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自動化でフォロワーを2倍以上に!「NewsDigest」Twitterアカウントの本質的な運用術


 新型コロナウイルスに関する情報発信を行い、Twitterのフォロワー数を2倍以上に伸ばしたというJX通信社の速報ニュースアプリ「NewsDigest(ニュースダイジェスト)」のアカウント。テクノロジーを活用し、無駄のない運用をすることでファンを獲得した同アカウントの運用担当者である細野雄紀氏から、その運用方法について話を聞いた。

何が起きているか、一目でわかりやすく伝える

MarkeZine編集部(以下、MZ):「NewsDigest」のTwitterアカウントはここ2ヵ月でフォロワー数が急増したとのことですが、どのような取り組みをしているのでしょうか。

JX通信社 CXO 細野雄紀氏
株式会社JX通信社 取締役 CXO 細野雄紀氏

細野:JX通信社は「テクノロジーで“今起きていること”を明らかにする報道機関」というミッションを持っており、以前から速報性と機械化にこだわってTwitterアカウントを運用していました。その中で、今は自動化テクノロジーを最大限活用しながら、新型コロナウイルスに関する情報を迅速かつグラフィカルに発信し続けています。

 今は情報が錯綜しているので、「何が起きているのかを一目でわかりやすく知りたい」というニーズが非常に大きいと考えています。そのニーズに対して、主に画像を多用して情報発信をしています。

ツイート並びに画像を自動生成

MZ:ありがとうございます。具体的には運用に関するどの部分を自動化しているのでしょうか。

細野:画像やツイート文の生成を自動で行っています。たとえば、新型コロナウイルスの感染者が増えたことがわかるたびに、どの程度感染者が増えたのか、各県が合計でどれだけの感染者数なのかを画像で発信しています。

 また、最近では大阪府で運用されている「大阪モデル」の視覚化にも取り組んでいます。その日の警戒信号と3つの指標(感染経路不明者数、確定診断検査における陽性率、患者受入重症病床使用率)、自粛解除判断までの日数を画像にまとめています。こちらのツイートは松井大阪市長にもリツイートされるなど非常に好評でした。

 これらはすべて、自動作成ツールの管理画面で「生成」というボタンを押すと、画像とツイート文が自動で生成されるようになっているんです。あとは生成されたものを確認し、ツイートボタンを押すだけでツイートされるので、ほぼ自動で運用することができています。

 ツイート作業自体は10秒で完結し、1人が片手間でできる作業なので、属人的にならずに運用することができるのが自動化の恩恵だと思っています。自動化することで楽になる・効率化できるというのはもちろんですが、それ以上に属人化を防げることが大きいと考えています。

 作業の単純化ができるようになると、作業分担の属人化を避けることができる上に、誰でもできるルーティンワークに落とし込むこともできます。組織の柔軟性の担保や、働きやすさの面で大きな効果があると思っています。

求められる情報を、リアルタイムかつグラフィカルに

MZ:グラフなどを画像化するのも自動化しているのはすごいですね。アカウント担当者である細野さんは、何をしているのでしょうか。

細野:まず「NewsDigest」の運用において、投稿に関する作業を一切していません。その分、「どのようなコンテンツを発信するのか」に知恵を絞っています。

 新型コロナウイルスに関する情報発信をする上で、求められている情報をその都度グラフィカルに発信することに意味があると思っています。たとえば、現在は「何人感染者が増えたか」という情報にはさほど関心が集まらないように、状況が変われば、それによって求められる情報も変わってきます。

 「なぜ緊急事態宣言が出ているのか?」「緊急事態宣言が出ていない県は本当に大丈夫なのか?」「日本はこのままだとニューヨークみたいになってしまうのか?」というように、状況に応じて漠然とした疑問がユーザーの中で生まれます。そのアンサーになるデータをわかりやすく表現し、それをリアルタイムで、かつ一目見ればわかるようなコンテンツにして情報を出すことが重要だと思っています。

 そのため、表の種類・グラフの種類はその時に応じて変えていて、それを自動生成しているんです。直近だと、「ダブリングタイム」と呼ばれる、感染者数がその都道府県で2倍になるまでの所要時間を表にしたものを発信していました。

 海外だとよく使われている指標で、このダブリングタイムが2、3日になると、オーバーシュート(爆発的患者急増)につながると言われています。この表を見ることで、緊急事態宣言の対象にはなっていないけれど、危険な状況にあるという都道府県をあぶりだすことができるんです。

 本当は厚生労働省などがこのような情報を出せるのがベストなのですが、今はそれらの情報が「遅い、分かりにくい、見つけにくい」という“三重苦”になっており、きちんと届いていない。そういった情報を、僕らはわかりやすく噛み砕いて伝えていけたらと思っています。

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この記事の著者

伊藤 麻由香(イトウ マユカ)

 1998年生まれ。2017年に横浜市立大学に入学。大学生をしながら、Webメディア編集とSNS広告運用のインターンを経験したのち、メディア運用やライターなどの活動を行う。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2020/06/03 11:04 https://markezine.jp/article/detail/33469

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