WPPとKantar(カンター)は、世界におけるブランド価値を測る年次調査「ブランドZ 世界で最も価値のあるブランドランキング Top100」および、調査レポートを公開した。
ブランド価値の算出は、Kantarの消費者調査に基づいて測定されたブランド資産と、企業の財務実績・業績分析を組み合わせて行っている。また今回の分析には、2020年4月以降の株価パフォーマンスを組み込んで分析しており、COVID-19の影響も反映されている。
首位のAmazonはランク維持 Apple、Microsoftが続く
小売のAmazonは世界で最も価値のあるブランドとしての地位を維持しつつ、そのブランド価値は前年比32%増の4,159億ドルとなった。Appleは、昨年に続き2位を維持し(前年比14%増、3,522億ドル)、Microsoftは第3位の座をGoogleから奪還した(前年比30%増、3,265億ドル)。Microsoftは、Office365とMicrosoft Teamsを搭載したクラウド対応で、職場におけるエコシステムを成長させ、ロックダウンや外出自粛が続く中でも「通常通りのビジネス」を維持できるよう貢献したことが要因となっている。
TikTokをはじめメディア・エンターテイメント系が急成長
急成長ブランドランキングには、メディア・エンターテインメント系のブランドが貢献している。最も急成長したブランドの一つであるモバイル向けショートビデオのプラットフォーム、TikTokは、ユーザー主体のコンテンツを提供できることで、広告だけでなく、Eコマースとのリンクで世界中の視聴者から収益を得ることができ、今年の新規参入ブランドの中では最も高い順位を獲得した。
新規参入のTikTok以外にも、動画配信サービスのNetflixは8ランク上げ26位に、コンピューターゲームブランドのXboxは22ランク上げ65位まで上昇。ソーシャルメディアプラットフォームのInstagramとLinkedIn(リンクトイン)もそれぞれ15ランク上げ、29位と43位にランクインしている。
ECブランドが牽引、小売が最も急成長したカテゴリーに
ECブランドのAmazon、中国2大ECのAlibaba(アリババ)とJD.com(JDドットコム)は、この困難な時期に革新性と敏捷性を発揮し、Walmart(ウォルマート)のようなECに投資しているトラディショナルな小売業者とともに成長している。また、アスレジャーブランドのLululemon(ルルレモン)は、ヨガに特化したウェアから、仕事に適したウェアへの転換を図り、自宅でできるオンラインクラスも提供することで、前年比40%増の急成長を遂げたブランドの1つ。ヘルスケアとウェルネスの分野で、消費者との関わりを深め、信頼を築き、親密さを生み出すための創造的な方法を見出している。
カテゴリーランキングを見ると、主要なEコマースブランドに牽引されたこともあり、小売は堅調なパフォーマンスを示し、ブランド価値が最も急成長したカテゴリー(前年比21%増)となった。
日本ブランドからはTOYOTAとNTTがランクイン
日本ブランドを見ると、Top100に前年と同じ2ブランドがランクインしている。自動車のTOYOTAは、前年よりランクダウンして48位に。通信プロバイダーのNTT(日本電信電話)は前年よりランクアップして63位だった。カテゴリーランキングでは、NTTは通信プロバイダーブランドの中では8位、Top10にランクインしている。
日本を含むアジアのブランドは24ブランドが Top100 にランクインし、全体の4分の1を占めている。その中でも、中国ブランドはTikTokとBank of China(中国銀行)の2ブランドが加わり、計17ブランドとなっている。最も順位の高かったアジアブランドは6位のAlibaba(前年比16%増、1,525億ドル)で、テクノロジー大手のTencent(読み:テンセント、前年比15%増、1,510億ドル)が7位に続いた。
【調査概要】
調査主体:WPP、カンター
調査手法:380万人以上の消費者アンケートと、Bloombergやカンターの持つ各企業の財務実績や業績を組み合わせてブランド評価を算出
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