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購買行動の変化に対応せよ。BtoB企業がいま注力すべきマーケティングDX(AD)

「再燃キャッチ」で検討層を引き上げる!商談・受注を増やすマーケティングDXのポイント

 BtoB領域でも購買行動のデジタルシフトが進行している昨今、顧客情報をデジタルで一元管理し、最適な顧客体験を構築することでマーケティング・プロセスの変革を起こす「マーケティングDX」が求められている。その実現には、自社の課題設計が重要であることは言うまでもない。本稿では、課題設計後に必要なアクションや整えるべき環境について、シャノン マーケティング部 部長の村尾慶尚氏に話を聞いた。

こっそり検討している「隠れ検討層」へのアプローチが商談の鍵に

――前回は、「マーケティングDX」の重要性と、実現に向けた課題設計について伺いました。マーケティングDXとは何か、改めて教えてください。また、課題設計後にはどのようなアクションが必要になるのでしょうか。

村尾:マーケティングDXとは、購買行動の変化に対応するために、顧客情報のデジタル化と最適な顧客体験の構築によって、自社のマーケティング・プロセスを変革することです。これを推進するには、大きく二つのポイントがあります。一つは、比較・検討層の顧客を増加させるため、商談につながりやすい「隠れ検討層」を獲得すること。もう一つは、興味・関心層の顧客に対して、購買フェーズを引き上げるための「関心引き上げウェビナー」を行うことです。顧客体験をしっかり作った上で、この2種類の施策を回していくことがマーケティングDXの要となります。

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――順を追ってお話を伺いたいと思いますが、そもそも「隠れ検討層」とはどのような顧客を指しているのでしょうか。

村尾:「隠れ検討層」とは、商品・サービスについて様々な情報収集をしてはいるものの、企業に対して連絡先や名前を明かしていない匿名顧客のことを指します。この層の方々は情報収集力が非常に高く、ご自身で調べた内容を基に意思決定の6割までを完了、つまり比較・検討までを終えています。しかし、残り4割の意思決定は、何かしらの要因があり、アクションを起こせずにいるんです。そのため、決断を後押しするための施策が必要になってきます。

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村尾:BtoB商材の場合、お客様との最初の接点でいきなり商談化、受注に至るケースはほとんどありません。自社の商品・サービスについて知りたいと思ったお客様のほとんどは、「今すぐニーズはないけれど、いつかのために情報収集しておきたい」というフェーズにあります。日々、多種多様なマーケティング施策を行い試行錯誤している企業なら、「認知」「興味・関心層」に、こうした「隠れ検討層」が一定数いるはずです。

――なるほど。では、「隠れ検討層」にアプローチしていく際のポイントはありますか。

村尾:「隠れ検討層」は、様々なきっかけから比較・検討フェーズへと進みます。たとえば、「上司が変わった」「決算前に予算が下りた」「競合企業が類似商品を導入した」など、お客様の状況次第で次のフェーズに進むのです。

シャノン マーケティング部 部長 村尾慶尚氏
シャノン マーケティング部 部長 村尾慶尚氏

村尾:そこで重要になるのが、情報収集段階にあったお客様が、再びWebサイトに来たタイミングを逃さずキャッチすることです。当社では、お客様の興味・関心が再燃したタイミングと捉え、「再燃キャッチ」と呼んでいます。

顧客の検討フェーズが“再燃”した瞬間を捉えるには?

――「隠れ検討層」の興味・関心が再燃したタイミングは、どのように捉えることができますか。

村尾:再燃キャッチにはMAツール(以下、MA)が有効です。たとえば、当社の「SHANON MARKETING PLATFORM」ではWebトラッキングという機能が搭載されており、いつ、誰が、どのWebページを閲覧したのかわかるようになっています。これを使って、情報収集段階だったユーザーが自社サイトへ再度アクセスした瞬間をキャッチすることが可能です。

 興味・関心の再燃が確認できたお客様については、順にスコアリングを行います。例を挙げると、過去に名刺交換をしたことのあるお客様は10点、ウェビナーに参加してくださったお客様は20点といった具合です。このスコアを基に、一定の点数以上お客様へアプローチしていきます。

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村尾:また、BtoB商材における「隠れ検討層」のお客様は、部課長クラスの方より現場でツール選定を行うご担当者であるケースが非常に多いです。そこでお勧めなのが、紙のDMを送ることです。これにより、現場のご担当者が上層部や他のメンバーにも展開しやすくなります。その後はメールでフォローアップして、その状況を自社内に通知させるという設計も可能です。

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村尾:その他、「隠れ検討層」のお客様の購買フェーズが上がるトリガーとして「時間」の概念があります。これにはMAとSFAを連携することで、最後の接触から8ヵ月経ったお客様に、紙のDMと自動送信メールで「お久しぶりです」などとアプローチすることが有効です。

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受注企業の8割以上が「関心引き上げウェビナー」を視聴

――情報収集フェーズのお客様の変化を逃さず、効果的な体験設計を行うことが重要なのですね。続いて、マーケティングDXを推進するポイントの二つ目、「関心引き上げウェビナー」について教えてください。

村尾:セミナーや展示会など、リアルで集まることが難しい状況であっても、対面によるコミュニケーションを効果的に取り入れることは欠かせません。コーネル大学で行われた実験によると、まったく知らない人に同じ内容でコミュニケーションを取る場合、メールに比べて対面のほうが34倍も成功率が高かったという実証結果が出ています。

 そこで私たちがお勧めしているのがウェビナーですが、内容は購買フェーズによって異なります。たとえば、「興味・関心層」には、自社の課題に気づいていただく「関心引き上げウェビナー」が実施できます。一方、自社の課題が顕在化している「比較・検討層」には「製品紹介ウェビナー」で、その課題を解決できるかをイメージしてもらうことができるのではないでしょうか。

――御社でも積極的にウェビナーを開催されていますよね。

村尾:はい。当社ではコロナ前から1年以上にわたって、購買フェーズを引き上げる「関心引き上げウェビナー」を実施しています。その結果、受注に至った企業の8割以上が1年以内にこのウェビナーを視聴しているということがわかってきました。

村尾:一般的に、ウェビナーを行うのはマーケティング担当の方々が多いと思いますが、当社ではインサイドセールスも含めて、様々な部署が連携して、週1~2回のペースでウェビナーを開催しています。

 その中で得た気付きは、「どのような顧客体験を提供するか」という設計が重要だということです。昨今、ウェビナーに取り組む企業様は増えていますが、プロセスを回すことが目的になってしまっているという状況も少なくありません。ただメールを送って、ウェビナーに送客して、そこで得られた情報をセールスへ展開するだけでは、コロナ前にありがちだった「失敗するパターンの展示会」と変わらないのではないでしょうか。

顧客の心理状態に合わせたマーケティング・プロセスの構築

――「引き上げウェビナー」の顧客体験設計で、重要なポイントを教えてください。

村尾:まずは、ウェビナー配信システム(YouTubeなど)と、管理システム(集客メール、申し込み、URL案内、配信後のアンケート回答)が統合されていることがポイントです。これができて初めて、データを活用した顧客体験の企画・設計、そしてプロセスを回すという3段階が有機的に機能するようになります。

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村尾:ウェビナー開催後は、データからお客様の購買フェーズを読み解くことも大切です。たとえば、配信後のアンケートから「情報収集中」と判断できたお客様には、「製品ウェビナー」や「関心引き上げウェビナー」をご案内する。あるいは、過去3回ウェビナーにご参加くださったお客様には、アポイントのオファーを出すなど、お客様の心理状態や検討状況を把握することで、きめ細やかなマーケティング・プロセスを回していくことができます。

――御社ではどのような体制で、ウェビナーを運営されていますか。

村尾:ウェビナーの開催には、大勢のメンバーは必要ありません。最初は2~3名いればウェビナーを開催・運用していくことができると思います。たとえば、1名は講師、1名は配信システムやチャット、メールなどの運用に専念し、その後、集客がうまく行き始めたら、人数を増やしていけば良いのではないでしょうか。当社では、私も含めた3名のメンバーで週1~2回のウェビナーを運営しています。

マーケティングDXのスモールスタートを2体制で支援

――ウェビナー運営は少ない人数でも回せるのですね。これからマーケティングDXを実施していきたい担当者・企業に向けて、メッセージをお願いします。

村尾:コロナ禍で、様々なお客様の状況をヒアリングしていて思うのは、「ピンチはチャンスである」ということです。従来型のビジネスモデルでは通用しなくなった今こそ、マーケティングを変革するチャンスだと思います。

 変わりたくなくても、半ば強引に変わらざるを得ない状況になってしまったのです。伝統的な企業の中で、新しいことをしたいけれど、これまできっかけが掴めなかった担当者は、今こそ行動を起こすべきではないでしょうか。

――最後に、マーケティングDX実現のために「SHANON MARKETING PLATFORM」ができることを教えてください。

村尾:「SHANON MARKETING PLATFORM」の強みは、名刺を取り込んでからのDMやメールの送付はもちろん、テンプレートなどによる効率的な運用が行えることです。また、リードに情報を自動で付与するデータクレンジングを始め、Web訪問のメール通知など、個人と企業を横断したデータ管理と効果的なフォローアップが可能です。

 サポート体制としては、ツールの活用方法や企業様ごとの課題解決方法についてきめ細かくご提案する専任のカスタマーサクセスに加え、操作方法や機能面をサポートするカスタマーサポートを設けています。

 マーケティングを2~3人のチームでスモールスタートさせようとすると、ミドルマネジメントと現場の実行者の両者に負担がかかってしまうことが多いものです。当社はマーケティング全般に対応するカスタマーサクセスと、ツールの機能面に対応するカスタマーサポートがそれぞれをご支援することで、 チーム全体へのスピーディな対応ができると考えています。

――ありがとうございました。次回は【ウェビナー実践編】として、シャノン マーケティング部で「関心引き上げウェビナー」を担当されている藤井さんに、コンテンツの設計、集客、実施後のフォローについて伺います。

【Withコロナ時代、購買行動の変化に対応するには】マーケティングDXのはじめ方を学べる資料はこちらから

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この記事の著者

石川 香苗子(イシカワ カナコ)

ライター。リクルートHRマーケティングで営業を経験したのちライターへ。IT、マーケティング、テレビなどが得意領域。詳細はこちらから(これまでの仕事をまとめてあります)。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2020/11/17 10:00 https://markezine.jp/article/detail/34477