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ソーシャルリスニングの要は「文脈把握」にあり! 人の目×カテゴリー分けで高精度なSNS分析を実現

 スマホの普及とともにSNS利用者は年々増加しており、そこで発信される“消費者のリアルな声”は、企業が消費者行動やその背景にあるインサイトを把握するうえで、ますます見過ごせないものになっている。しかし、SNS投稿は膨大であるがゆえに、すべてを収集・分析してマーケティングに活かす、いわばソーシャルリスニングができている企業はまだ少ないと、イー・ガーディアンの池田威一郎氏は指摘する。ソーシャルリスニングをマーケティングに活用することで得られる成果や効果的な活用方法について、同社のサービス「ソーシャルメディアアナリシス」の強みとともに語ってもらった。

総合ネットセキュリティ企業として企業のSNS活用を支援

――はじめに、イー・ガーディアン並びに池田さんの自己紹介をお願いします。

池田:当社は設立から20年以上にわたって、ネットセキュリティに関わるサービスを提供する総合ネットセキュリティ企業です。主にSNSの投稿監視サービスにはじまり、SNS分析、風評調査などを手がけています。私は2011年に入社し、長年SNSの声を企業活動に活かす取り組みに携わってきました。

――近年ではソーシャルリスニング・競合分析サービス「ソーシャルメディアアナリシス」を提供されていますよね。開発の裏にどんな背景があったのでしょうか。

池田:SNSの市場規模が拡大しているのは、皆さん周知のことでしょう。広告費で見ても、2019年にインターネット広告費がテレビ広告費を抜きましたが(参考:電通「2019年 日本の広告費」)、インターネット広告費のなかで最も割合として多く高成長を見せているのが「ソーシャル広告」です

 ただ、そうして市場が伸びているのに、そこを観測するソーシャルリスニングの取り組みが活性化しているかといえば、そこまでではない。諸外国と比べても、日本はソーシャルリスニングに対する認知度が低いのが現状です。

 それを、SNSを黎明期から観測してきた我々が変えていこうと、サービスを提供したり、積極的に情報発信を行ったりしています。

イー・ガーディアン株式会社 ソーシャルメディアチーム リーダー 池田威一郎氏
イー・ガーディアン株式会社 ソーシャルメディアチーム リーダー 池田威一郎氏

ソーシャルリスニングで“消費者の本音”をすくい上げる

――企業がソーシャルリスニングを活用することで、どのようなメリットがあるのでしょうか。

池田:SNSをマーケティングに活用する際、多くの企業はインプレッション(imp)やフォロワー数をKPIにしています。ですが、それらを伸ばすことでブランドのファン醸成につながっているかと言えば、必ずしもそうとは言えません。フォロー&リツイートキャンペーンやプレゼントキャンペーン施策によって一時的にフォロワーが増えても、その人たちが定着してファンになるかと言えば違いますよね。特にBtoC企業はそうしたジレンマを抱えていると思います。

 ではファン化において何をKPIにしていけばいいのか。我々は「話題量」、つまりSNSでそのブランドに関してどのくらいのボリュームで、どんな文脈で言及されているかだと考えています。これを定期的に観測していくことによって、市場における話題のシェアや、強み弱みが見えてくる。それを商品開発やカスタマーサポート、サービス改善に生かすことが可能です。

 また、アンケート調査などと比べて安価、容易に消費者の声を収集できます。SNS上の声は無料ですし、バイアスもかかりにくいので、より生の声、本音に触れられるメリットもあると言えるでしょう。内容の質量の評価も同時に行わなければなりませんが、これを観測しないのはもったいないです。

 市場での話題量が増えれば結果的に認知度が上がり、認知度が上がればマインドシェアも上がって売上にもつながってくる。そこに相関があることは明らかになっています。

 先駆的な企業では既に話題量をKPIにしているところもあるので、みんなで観測、活用していけば、ソーシャルリスニングの意識ももっと高まるのではと思っています。

――メリットが多いソーシャルリスニングですが、なぜ活用が広がらないのでしょうか。活用を阻む壁を教えてください。

池田:「ナレッジ不足」と「リソース不足」、「ソーシャルリスニング専門家不足」がこの世界における課題です。ソーシャルリスニングツールを導入しても、ナレッジがなければ活用しきれず、活用しきれないから、なかなか広まっていかないのではと分析しています。

 たとえばツールは入れているけれど、担当者がばらばらにエゴサーチしている状態で、定量的な観測ができていないということが起こっているのです。

“人の目”によって前後の文脈を把握、高精度な分析を可能に

――では、御社が提供する「ソーシャルメディアアナリシス」のサービスの特徴、強みについてご説明ください。

池田:具体的なサービス名がついたのは昨年6月からですが、同様の取り組みは既存のクライアントさまとやってきていたので、それをパッケージ化したようなサービスとなっています。大きな特徴は、「(1)人の目で見ることによる“確実性”」「(2)カテゴリー別による詳細な分析」です。

 当社は総合ネットセキュリティ企業として月間1,000万件以上の監視実績があり、高度なテキスト読解力を身につけたオペレーターを多数抱えています。そのオペレーターが目視で掲示板やTwitter、ブログなどのチェックを行い、前後の文脈を踏まえたカテゴリー分けをすることで、ソーシャルメディア上の声を分析・サマリすることを可能にしているのです。

 この文脈を捉える力は、現時点ではAIやツールでは「人」に敵わないものです。文脈を捉えられないと観測の意味も変わってきてしまうので非常に重要なポイントになっています。

――カテゴリーというのは、御社のほうで商品によって設定されているのでしょうか?

池田:はい、相談の上で設定します。話題をサービス内容や価格、プロモーションなどの様々なカテゴリーでフラグ分けを行い、ポジティブ・ネガティブ・ニュートラルの感性と掛け合わせて分析していきます。

話題×感性のカテゴリー分けで全体の傾向を理解する

――具体的な活用事例をお聞かせいただけますか?

池田:全国の農家・漁師さんが直接ネット上で食材を出品販売するオンラインマルシェ、「ポケットマルシェ」様の口コミ調査での利用事例をお話しさせていただきます。このときの実施目的は、生産者と消費者のSNSにおけるコミュニケーション状況を把握すること、そしてどのような食材が注目されているかの調査でした。

 そのための具体的方法としては、「ポケットマルシェ」に関してSNS上で発信された投稿を集め、それを目視でカテゴリーごとに分類します。大分類として「話題」「対象商品」「感性」のカテゴリーに分け、そこからさらに細かい基準を設定していきました。

池田:たとえば話題は「価格」「サービス」「コミュニケーション」「購買意欲」といったトピック、商品は「野菜」「果物」「魚介類」など。感性は「ポジティブ」「ネガティブ」「ニュートラル」の3種類です。全体投稿件数からランダムで1,000件抽出し、投稿内容をこのように振り分けることで、「どういう話題にどういった評価があるのか」という傾向を知ることができます

池田:このように、投稿を目視で分類していくことによって、自社に関するトピック内容がわかるのが当社のサービスの強みと認識しています。他には、実施したPRがどのくらい話題を喚起したかを計測し、話題量をKPIにすることによって、ネットの話題を増加させるような広告やプロモーション企画を立てるのに活用している例もあります。端的な目的としては売上増加です。

 あるメーカーでは、SNSの話題量をKPIとし、ネットと親和性の高い企画を継続的に行うことによって商品の売上が大きく向上しました。テーマにより、分析のキーワード、切り口の設定もレポートの質を左右しますが、これについては当社に長年蓄積されたノウハウがありますので、その点も安心してご利用いただける点ではないでしょうか。

話題量がブランド価値の指標となる日に備えて

――効果的にソーシャルリスニングを活用していくために、どのようなことを意識すれば良いのでしょうか?

池田:これは話題の質と量、両面を観測することによる文脈把握に尽きると思います。たとえばネガティブな話題があったときに、少数であっても深刻に受け止めてしまうことがありますが、どういう人達がどういう文脈でそのネガティブ発言をしているか、そしてその話題が全体の中でどのくらいのインパクトがあるかを知ることで、客観的な評価・対策ができるようになると考えています。

 それは各部署でばらばらと対応していては掴みにくいので、SNS観測の体制を作って、定期的に取り組んでいただけると効果が出やすいと思います。

――では最後に、今後の展望をお聞かせください。

池田:近年SNSの利用者は年々増加し、市場規模も広がっていますので、ここの観測装置としての役割は絶対に必要になってくると確信しています。弊社には当初はリスク管理の視点からご相談いただくことが多いのですが、ソーシャルリスニングはリスク管理だけではなく、マーケティング活用、サービス改善と多彩な目的で活用できる可能性があることをお伝えしていきたいですね。

 そのひとつとして、SNSの声を企業活動の基準値としていくことを考えています。たとえば、テレビであれば従来視聴率が評価の基準となっていましたが、そこに話題量をキーとした新たな指標を提案していきたいと考えています。

 最近だと、サイバー・コミュニケーションズ様、ビズテーラー・パートナーズと共に、口コミデータの収集・整理分析したものをテレビ局へ提供する取り組みをしています。どのような特集にどのくらいの反応があったのか、毎分の話題量を調査したりしているのですが、こうしたデータは今後活用できるのではないかと思っています。

 ブランドの価値も、「企業・サービス名×ありがとう」といったポジティブな投稿が年間どれくらい増えているかが重視される時代が来ると思っていますので、それを観測できるサービスを引き続き提供していきたいです。

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この記事の著者

畑中 杏樹(ハタナカ アズキ)

フリーランスライター。広告・マーケティング系出版社の雑誌編集を経てフリーランスに。デジタルマーケティング、広告宣伝、SP分野を中心にWebや雑誌で執筆中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2020/10/15 11:00 https://markezine.jp/article/detail/34437