※本記事は、2020年9月25日刊行の定期誌『MarkeZine』57号に掲載したものです。
一時の栄光を求めることよりも、長く続けることのほうがたいせつ
本稿では、不動産ポータルサイトSUUMOのSEO対策についてお話しします。その前に、まずは現在のSUUMOの検索順位状況を見てみましょう。実際のところ、順位だけを見てSEO対策を語るのは本質的ではないのですが、わかりやすい物差しとして使わせていただきます。図表1は、2020年5月6日から2020年8月19日までのSUUMOにおける賃貸関連のキーワードの順位状況です。「Demand Metrics」という順位モニタリングツールのダッシュボードの一部で、直近の1位率は80%前後を推移しています。
あまりSEOに関わっていない方ですと、この1位率をどう捉えてよいかぴんとこないかもしれませんが、多くのプレーヤーがしのぎを削っている中でこの順位をキープするのは簡単なことではありません。
話は脱線しますが、私は趣味で将棋を嗜んでおり、好きな棋士の一人に故・大山康晴十五世名人という方がいます。羽生善治九段は七冠を獲得したことで有名ですが、大山先生は昭和のまだタイトルが5つしかなかった時代に五冠を3回、名人位を18期獲得するなど、長きにわたって圧倒的な成績を誇りました。その大山先生がこのようなことを語っていたようです。
「好調なときに運が向いてくれば、誰でも優勝はできる。しかし、一回優勝したからといって、それがトップではない。優勝を続けることが、ほんとうのトップということなのだ。つまり、一時の栄光を求めることよりも、長く続けることのほうがたいせつということである」(『大山康晴名言集 平凡は妙手にまさる』著:永井英明、佼成出版社)
この発言を知った時に、SEOも似たようなところがあるなと勝手に結びつけて考えました。確かに、特定のキーワードにおいて、瞬間風速的に1位を取ることは、そこまで難しいことではありません。アルゴリズムの波もありますし、リスクのある施策に踏み込んでいけば一瞬上位に表示されることもあるかもしれません。
しかしGoogleは、できることなら検索者にとって一番有益なページを上位に表示させたいと考えているはずです。あまり好ましくない手法で一時的に順位が上がったとしても、長続きはしないでしょう。そういった状況の中で、長い期間検索エンジンに評価されるというのは難しいことですし、大変光栄なことです。大山名人に倣い、これからも不動産情報サイトのリーディングカンパニーとして、今の順位に甘んじず、より検索者のニーズを満たすサイトであり続けたいと考えています。