F2転換率とLTV高い見込み客が集まるヤフー
MarkeZine編集部(以下、MZ):今回はサンスターの「ラクトフェリンS」を対象に行ったYahoo!広告の事例について、サンスターのダイレクト営業部で、デジタルマーケティングを取りまとめている兒嶋さんと新規顧客獲得とCRMを担当する西村さん、そして広告運用を支援するアナグラムの永井さんの3名に話をうかがいます。
元々サンスターではYahoo!広告を活用していたと思いますが、パフォーマンスについてどのように評価していましたか。
兒嶋:Yahoo!広告経由で商品を購入いただく方は、F2転換率(初回購入をした顧客のうちどれだけ2回目の購入に至ったのかを表す指標)やLTV(ライフタイムバリュー)が高い傾向があり、1番優先度が高いメディアだと捉えています。検索エンジンを展開されていることもあり、購買に近いお客様が集まるので外せないですね。
永井:今回の対象商品である「ラクトフェリンS」と運用型の相性は非常に良くて、他のディスプレイ広告と比較しても良い成果が得られていました。また、配信ボリュームもかなり大きかったので、高いパフォーマンスを発揮している媒体の一つだと思います。
獲得ボリュームの拡大が課題に
MZ:今回、ヤフーの運用型への変換並びに自動入札の活用を始められたと聞いています。その背景を教えてください。
西村:「ラクトフェリンS」は2019年に機能性食品として上市した商品で、Yahoo!広告の運用に関してはアナグラム様にお願いしてきました。ラクトフェリンという成分自体が近年注目を浴びてきていることもあり、検索関連の広告では効率よく獲得できていたものの、獲得ボリュームの拡大に課題を感じていました。
そこで、刷新された運用型への変換と自動入札の導入を行うことで、獲得効率、獲得後の効率を維持しながら、コンバージョン数も最大化できるのではないかと考えました。
西村:また、我々自身がどんどん新しいものにチャレンジしていく方針であったことも、大きな要因のひとつです。日進月歩のデジタルの世界においてこの姿勢は当たり前だけれども重要なことだと考えています。
MZ:では、どのように運用型への変換と自動入札の導入・活用を進めていったのか教えてください。
永井:まず、自動入札と手動運用の広告グループを用意して検証を行いました。いきなりすべてを自動入札に切り替えるのはリスクがあったためです。実際に配信していくと、自動入札のほうが手動運用の広告グループよりもコンバージョン数などが高いという成果が得られたので、自動入札のみの配信にシフトしました。
MZ:自動入札のみの配信にするまで、どのくらいの時間を要しましたか。
永井:2~3週間は見ていました。ヤフー社協力のもと、配信アルゴリズムの学習が終わるタイミングを観察し、インプレッション数やコンバージョン数などの成果が改善されてきたところで切り替えていきました。
自動入札の効果を上げるために意識すべきものとは?
MZ:運用型への変換を進める上で、これは意識したほうがいいということはありますか。
永井:広告グループの構成をできるだけまとめて自動入札に任せていくことが重要ですね。これまでYDNを手動運用する場合、リーセンシーを細かく刻んで、入札調整も自分たちできめ細やかに対応していくことが求められました。しかし、自動入札の場合はそのあたりの調整が不要になります。実際に成果も自動入札に任せることで上がってきました。
MZ:以前取材した他の事例でも、アカウント構成をシンプルにするという話が出ました。運用型への変換並びに自動入札を進める際は、広告グループなどの見直しが重要だということですね。
これまでは手動運用でコンバージョン数を最大化していたと思いますが、Yahoo!広告の自動入札に委ねてみて変化はありましたか。
永井:まず、広告運用に対する工数が大きく減りました。新しい施策やクリエイティブにリソースを割けるようになったので、非常に大きなメリットが享受できています。
兒嶋:獲得数も以前より増えていましたし、これまでとは違う訴求軸でも顧客を獲得できるようになったのが大きいです。これまではラクトフェリンという成分自体の訴求でアプローチしていましたが、その他の訴求軸である便通や睡眠の質といった軸でもお客様の購買につなげられるようになりました。
CV数が12%増、CPAも13%削減
MZ:今回の施策で得られた成果を教えてください。
永井:基本的な指標はすべて改善されました。自動入札の導入前と比べて、インプレッション数は17%、コンバージョン数は12%増加し、CPAは12%、CPCは29%削減しました。獲得効率とボリュームを両立できた結果となっています。
MZ:サンスターのお2人は今回の結果をどのように捉えていますか。
西村:潜在層の獲得増加につながったのが今回の施策における1番の成果だと考えています。これまでは主に顕在層を獲得するために活用していたヤフーで、潜在層の獲得まで一気通貫でできるようになったのは非常に良かったです。F2転換率とLTVの高いお客様をさらに獲得できました。
兒嶋:これまではリマーケティング配信に寄っていたのが、それ以外の配信比率が伸びて獲得にもつながっていました。その上CPAも下がっていたんです。
ITPなどの課題が出てきて、リマーケティング偏重の広告配信はリスクが高いと考えていた中で、ブロード配信でも獲得につながる成果が出せたのは非常にありがたいと思っています。
西村:また、間接的な効果ではありますが、指名検索などのボリュームも増えているので、潜在層から顕在層への引き上げにも大きく寄与しているはずです。
正直懐疑的だった、でも想像以上の成果に
MZ:今回の取り組みで得られた学びはありますか。
兒嶋:新しいこともどんどん試してみるということですね。新しいことには挑戦すべきだし、変化していかないといけません。結果として良い成果も生まれたので、良かったです。
永井:ヤフーの自動入札はきちんと機能するのだろうかと正直懐疑的でした。そのため検証をさせていただいたのですが、経過を見ると性別やプレースメントがどんどん変わっていって、きちんと学習が進んでいるのをじかに感じることができました。
非常に最適化の精度が高くなっていることもわかり、課題となっていた新規層向けのリーチもできたので積極的に使っていくべきだと思いました。
ヤフーに寄り添った広告配信を
MZ:最後に今後の展望をお願いします。
兒嶋:ITPなどで業界のルールが変わっても、それは配信側の変化であり、検索やSNSの閲覧といったユーザーの行動は、デバイスやプラットフォーム自体がアップデートされない限り大きく変わらないと思っています。そのため、強大な検索エンジンであるヤフーでの広告は引き続き注力していきます。
西村:兒嶋の話に近いですが、我々はどうやってお客様にご購入いただくかを考え、トライし続けるしかありません。今後も永井さんたちと協力して新しいことにどんどんチャレンジしたいと思っています。
永井:広告運用の側面だと、よりクリエイティブに力を注げるようになった分、様々な訴求軸をテストして、配信効果の改善をできたらと考えています。
また、ヤフーはメディアとしての価値がとても高いという特長を持っています。審査なども非常に気を使っていますし、Yahoo!ニュースをはじめ多くの方が使うサービスを複数運営しています。それだけ様々な方にアプローチできるので、そこに寄り添って商品とメディアの価値を高める運用ができたらと考えています。
兒嶋:確かに、ヤフー社はネット広告=いかがわしいものというイメージを払拭し、業界を健全化するための取り組みに積極的な印象があります。我々も広告主として、協力していきたいです。
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