイティブ、プロモーション立案のプロセスにデータドリブン思考を注入している。なかでも、ソーシャルモニタリングを活用した生活者インサイトを抽出する手法...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2020/06/04 09:00 https://markezine.jp/article/detail/33429

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