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SUUMO流・SEO順位を維持するための体制と環境

SEO順位を上昇させ、維持するための「体制」と「環境」

 さて、本題に戻りましょう。ここからは、SUUMOが具体的にどのような方法でSEO順位を上昇させ、それを維持しているのかについて説明していきます。と言っても、テクニカルな話やハック的な話は一切出てきません。そういった情報は、聞いているぶんにはおもしろいのですが、いざ自分でやろうとしても、うまく自社のビジネスモデルに当てはまらなかったり、実行しようという頃には陳腐化していたりします。

 「すぐに役に立つことは、すぐに役に立たなくなる」という言葉がありますが、SEOにおいても同じで、過去に「これをやっておけば順位は上がる」と言われていたような施策でも、今はむしろ実施することにリスクがあるといったものが多くあります。ですので、今回ご紹介するのは、早期にインパクトのある効果が出せるようなものではありません。「体制」と「環境」という地味な話ですが、SEO対策を長く続けていきたいと考えている方の参考になればと思います。

クエリ分類ごとの実行体制

 SEOの世界では、キーワードごとにDoクエリ、Knowクエリ、Goクエリという分類があります。クエリのタイプによって大きく対策方法が異なるため、それぞれ分けて説明します。

《Doクエリ対策》

 まずDoクエリですが、Transactionalクエリとも呼ばれたりします。何らかのトランザクションを発生する可能性が高いキーワードを指し、不動産領域では「賃貸渋谷駅」「新築マンション中央区」などの、物件種別とエリアを掛け合わせたキーワードなどが該当します。

 これらのキーワードの主なランディングページは一覧ページです。コンバージョンにつながる可能性が高く、不動産情報サイトにおけるSEOといえば、主にこのキーワード群を他社よりも上位に表示させ、検索エンジンで見つけてもらいやすくする取り組みを指すことが多いです。SUUMOのSEO担当はこのカテゴリーのキーワードの順位を上げ、維持することをメインの仕事としています。

 Doクエリについては、各事業のSEO担当にてモニタリングやキーワードマーケティングを行います。検索エンジンからの流入が、SUUMOにおける収益源の大部分を担っているため、日々のモニタリングは特に欠かせません。順位の下落や改善白地があれば、ディレクションや開発を担当する組織と連携し、SEO対策を実施していきます。

《Knowクエリ対策》

 次にKnowクエリです。Informationalクエリとも呼ばれ、情報収集を目的とする検索キーワードです。不動産領域では、「賃貸初期費用」「メゾネットとは」などが該当します。これらのキーワードでは記事ページへ遷移することが多いです。

 このタイプのクエリに対して、SUUMOではネット編集グループという、記事編集者の組織で対策しています。SUUMOの情報誌出身のメンバーも多く、不動産関連の記事づくりのスペシャリスト集団です。一つひとつのキーワードを、それがどんな意図で検索されているのかを検討し、SEO観点だけでは気づけないような情報を盛り込んだり、誤った情報を載せてしまわないようにしたりと、編集観点での記事制作は結果としてSEO的にも貢献したりしています。

 記事制作用のSEOツールが導入されていたり、モニタリング基盤が構築されていたりするため、ある程度自走的に記事作成を行っています。案件によってはSEO担当とタッグを組むこともあります。

《Goクエリ対策》

 最後はGoクエリです。別名はNavigationalクエリです。ナビクエリとも呼ばれたりしますが、「SUUMO」「スーモ」など、サービスや商品のブランドを示すワードがこれにあたります。

 Goクエリについては、特に対策しなくてもGoogleは上位に表示してくれるため、「競合より検索エンジンで見つけやすくする」という意味でのSEO対策はあまり必要ありません。しかし、Goクエリの検索回数や検索経由のコンバージョン数は、テレビCMや交通広告、オンラインでの動画広告などのマスプロモーション投下量と相関が見られるため、ブランドとSEOでデータを連携することで、その相関を意識したプロモーションを実施しています。

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SEOを推進するための「環境」

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この記事の著者

横関 崇志(ヨコゼキ タカシ)

 2013年リクルートホールディングス入社。リクルート住まいカンパニーに出向し、不動産情報ポータルサイト『SUUMO』のウェブマーケティングを担当。その後、不動産領域における新規事業のマーケティングチームリーダーを経て、2017年10月よりマネージャーに。現在はテクノロジーを活用したマーケティング施策の推進および、...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2020/09/25 14:00 https://markezine.jp/article/detail/34319

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