本質的な部分にだけ知恵を絞る
MZ:なるほど。それでは、企業がTwitterを運用する上で、今後はどのようなことが重要になると思いますか。
細野:新型コロナウイルスやサッカーに関する情報発信は、速さにこだわる必要がありました。しかし、企業アカウントでは別のアプローチが必要になってくるし、最終的に何をゴールにするのかで出すべきコンテンツも大きく変わってくると思います。
僕らは、画像生成に関しては社内で自動化していますが、「どういった内容を生成すればファンが増えるか」ということに対してはかなり知恵を絞っています。一度自動化することができれば、「どのように発信するのか」という“How”の部分に集中することなく、「何のコンテンツを発信するのか」という“What”の部分だけにフォーカスすることできます。
そのように、本質的な部分にだけ知恵を絞るというのが重要だと思っています。
「NewsDigest」運用担当者が考える、自動化するためのポイントとは?
MZ:属人化する部分と、自動化する部分の棲み分けはどう決めていくのが良いのでしょうか。
細野:まず、ルーティンワークになっている作業がないかを探すべきです。これらは自動化しやすく、自動化の恩恵が得られやすい。次に、作成するのに時間がかかるものから自動化していくのがいいと思います。たとえば、画像や動画は人間が手作業で作ると10分から20分はかかりますが、自動化すれば1秒もかからず生成できてしまう。そういうものは、自動化の恩恵が大きいので、どんどん自動化や仕組み化する必要があると思います。
確かに「技術的に自動化できるかできないか」という線引きをするにはある程度知識が必要ですし、センスが求められるため、難しい部分ではあります。しかし、それをしていかなければ、人間にしかできない部分にリソースが割けなくなります。
本当に重要なのは「何を投稿するのか」や「どんなコンテンツが求められるのか」であり、そこにエネルギーを割くべきです。それに集中するためにも、無駄を省いた情報発信をすることが重要だと考えています。
“未来の行動指針”になる情報発信を
MZ:ありがとうございます。それでは最後に、今後のTwitterアカウント運用で行ってみたいことを教えてください。
細野:今は、新型コロナウイルスがいつ収束するのかという見通しが立たない状況です。「withコロナ」の時代が1年以上続くかもしれないし、「afterコロナ」がいつになるかわからない。そのため、直近は「withコロナ」の文脈に合わせて、未来の行動指針になる情報発信をしていきたいと思っています。
たとえば、新型コロナウイルスで言えば、日本は感染の開始時期は早かったけれどピークを迎えるのは欧米よりも遅い。そこで、他国の例と比較していければ、示唆に富んだ情報発信ができると思います。さらに、グラフィカルにわかりやすく発信するというのは僕らにしかできないことだと思っているので、それをやっていきたいです。
僕らは、画像をはじめとするアウトプットを自動生成できるというのは、かなり強力なツールだと思っています。Twitter運用では、「中の人を際立たせる」というように、テキストに力を入れている企業が多いと思います。しかし、ツイートが1秒で読み飛ばされるということにほとんどの人が苦戦しているのではないでしょうか。
そこで、デザインの力が改めて重要になると考えています。画像を自動生成できると、デザインで優位に立ったTwitter運用ができますし、やれることの範囲も広がるのではないかと考えています。
たとえば、台風の時には避難所に関する情報をすぐにビジュアル化できるかもしれない。このように、グラフィカルに届けることですぐに伝わる情報がたくさんあるので、その知見を活かしていきたいです。